「歴史教科書に『慰安婦』という言葉が入るとさかんにニュースで言っていましたね」
「『産経』(2021.3.31日付)はこの問題を1面トップ記事扱いですが、それによると歴史総合12点中9点が「慰安婦」という文言を入れています」
「それが仮に史実だとしても、わざわざ「慰安婦」という文言を教科書に入れる必要がないと思います」
「歴史学と歴史教育は目的が全く違います。歴史学の成果をそのままという考えがまかり通っていますが、それは違うと思っています。しかも、「従軍慰安婦」というのは、フェイクヒストリーの中で作られた言葉です」
「フェイクヒストリーというのは、何ですか?」
「史実とは違う捏造話を、政府関係者が広めることです。「慰安婦」の話は典型的ですが、吉田清治という日本人が最初に発信をしています。それを『朝日』がアシストして、韓国がゴールに蹴り込んだのです」
「彼が本に書いたそうですね。韓国の済州(チェジュ)島に行って慰安婦狩りをしたと……」
「『私の戦争犯罪・朝鮮人強制連行』という本を三一書房(1983年)から出します。三一書房というのは、新左翼系の出版社ですが、その話に飛びついたのが『朝日新聞』です。裏付けを取らないで、そのまま記事にします」
「1983年というと、もう昭和の終わりの頃ですね。もしかしたら、出来レースかもしれませんね」
「そういう可能性はあります。実は、彼の氏素性がよく分かっていないのです。『1970年ごろに日ソ協会役員をしていた男が80年代になると、まるでなにかの“天啓”を受けたかのように突然、「慰安婦狩り」を触れ回ったのはなぜなのか』と窪田順生氏が自身のブログ(2014,8.12日付)の中で疑問を投げかけています」
「市会議員として立候補したこともあったそうですね」
「下関市議ですね。共産党の公認候補です」
「共産党の関係者ですか?」
「多分、そうだと思います。実はそのことで2010年に大阪維新の会の水ノ上議員が堺市市議会(3,25議会運営委員会)で質問をしています。(ネットでやり取りを確認できます)」
「それで、追及して分かったのですか」
「分かりませんでした、変に隠しているところがある感じです。彼はとにかく1980年代に入って急に行動的になります。そのバックグラウンドを調べると、面白いことがわかるのではないかと思っています」
「ここからが本論です ↓」
フェイクヒストリーが生み出される歴史的事情
中国、北朝鮮、韓国、がフェイクヒストリーを量産して、それに振り回されてきたのが戦後の日本です。歴史的に見ると、強権国家はフェイクヒストリーを創り出して、自己の統治を正当化する傾向にあります。中国、北朝鮮は、現在においても一党独裁国家ですので、フェイクヒストリーをこれからも量産し続けると思います。また、韓国は今でこそ大統領選挙を行って民主体制の国になりましたが、戦後しばらくは軍事独裁国家だったのです。
なぜ、彼らはフェイクヒストリーを量産する必要があったのか。簡単に言えば、日本のように千数百年以上続いた統一王朝がないからです。統一王朝があれば、その王朝が政権を承認さえすれば正統性が保証されますので、わざわざ自分たちで正統性を言うために何か理屈を並べ立てる必要がなかったのです。
ところが、大陸と半島では様々な王朝が勃興しました。多くの王朝が覇を争って併存し、戦国時代の様相を呈した時期もありました。そうなってくると、国力をつけて生き残るために、自国の正統性を説く必要が出てきます。また、最終的に勝ち残って統一王朝を打ち立てたとしても、これを承認する機関も組織もありませんので、自分たちでそれを証明する必要が出てきます。
そういった理論的要請に応えるように出てきたのが、中国の孟子によって説かれた易姓革命の思想です。易姓というのは姓を易(か)える、つまり支配者の氏が変わるという意味です。何故、変わったのか、それは天命が革(あらた)まったからだと説きます。ということは、打ち倒された者は天から見放された者となり、その者を天に代わって成敗し、新しい皇帝が天命を受けて新しい政治を執り行うという理屈です。強者を正当化するのに、非常に都合の良い論理だというのが分かります。
人間は理屈に納得して行動する動物です。納得させないと、すぐに反乱が起きてしまいます。税を取り立てることもしなければなりません。こじつけでも何でも、とにかく多くの人々が納得できるような論理が必要です。ただ、この「強いものが正当」という革命理論は、日本のように皇室がある国にとっては不都合であり、極めて危険な思想となります。そのため、江戸幕府は儒学を奨励したものの、孟子の革命思想を危険思想と考え、意識的に排除したのです。
アメリカでもフェイクヒストリーが生み出される
日本人は免疫が出来ていないのか、他国から何かを言われてすぐに真に受けるところがありますが、世界には他愛のないものから巧妙なものまでフェイクヒストリーが溢れているのです。他愛のないものとしては、例えばアメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンは生涯一度も嘘をついたことがないというものです。ワシントンには、父親が大事にしていた桜の木を誤って折ってしまい、一瞬黙っていようかと考えたものの、正直に「ごめんなさい」と謝ったため逆に父親から褒められたという有名なエピソードがあります。それに付け足したような嘘話です。
2019年にアメリカで話題になったものとして「1619プロジェクト」があります。ニューヨーク・タイムズが主催したのですが、アメリカの建国をアフリカから連れてこられた黒人奴隷が北アメリカに入港した1619年にしようという試みです。1776年の独立宣言をもってアメリカの建国と誰もが思っているのですが、そうではなく1619年を「真の建国」とし、アメリカの歴史を黒人に対する迫害の歴史として捉え直すべきだという新たなアメリカン・ヒストリー構築の試みなのです。実は、このプロジェクトは2020年5月にピュリッツァー賞を受賞してしまったため、アメリカ社会で賛否両論の波紋が広がることになります。
(「ニコニコ」)
フェイクヒストリーに振り回される日本
何と言っても、中国がフェイクヒストリーのチャンピオンでしょう。新しい王朝が出来るたびに、前の王朝の血筋の者を全員皆殺しにして、あらゆる問題を前の王朝あるいは他国のせいにします。都合の悪いことは、すべて封印してしまいます。
国が近代化して、そこに民主主義のシステムが取り入れられ、経済的に豊かになったとしても、民族のDNAに深く刻まれた性向というものはなかなか消し去ることができないのではないかと思っています。大陸や半島で狩猟民族として何万年も生き抜いてきたのです。獲物をいかに確保するか、生存競争が激しい大陸において生き抜くために、言葉や論理を一つの武器として使うことをしてきたと思います。獲物がいる方向とは逆の方向をわざと教えることは、日常茶飯事だったのでしょう。その点、農耕民族は農地を守っていれば食糧は得られると考えます。嘘は必要ないのです。
生きるためならば、何でもする。嘘も恫喝も大事な武器として使う。先日の日米交渉を見ているとそんな感想をもちます。日本に対して、今や尖閣は中国固有の領土だと言い切っています。香港について何か言うと「内政干渉をやめろ」と恫喝されます。
2028年には、中国がアメリカを抜いて世界一の経済大国になるとの予測です。今後は、中国からの政治的、軍事的圧力が日ごとに増してくるでしょう。それと同時に、フェイクヒストリーが大陸や半島から流れてくると思われます。日本の反日マスコミがそれをアシストする場面もあるでしょう。
「慰安婦」はついに、高校教科書に定着してしまいました。どこかで防ぐ努力をしないと、日本はもともと中国だったとか、さらに新たなフェイクヒストリーがやってくることになります。
読んでいただき、ありがとうございました。
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