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小中の不登校34万人最多人数を更新(2) ――「ゆとり教育」の導入をきっかけに不登校が増える / 「五日制」と「週休2日」をセットで考えた 

「「日経」が不登校について「社説」(11.3日付)を掲載しました」

女性

「内容的に、いかがでしたか?」

「社説の表題が「不登校の急増が迫る学校改革」というものです」

女性

「学校改革をすれば、不登校が減るのですか?」

「そういう突っ込みが当然入るよね。ただ、そこで示されている改革案がお粗末なものです」

女性

「何と言っているのですか?」

「教え方の工夫と理解度に応じた宿題を出すこと、と言っています」

女性

「授業についていけない子供が増えているため、不登校が増加しているという認識なのですね。そんな単純なものではないような気がしますけどね……」

「あと、「いじめ重大事態」が1,000件を超えたことを書いていますので、それも一つの原因として捉えているようです」

女性

「確かに、いじめが不登校のきっかけとなることはあります」

「ただ、いじめは戦前からもありました。社会性が未熟な集団というのは、何の働きかけもなければ弱肉強食のルールが蔓延(はびこ)ります」

女性

「ということは、働きかけによって、いじめは根絶できると考えているのですか?」

「はい、いじめは指導の仕方によって根絶できます。不登校は何回も言っていますが、根が深い問題なので、教え方の工夫とか宿題を減らすといった対症療法的な発想では解決できません」

女性

「ここからが本論です ↓」

 「ゆとり教育」をきっかけに不登校が増える

「生兵法ケガのもと」という言葉があります。不充分な知識と認識で物事を判断すると誤ったことを言うことになる、というような意味です。経済が専門の新聞なので、教育問題を継続して追いかけてはいないと思います。その場合、その時々の現象を見て判断してしまうということがあります。今回の社説は、まさにそういった類のものです。新聞は公器なので、過去に遡って正確に情報を集めてから論評しないと、そこに書かれていることを信じて発言し、行動をする保護者が出てしまいます。

不登校は、「ゆとり教育」の歴史とともに現れた現象です。それ以前は、不登校という言葉もありませんでした。「ゆとり教育」というのは、言葉の「あや」であり「まやかし」です。1970年代の詰め込み教育批判に対して、文部省(現文科省)が考え出した思い付きの方針です。

元を辿ると、1976年の教育課程審議会の中で「ゆとりと充実」といったことが打ち出されています。それを受けて、1980年から文部省(現文科省)が全国の公立小中学校に対して「学校五日制」の方針を示します。世の中の学校に対する見方が変わった瞬間だったのかもしれません。通うのが当たり前から、通わないことによって「ゆとり」を得るという選択を与えてしまったのです。パンドラの箱が開いて、不登校に対する免罪符が飛び出た瞬間だったのです。「ゆとり教育」をきっかけに不登校が増えたのは、そのためです。

(「ユニバ進学教室」)

 「五日制」と「週休2日」をセットで考えた

詰め込み教育の批判として「ゆとり教育」が提唱されたのですが、3重の過ちを文科省はすることになります。1つは、「学校五日制」に向けて舵を切ったことです。学ぶ時間が少なくなれば、子供たちから「学校」、「勉強」といった意識が薄くなります。そして2つ目は、土曜、日曜と連休になりますが、特に土曜の午後は子供たちにとって仲間と遊ぶ大事な時間です。いつもなら、午前中に遊ぶ約束をして、午後は友達と遊ぶという彼らのペースが壊されてしまったのです。

そういう話を聞いて「何だそんなこと」と、思わないで子供の気持ちに寄り添って考えて欲しいと思います。対人関係に慣れていない子供はどうしてもいます。自分から「遊ぼう」と誘えない子がいます。ただ、土曜日の午前中に共に過ごす中で、友達から「今日、遊べない?」と聞かれて、ようやく遊ぶことが出来る子がいるのです。そういう子にとって、土曜日の午前授業が極めて重要なのです。「五日制」は、そういう機会を奪った上に、「孤独の連休」を与えたと言えます。

そして3つ目は、「五日制」と「週休2日」をセットで考えたことです。「ゆとり教育」が提起された頃は、週48時間労働から40時間労働に移行する時期でした。教員の勤務時間も将来的に40時間に合わせる必要が出てくる。本来なら、それに合わせて教員の増員を考えるのが筋ですし、そうしていれば今のように教員不足で苦しまなくても済んだのです。「週休2日」を先取りする考えから「五日制」の導入を決めてしまったのです。要するに、行政の都合で「五日制」を決めたのです。下のグラフを見ても、完全週5日制を支持する割合は、現在においても18%位しかありません。

(「雑食24時」)

 学校が行かなくても良い場所になりつつある

現代の学校、特に公立の小、中学校は、我慢して行く処ではなく、場合によっては行かなくても構わないという場所になりつつありますそういう中での不登校の増加ということだと思います。言ってみれば、消費者感覚です。美味しい料理を出すなら行くけれど、そうでなければお店に行かないという感覚で現代の親子は学校を見ているのではないかと思います。

それをある程度肯定した上で、どのような学校をつくっていくのかという問題です。ただ、その時に一番問題になるのが、公立学校は自由がきかないということです。「チームとしての学校」と文科省は言っていますが、校長をはじめとする管理職を約3年単位で転勤させておいて、「チーム」などまともに作ることなど出来る訳がありません。野球やサッカーのチームを強くしようとすれば、まずヘッドを固めます。ヘッドが絶えず異動するようなチームが強くなるはずがありません。

私立学校の場合は、生徒の状況に合わせて教育課程を変えるということが出来ます。裁量権がありますので、公立学校が5日制を導入した時でも、6日制を貫いた学校が多かったのです。教育というのは、とにかく現場の子供の実態に組織がいかに柔軟に対応できるかが一番重要です。公立学校は、小回りが利かず、硬直的な組織になっています。これでは不登校生徒が増えるのも、宜(むべ)なるかなと思っています。

(「夢ナビTALK」)

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