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21世紀の日本の進むべき道が示された書 / 『古事記』神話を読み解くことが重要

  • 2020年7月13日
  • 2020年7月14日
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「戦前の日本では、当たり前のように日本の古典である『古事記』や『日本書紀』を学びました」

女性

「私は中学の歴史の授業で、先生が荒唐無稽な話が載っているだけなので、『古事記』は読んでも意味がないと言っていたのを覚えています」

「教育界もどちらかというと、左翼色が強いですからね。そういうことを言う教員もいるでしょうね」

女性

「聞いていた私は、じゃあ試験には出ないのね、ラッキーみたいなノリでした」

「本当はそれでは困るのだけどね」

女性

「ただ、何年か前に古事記編纂1300年ということで、ちょっとしたブームになりましたよね。マンガで読みましたが、奇想天外な物語という印象です」

「それは8年前ですね。夢の中の世界が描かれているという印象はないですか? 何か、誘導尋問みたいですけど……」

女性

「まあ、そう言われれば、現実には起こり得ないような話が次々と飛び出してきますからね。逆に、どうしてあのような神話の形式にしたのでしょうか」

「その辺りは諸説あるところですが、私は重要なメッセージを中国に知られたくないということが一番の動機だったと思っています」

女性

「中国に、ですか?」

「当時の中国(唐)は軍事大国であり、文化大国です。法則を知られ、さらに巨大で堅牢な国家となれば、日本は呑み込まれてしまうと考えたのです。白村江の戦い(663年)で敗れ、3万人の兵力を失くしています。」

女性

「何か、今の状況と少し似ていますね」

「歴史は繰り返すと言いますからね」

女性

「知られてはいけない重要メッセージとは何ですか?」

「古事記には、宇宙の原理と統治の原理が何なのか、その他諸々のメッセージが入っています。そのため、正式の漢文では書かないで、大和言葉を入れたりして分からなくした上で、神話のかたちにして伝えようと試みたのだと思っています」

女性

「へえー、そうなんですか」

「私はそうだと思って、そのようにも読めると思って本も書きました」

女性

「是非、今度読ませて下さい(ここからが本論です)↓」


 科学と非科学をはっきり区別しないことが、科学的態度

神話は非科学的、だから教えなくても良いのだというのが、唯物論者のワンパターンの理屈ですが、実は日本で最初にノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士は、自著の『宇宙と人間 7つのなぞ』の中で、神話の中に「科学の芽」があると言っています


日本の国も含めて、どこの国の神話でも、そこには自然現象を引き起こしているのは、超人的な力をもった神さまがいるからという発想をします。このように「自然界にはいろいろと因果関係があるんだ、この世に起こる事柄にはすべて原因があるんだというようなことを考えるということ自体、たとい(ママ)その原因として、人間あるいは動物に似た姿をした神さまを想定したとしても、そこに科学の発生すべき芽が見られるわけです」(湯川秀樹 前掲書.10-11ページ)と説いています。

因果関係で捉えられるものは、科学です。その原因の捉え方が合っている、間違っているということではなく、因果関係で考え始めようとした意義深い第一歩がそこにはあると湯川博士は言っているのです。

そして、科学と非科学との間を、はっきりと区別しないことが大切であることを、原子論の歴史を簡単に紹介しながら語っています。現在は、分子、原子、素粒子の存在が科学的に明らかになっていますが、原子論が確立する20世紀までは一つの仮説、つまり非科学的な説明に過ぎなかったのです。

顕微鏡でも見えないものが、ある訳がないということで、原子論に対する根強い反対論があったそうです――「科学というものは空想の世界の話ではない、存在が直接実証されておらぬようなものを科学に持ち込むのは邪道だという考えは根強くあって、とくに19世紀の後半には、原子を認めるか認めないかという、2つの対立する立場の論争がさかんでありました。そしてどちらかというと、むしろ実証的な考え方のほうが優勢でした」(湯川秀樹 前掲書.39ページ)

結果的には、原子論という仮説を立てた方に軍配が上がったということです最初に先入観から入ることにより、吟味すべきことを排除してしまい、わずかに残った選択肢から判断してしまうということがあります。近年は、やたらと「エビデンス」という言葉が使われますが、大発見、大発明の大元には、人間の直感が作用していることが多いのです

先ほど紹介した湯川氏の書の最後の項目は「夢と記憶」です。夢は学者が取り上げるような科学的なテーマではない、と考えている人がいるかもしれません。ただ、夢の内容からも何かを分析的に導き出そうとしています。そういった彼の学問的態度を見習うべきでしょう。




 『古事記』には、先人が我々に伝えようとした重要なメッセージが多く書かれている

日本人とは何か、古来、日本人はどのように生きてきたのかを知ろうと思えば、どうしても『古事記』と『日本書紀』を紐解く必要が出てくる。この二書を通して、私は私たち日本人のアイデンティティの根っこのところを知ることができる、と考えている。私たちが日本の現在を考え、未来のビジョンを思い描こうとするとき、日本の成り立ちの根源に一度立ち帰ってみることが、殊のほか大事なことのように、私には思える」(池田雅之、三石学編 『熊野から読み解く記紀神話』扶桑社新書.2020年/14-15ページ)


何事もそうですが、問題意識がないままに何かを読んだり、先入観という色メガネで何かを見ても何も発見できないでしょう。ただの神話、作り話と思って読んでいる限りは、何も発見することはできないと思います。問題意識がある人は、木からりんごが落ちただけで原理を発見することもあります。

『古事記』編纂は国家事業です。ということは、そこには何か意味が込められているはずなので、当時の歴史的事情を踏まえ、そのような問題意識のもとに読んで欲しいと思います

そうすると、例えば天照大神が天岩戸に隠れてしまい、高天原は闇夜に包まれてしまったという記述があります。この時に、周りの神々はどのような行動をとったのか、これが重要です。『古事記』はメッセージ性が強い物語です。この場面は、国が危機に陥った時は、どうあるべきかを伝えようとしてのエピソードだと思っています。

その後を読むと、八百万の神々は困ってしまい、集まって相談します。それでも良い考えが出なくて、知恵の神に相談して、「祭り」を行うことを決めたと書かれてあります

どうもこれを読むと、困った時はとにかく多くの人の知恵を結集しろ、話し合いをしろと言っていると読めなくもありません。ただ、くれぐれも言い争いではないことに注意をして欲しいと思います。日本の国会のように角を突き合わせているようでは、良い知恵は出てきません。勘違いをしている政党が多いのです。同じ方向を向いての話し合いと読むことが重要です

「祭り」が何を表わしているか分かりませんが、「祭り」は皆の心を一つにして協力しなければ上手く行きません。そういったことを伝えたかったのかもしれません

イギリスの歴史学者のアーノルド・トインビー(1889-1975)は「21世紀への対話」の中で「民族の神話を学ばない国は、間違いなく滅びる」と言っています

交易は行われていたものの、貨幣経済は成立していない古代の時代。つまり人々は、金銭欲、財産欲、名誉欲といった人格を歪めるような変な欲望に支配されることなく、純粋な心をもって過ごしていたと考えられます。淀みなき、透徹した目で自然と社会、そして宇宙を見つめ書いたのが古事記神話だと思います

まだまだ、読み解いていない部分が多くありますが、古代の人たちの純粋な魂に触れることが日本の子供たちにとって大事なことだと思っています。

読んで頂きありがとうございました。

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