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「表現の不自由展」を巡る対立の背景に国家観の違いあり

ニュースの内容

愛知県で8~10月に開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の実行委員会の会長を務めた同県の大村秀章知事が24日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見した。大村氏は、批判が殺到して一時中止した企画展「表現の不自由展・その後」で展示された昭和天皇の肖像を燃やして踏みつける動画や慰安婦像などを実行委の会長代行だった河村たかし名古屋市長が批判していることに「憲法違反そのものではないか」と反論した。(出典:産経新聞)

ニュース私見

愛知県で8月1日より10月14日まで国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」『表現の不自由展・その後』が開かれた。

ただ、一部の展示に政治的偏りがあるということで抗議が殺到したため、実質の開催期間は10日間であったが、話題を呼んだこともあり入場者数は65万人を超え、過去最高だったとのこと。

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(ダイヤモンド・オンライン)

ただ、主催者団体内部において、大村愛知県知事と河村名古屋市長との対立が表面化した

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(朝日新聞デジタル)

慰安婦像や昭和天皇の写真をバーナーで焼き、足で踏みつぶす動画の展示物が中にあったため、河村市長は公共の福祉に反する権利濫用を禁じた憲法12条を念頭に置いて、作品の撤去、公開の中止を求めた。

それに対して、大村知事は権力による特定作品の排除は、憲法が禁止する検閲(21条)にあたり、それはできないと反論。

12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。
又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」
21条「①集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
②…検閲は、これをしてはならない」。

この論議に左翼マスコミが真っ先に飛びついた

京都新聞、沖縄タイムス、琉球新報の地方紙と朝日新聞、中日(東京)新聞が大村知事側についた。

産経新聞や『WILL』、『Hanada』といった月刊誌が河村市長側に立って論陣を張った。

この問題は、SNS上でも大きな話題を呼び、多くの声が寄せられた。

なお、河村市長は個人的に朝日新聞に「見解書」、中日新聞に「抗議申し入れ」を送り、大村知事は補助金の不交付を文化庁が決めたことに対して不服を申し入れている。

大村知事は東大法学部から農水省、衆議院議員(自民党)から愛知県知事になっている。河村市長は一橋大学から家業を継ぎながら衆議院議員(民主党)から名古屋市長になっている。

経歴を一瞥(いちべつ)した限りにおいて、「表現の自由」に対して考えていることや行っていることが両者反対ではないかと一瞬思ってしまうが、大村知事の憲法解釈は東大憲法学の影響が多分にあると思われる。

河村市長は、県議会選挙、市長選挙に落選という憂き目にも会い、民社党、日本新党、新進党、民主党などの政党を渡り歩くという苦労をする中で、庶民的な感覚を身に付けていったのではないだろうか。

政権と国民を敵対関係として捉えるという階級国家観に基づいて憲法解釈をするのが、東大憲法学の「伝統」であり、その影響を多分に大村知事は受けている。

政治的立場は保守であるが、人権の捉え方は社会主義者である。

だから、権力制限がまずありきという発想、解釈である。

その「匂い」を嗅ぎつけて朝日新聞が1面の2/3を使って写真入りのインタビュー記事(2019.12.24日付)を載せている。

一方、河村市長は政権と国民は同じ方向を向いているという国民国家観に基づく憲法解釈をしている。

この両者の対立は、単なる憲法解釈ではなく、国家観の違いから来ているものなので、両者が論議を繰り返しても永遠に一致点を見出すことはないだろう

そして12月18日に第三者委員会なるものの報告書が出された。

最近は、何かあると第三者委員会を立ち上げて検証するというのが一種の流行りのようだが、完全な第三者になっているのかということも含めて、公正、公平の誰もが納得できるようなものが出てくる訳ではない。

いかがであろうか。不毛な論議にお金と時間をかけるのではなく、公的施設を使った表現活動について、国民の判断を仰ぐ、つまりパブリックコメントの利用を提案したい

国民主権の時代、本来は国民からの意見に基づいて物事が判断されることが望ましい。現在は間接民主主義が採用されているが、それはベストのシステムということではなく、国民の意見を一度に直接聞くことが物理的に不可能だからである。

しかし、SNSの普及によって国民の意見を聞くことができるようになってきた。新たな直接民主主義の制度として、文明の利器であるSNSを利用することを考えて欲しいと思う。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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