(この文章は4/11日に書きました)
今こそ 文科省の出番
今回のことがあって急に文科省が動き始めましたが、不登校や保健室登校といった問題がかなり以前からあったので、本来ならば、授業の遠隔サポートに向けて、すでに動いていなければいけなかったのです。そのツケが、今来ていると思っています。
子供には授業を受ける権利があります。以前であれば、教室に来なければどうしようもなかったのですが、今は工夫次第で遠隔サポートができるようになりました。不登校と言ってもいろいろな事情があります。それは保健室にいる生徒も同じです。ケガ、病気で教室に入れない、精神的な問題を抱えている子供もいます。そういう子供たちに対する遠隔授業を、一定の条件の下、正式の授業としてカウントできるようにして欲しいと思っています。文科省は、この休校期間中に、その論議を開始して欲しいと思っています。
それから、何かあると現場に振ってくるのが文科省の発想ですが、日本の小中高の教育内容は全国共通で進度もそんなには変わりません。であれば文科省の主導によって、全国の小中高の生徒に向けて、ユーチューブ、LINEなどを使って授業発信をしたらいかがでしょうか。それに対する質問や小テストといったフォローは現場の教員で対応します。ある地方の教育委員会では、授業をユーチューブで発信しているそうです。そうすると、地方間格差が出来てしまいますし、現場はかなり手一杯という状況です。ここは、文科省の出番ではないかと思います。
最悪の場合を考えて、最善のシステムさらにはルールを至急に用意されたし
学校での6時間の授業ができなくなったので、その代わりにそのまま自宅で遠隔授業を6時間受けさせることができる、と思っている方がいるかもしれません。これは無理です。一つは、目の健康の問題があります。パソコンの画面から出ている電磁波は目には良くありません。せいぜい2~3時間ではないでしょうか。二つ目は、子供は周りの友達に支えられて勉強することができます。すべての子供が勉強に意欲的な訳ではありません。大人のテレビ会議のイメージで遠隔授業を考えないで欲しいと思います。何とか学校に来て、何とか授業に参加している子供たちもいるのです。
2週間で1週間分の授業が一つの目安だと思います。ただ、この遠隔授業が仮に上手くいったとしても、法的には授業としては認められないというのが文科省の考えです。
そうなると、例えば仮に緊急事態宣言の解除がなされないまま、休校が1年続いた場合はどうなるのか、ということです。日本全国すべての小中高生を全員留年にするのか、ということです。ただ、それをすると、大学1年生が極端に少なくなり、6歳児7歳児が小学校1年生になるため、いつもの倍の人数となります。
そこまで、ひどくはならないから大丈夫ではなく、最悪のことを考えて今から多少は考えておいて欲しいと思っています。特に最近の文科省は、後手後手に回ることが多いと思っています。
③ 読書のすすめ
休校が決まった時、ラッキーと言った生徒がいましたので「塞翁(さいおう)が馬」の話をしました。
中国の古い書物に載っている話です。塞というのは、砦の意味です。砦の近くに住んでいた老人の馬が逃げてしまうところから話は始まります。人々は可哀そうに思い慰めます。ところが、その馬が優秀な馬を引き連れて帰ってきます。人々はお祝いしました。家には良馬があふれ、その老人の息子が乗馬を好むようになり、そのうち落馬して足の骨を折ってしまいます。こんどは、人々は可哀そうに思い慰めてくれました。そのうち戦争が始まります。砦を守るために近くに住む者たちの10人のうち9人が死んでしまうほど多くの死者が出た。ところが、若者は足が不自由であったため、戦闘に参加できず無事であった、という話です。
「禍福は糾(あざな)える縄の如し」とも言います。幸と不幸は背中合わせということです。休校によって学校に行かなくても良くなり、それを幸にするか不幸にするかは、その余った時間をどう使うかにかかっています。ぜひ若いうちに、このような時だからこそ有名作家が書いた比較的長い小説にチャレンジしてみて下さい。
ブックオフだと文庫本はかなり安く手に入るでしょう。パラパラとめくって読めそうなものを選んで下さい。そういった自分の教養を高める時間を確保して欲しいと思います。その他は、自分の健康を維持する時間ということで、何か身体を動かすことを考えて下さい。それから、後は人のために時間を使って下さい。みんなの場合は、何か家のお手伝いをして下さい。何もないよ、と言われたら自分の部屋、身の周りの整理整頓、片付けをして下さい。残った時間は、自由に使って下さい。時間とお金は計画を立てて使うようにして下さい。そういった習慣を若いうちからつけるようにしましょう。
こんな話をしました。最近の生徒たちを見て思うのは、字や本を読み慣れていないということです。読み取りが遅いので、普段余り活字に親しんでいない生徒が多いと思います。
実は、「世界17か国の読書頻度」(調査会社GfK)というのがあります。1位は中国、2位イギリス、3位スペイン、4位イタリア、5位アメリカです。日本は15位です。1位の中国は、ちなみに毎日かほぼ毎日読んでいる人の割合は36%、日本は20%です。
特に男の子の方が読書量が少ないというのが統計的に出ています。読書というのは、本を通しての他人との会話という側面があります。読書をしない方は、独断的な傾向が強くなります。特に若いうちの読書は、その人の一生の財産となりますので、こういう時間がある時に普段読めないような長編もの、他のジャンルのものにチャレンジして欲しいと思います。
読んで頂きありがとうございました