(この文章は4/3日に書きました)
3/31日は、「サステナビリティ」の考え方を国家自体が持つ必要があるし、企業や家庭にとっての「サステナビリティ」とは何なのかという話をしました
ミクロ世界の解明が、スピリチュアリズムを生む
スピリチュアリズムについては、当ブログ(3/12)で説明していますので、そちらを読んで頂ければ有難いと思いますが、簡単に言いますと、この大宇宙の法則を明らかにしようとする思想であり哲学です。この宇宙にあるものは、目に見える世界と目に見えない世界に分けて考えることができますが、考えてみれば、それはあくまでも人間だけに通用する「モノサシ」に過ぎません。
3/12の記事はこちらからどうぞ
つまり、「見える」というのは、光がモノに反射してそれを人間の視覚が感じ取る作用に過ぎません。粒子のようなものには光は反射しないので、「ある」けれど見えないだけです。かつての時代までは、人は見えないものは「ない」と考えていたのですが、見えなくても「ある」というのが現代の常識です。常識が変わったのは、科学の発達があったからです。20世紀は物理の世紀と言われているように、特にミクロの世界の解明が進みました。
物理学者のマッハ(1838-1916)が「原子が存在するなど私は信じない」と自身の講演会で叫んだのは1897年のことです。ところが、1900年代になるとアインシュタイン(1879-1955)やボーア(1885-1962)が登場して、ミクロ分野の法則が急速に解明されていきます。
今は原子間顕微鏡で原子を見ることもできるようになりましたし、原子核と電子で構成される原子の構造も明らかになり、さらに原子核の分析からクオークという素粒子が12種類まで発見されています。このミクロ分野の法則を解明することはイコール、マクロ世界の法則を解明することに繋がります。つまり、すべての物質や生命体は、目に見えないミクロ粒子によって構成されていることが分かったからです。
そのような科学の進展に呼応して生まれたのがスピリチュアリズムです。どういうことか、思想というものは科学の発展の影響を受けます。例えば、肌の色の違いがあっても、それは人間の能力の違いとは全く関係がない、ということが科学的に証明された時から、平等主義という考え方が生まれ、社会は人間平等に向けて動き出しました。
ミクロ世界の解明によって、すべての法則が明らかになる
人間も自然も宇宙も、すべてミクロ粒子によって構成されているのであるならば、ミクロの世界の法則を解明することによって、すべてが明らかになるということです。無限大に広がる宇宙の解明に、ミクロの世界の解明が必要だと言われる所以(ゆえん)です。
ということは、「サステナビリティ」について明らかにするためには、スピリチュアリズムの考え方を援用する必要があるということです。スピリチュアリズムというのは、宗教ではありませんので、自然の中にその法則を見つけることができます。
自然の法則、大宇宙の法則というと、大それたものを思い浮かべるかもしれませんが、真理というものは常にシンプルなものです。『老子』の中に「天下の萬物(ばんぶつ)有より生じ、有は無より生ず」という一節があります。これがすべてを言っているかもしれません。要するに、有(+)と無(-)によってすべてのものは成り立っていると言っています。
人間の70%は水分と言われていますが、H2Oは+の水素原子と-の酸素原子によって成り立っているように、すべての化合物は+と-の原子が結合します。人間も男(+)と女(-)、太陽(+)と月(-)、天(+)と地(-)、光(+)と影(-)、その他、生死、昼夜、表裏、強弱、動静、明暗、凹凸、進退などです。
なぜ、こうなるのかと言えば、すべての物質は原子に分解でき、その原子は陽子(+)と電子(-)と中性子によって成り立っているからです。原子の種類の違いは、それぞれの個数の違いにすぎません。つまり、水素は、陽子1個だけの原子核と1個の電子(eで表します)で構成されていますし、ヘリウムは、陽子2個と中性子2個からなる原子核と2個の電子で構成されています。
つまりこのことは、(+)と(-)と、それを結びつける働きをするもの、合計「三者」によつて安定することを示しています。「宇宙という書物は数学の言葉で書かれている」と言ったのはガリレオ(1564-1642)ですが、「3」が基本の数字であり何かを生み出す元となる数字であることが分かります。どういうことか、(+)と(-)だけでは何も生まれません。その仲立ちをするものの「存在」によって(+)と(-)は反応します。H2とOは何らかの条件があって反応します。男と女がいれば結婚する訳ではありません。もし、そうであるならば共学にはできません。大変なことになるからです。
スピリチュアリズムと「持続可能性」
「3」が最も安定する数字だということが、ご理解いただけたと思います。そして、その中で最も重要なのが、(+)と(-)の仲立ちをする「中性子」です。何の働きもしないかのような存在ですが、これを中心にもってきます。そうすることにより、組織は安定し、「持続可能性」が最大限発揮されることになります。
人間も含めて、動植物は左右対称です。それをコントロールしているのが「中性子」の役割をもった頭です。鳥も同じです。左右の翼を広げて鳥は空を飛びます。人間は肉体と精神、それを統合しているものが魂(理性)です。人間は飛ぶことは出来ませんが、「三者」が協力することにより想像の空間を自由に飛び回ります。
SDGsに絡めて話をしますと、SDGsが掲げる17の指標のいくつかをつまみ食い的に取り上げて、会社の目標として設定すれば、自然に会社が発展する訳ではありません。まず、会社のアイデンティティは何か、それを見つけてそれを中心に据えます。それが「中性子」になります。そして、会社が社会の中に飛び立つためには2つの翼が必要なので、それをSDGsが掲げる17の指標の中から選ぶのです。
抽象論になっていますので、具体的に述べたいと思います。笠谷秀光著の『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞社.2019年)の中で紹介されているものの中から、良い例と良くない例をあげます(ちなみに、著者は良い悪いなどの評価はしていません)。
【良い例】京王グループの「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」
住友林業「街を森にかえる」
【良くない例】クボタ「壁がある。だから、行く」
シダックスグループ「『500の仕事』日本ナンバーワンの福利厚生サービス企業を目指す
オカムラ「人を想い、場を創る」
新聞広告のコピーではないので、自己陶酔のようなスローガンではダメです。「ナンバーワン」という目標は書きません。「ナンバーワン」になるかどうかは、あくまでも結果だからです。そして、シダックスの場合は、長すぎて「500の仕事」と言っても何を言っているか分かりません。社内や一般の顧客からも分かるようなものを中心に据えます。そして、指標の中から2つ位(せいぜい3つ)を選びます。指標が多ければ良いというものではありません。京王グループは目標は誰にも分かりやすく、しかも納得できて良いのですが、指標が1つです。これでは、飛び立てません。
翼が少なくても多くても、きれいに飛べません。
読んで頂きありがとうございました