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副業、兼業の時代―—働き方の選択肢を多く用意する時代

「副業という言葉を聞いて、何を連想しますか?」

女性

「アルバイト、内職、過重労働ですかね……」

「それは、従来の労働のイメージをもったまま、副業を考えていると思います」

女性

「というか、収入の補填(ほてん)のために人は副業をするのかなと思っているのです」

「当然、そういった捉え方をする人もいるでしょう。そして実は、中小企業の多くは、従業員の収入確保のために副業を認めざるを得ないという側面が強いのです」

女性

「その理屈で言えば、大企業は認めるところは少ないということになりますけど……」

「実際に少ないです」

女性

「そりゃあ、そうだと思います。正社員として雇っている人に、副業をされてしまったら何となくいやな気持になります。そもそも、どうして副業のことが社会的に話題になり始めたのですか?」

「2018年に厚労省がモデル就業規則を改定して、副業を届け出制にして、原則認める方針を打ち出したのです」

女性

「厚労省が認めても、最終的にどうするかは企業判断ですよね」

「そうですね。だけど、そのような方針が出たのは、副業の効用もあるだろうという判断があったし、大企業といえども雇用が永久に保障される訳ではありません。あと、本人の職業選択の自由もあります」

女性

「なるほど、いろいろな事情があるということですね」

「ただ、副業の前提として、本業が基準法で定められた時間内で終わっている必要があります。だから、残業なし、週40時間以内の勤務時間が守られている必要があります」

女性

「その上での副業ということですね。ここからが本論です ↓」

 副業の実態を探る

副業のイメージをもってもらうために、実際に副業を認めている企業がどのように事務処理をしているのか、見てみたいと思います

『日経』の「副業拒むリスク摘み取れ」(2020、12、22日付)という記事の中で、データが出ています。副業を禁止している割合ですが、1~99人の企業では37%ですが、100人以上の企業では59%にのぼっています。

一方、従業員側からのデータを見てみることにします。同じく『日経』の記事のデータを使わせていただきます。それによると、副業に関心があるとする割合は大企業ほど高く、規模1000人以上では6割を超えているそうです。そして、年代別で見てみると、20~30歳代で6割を超えていて、全体の中で一番多かったそうです。ただ、この結果は、ある意味当然と言えば当然なのかもしれません。

そして、副業の具体的な中身ですが、コンサルティング(24%)、人材サービス(24%)、通信サービス(23%)となっています。「副業にかけた時間は週10時間未満が60%を占め、収入は月10万円未満が全体の69%だった」(『日経』同上)のです。

 副業を禁止することは出来ない

勤務先が「副業を認めない」ということを言う権限があるのかということですが、私はないと思います。国民には勤労の権利があり義務がありますが、この義務というのは、「ねばならない」という意味ではなく、努力義務です。つまり、働くことができるならば働くべきという意味です。当然、ある特定の企業、場所を指定できる訳ではありません。

つまり憲法27条の1項は、専ら個人の判断によって働き方の態様を決めてよいということを定めた条文と解釈できます。であるならは、副業を希望する者は、主たる勤務先に対して許可申請を出し、現在の勤務に大きく影響がない限り、企業は許可をしなければいけないというものと解釈されます。

実際に、三菱地所が「副業の許可システム」を導入していますので、それを紹介します。

企業にとって一番困るのは、同業他社で仕事をされることです。普通に考えてあり得ないことですが、一応万が一を考える必要があります。次に、企業秘密が多かれ少なかれあります。それを勝手に漏洩されないようにする必要があります。それが最も重要ですが、それも含めて、その他確認のための覚え書を交わします。

【副業に当たっての同意書】

企業秘密の漏洩をしない

 ・企業ブランドを毀損するようなことをしない

 ・本業と競合しない行為をしない

※ 副業先名、業務内容、労働時間などを明記して判定してもらい、許可をもらってから実際に副業スタートとなります。

ただ、実際にそういった正規の手続きをしている方は、約半分くらいです。そもそも副業を認めていない企業が4割あり、副業を認めていて上記のような申告制度があるにも関わらず、無許可で副業している人が1割いるのです。これは多分明らかにすると、昇進や昇給で不利になると思っているからなのかもしれませんこういう数字を見ると、日本では副業はまだ「日陰者」の扱いだということが分かります。頭を180度切り替える必要があります。

 これからは副業、兼業時代

本業、副業という言葉は、あくまでも現在の時点での言葉であることを深く認識する必要があります。本業と思っていたものの、当該の企業が潰れたり、整理解雇されることもあります。身分が永久に保証されている訳ではないからです。

そして、副業の内容が時代をリードする仕事になるかもしれません。副業をする中で培った技術や知識、人的なネットワークが本業の仕事をするにあたって、プラスに作用するかもしれません。そういった相乗効果が期待できることもあります。

労働というと、何かモノづくりという発想だと、なかなか副業、兼業のイメージが湧かないかもしれません。ただ、現代はデータや知的価値を集約して商品やサービスを提供することに重きが置かれるようになっています。であれば、例えば帰宅してから頭の中で考えてアイディアを出すことも出来ます。また、本業をしながら、そのふとした瞬間に副業に関するアイディアが浮かぶこともあるかもしれません。

そういうことを踏まえて、中部経済連合会会長の水野明久氏は「コロナ禍で兼業や副業を希望する人は増えている。社内で得られない知識を得たり、人脈を広げたりすることができれば企業にとって事業拡大のきっかけになる。……部署の特徴に応じて兼業や副業で力を発揮してもらってもいいかと思う」。また、MTGベンチャーズ社長の藤田豪氏は「企業には兼業や副業を柔軟に認めてもらいたいひとつの仕事にとどまらず、スタートアップで働いたり、社会活動に貢献する。働き方の選択肢を多くすることが重要だ」(「中部、世界の起業拠点をめざす」『日経』2020.12.22日付)と言っています。

例えば、私は私立中・高等学校の専任教諭ですが、他校で授業をすることはありません。ですが、仮に小学校の授業を週2時間くらい持ったとします。放課後のクラブ活動の指導だけでも良いでしょう。いろんな意味で勉強になるだろうなと思っています。子供たちにも、刺激になるのではないかと思います。

人間はどうしても井の中の蛙になりがちです。大海を全く知らないまま定年を迎えてしまうということが多くあると思います。企業でも、そういうことはあるでしょう。これからの時代は、アイディアをいかに創出し、それを商品化するかが大事です。そのためには、働く環境を意識的に変える、そうすると別の角度から本業を見て、また違ったアイディアが出るかもしれないのです

会社という枠を固定的に捉える時代ではなくなりつつあるということです

読んでいただき、ありがとうございました。

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