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副業、兼業、起業の時代 (2) / 終身雇用制終焉の時代

女性

「昨日のブログを読んで、副業に興味をもちました」

「昨日と言うことが違っていますよ」

女性

「それが私の良い所なんです。それでふとその後に思ったのですが、私も珠算の2級をもっているのですが、それって使えますかね?」

「私は珠算の世界は分かりませんが、各地に珠算教室があるのですから、それを教える師範の資格というのが必要ということではないでしょうか」

女性

「やっぱり、ダメですかね」

「ただ、副業というのは資格云々ではなく、師範の資格がなくても良いですよ、お手伝いで良いですよと言ってくれる人がいれば、そこで契約が成立します」

女性

「なるほど、アシスタントという手がありますよね」

「えっ、動き始めるのですか?」

女性

「まだ子供が小学生で、手がかかりますので今の仕事で手一杯なんですが、そういうことも頭の片隅に置いておこうと思ったのです」

「あなたの会社は副業を認めていないので、まずそこを突破しないといけないですね。その後、どうするかということです」

女性

「その後というのは?」

「その持っている資格をさらに磨き上げるのか、それともそのままで使うのかという問題です。師範をとれば誰も文句を言わないのでしょ?」

女性

「あのを、師範というのは大変なんです」

「2級をもっているので、1級、次に師範だからすぐかなと思ったのです」

女性

「すいません、1級の上が初段なんです」

「段位制なんですね。失礼しました。どの道も、厳しいものがあるんですね」

女性

「だって、私が2級をとったのは小学生の時ですから、殆ど資格と言えないようなものだと思います」

「分かりました。資格の道は厳しいということですね。ここからが本論です ↓」

 政府も副業を推奨―― 人材の流動化が急速にすすむ

企業がここに来て副業を認め始めたのは、政府の方針を受けてということもあるのですが、終身雇用制を今後は維持できないだろうという判断が広く働き始めたからです日本型雇用の代名詞である終身雇用制や年功序列型賃金を続けていると、激しい世界競争を勝ち残れないのではないかという判断があります。

言ってみれば「アメ」と「ムチ」です。副業を認めるという「アメ」をばら撒きながら整理解雇という「ムチ」をふるうということです。

そのため終身雇用制が崩れ始めています。そういうこともあり、40歳以上の中高年の転職市場が立ち上がりつつあるとのことです(『日経』2020.1.24日付)。

人材大手3社の転職紹介数は、2019年度に1万人を超え、それは数的には6年前の3倍の水準となります。『日経』の記事はさらに続けて、「早期退職など上場企業の人員削減案は2019年、1万人を超えた。人員構成でも給与面でも比重が大きいバブル世代などの処遇は企業にとり課題だ。未成熟だった中高年の人材流動化が進めば、年功序列など日本型雇用の見直しにつながる可能性がある」(『日経』2020.1.24日付)と指摘しています。

「人材流動化」という言葉を使っていますが、要するに企業にとって最も人件費がかかる層(40~50代)に対して、これからは人材の選別を行い、企業にとって不要と判断された人材は整理解雇で臨むということです。つまり、これからは「黒字リストラ」が普通にあるということです。2019年の黒字企業による「黒字リストラ」は約9000人に達し、前年の約3倍に増えました

 中高年の雇用者をどう生かすか

賃金の高い中高年がリストラの対象になりがちですが、実は日本の雇用者の約40%が50代以上なのです

【労働力調査】(2020年4~6月期平均)

 

 20代以下 18%
 30代 19%
 40代 24%
 50代 21%
 60代 18%

(総務省『労働力調査』/『日経』2020,10.1日付)

 

少子高齢化がこれから当分続くことが予想されます。であるならば、単純に切って終わりではなく、長年のキャリアを生かすべく企業の中には、「社内公募制度」を設ける例が出てきました。社員の希望と企業のニーズを合わせようとする試みです。

「社内公募制度」と言われてもピンとこないのですが、そのことを詳しく『日経』(2020.10.1日付)が報じていますので、それを下の表に簡単にまとめてみました。イメージを掴んでいただければと思います。

 

 企業名   名称          内  容
KDDI エルダー公募 2019年~。年2回、希望者の中から書類選考と面接。4回実施して300人以上が応募、約150人が監査業務や社内研修講師に配属された。
オリックス シニア社内公募 異動先としてグループ企業もあり。例)オリックス銀行マーケティング部
東京海上日動火災保険 60歳定年退職した人向け社内公募 地域の支店や営業所に社員として派遣。任期は原則1年で延長あり。

 

副業と社内公募をめぐる動きをみてきましたが、今後はこういった動きが加速することが予想されます

労働者は個々の能力を見つめ、組織や社会の中で自分を生かすということを考えて行動する時代に入ったといえるかもしれません。そういった点から考えると、労働組合的な発想、つまり労働者と会社を敵対的に捉えるという発想は時代に合わなくなってきています。その辺りは、歴史が解決していくことになりますが、少なくとも「団結、オー」と言って集団で行動する時代ではなくなりつつあるということです。それでは、今後は「共倒れ」になる可能性があるからです。そうではなく、労働者と会社経営者が知恵を絞って新しい時代を共に乗り切っていくという考えが正着だと思います。個人の能力を組織の中で伸ばす、会社もその力を上手く利用して、競争社会の中で成長していくということだと思います

そして、企業の中には副業者だけを雇う企業も現れました。「正社員主体の画一的な組織から、副業などの多彩な働き手を内包するモザイク状の組織へ」(「副業で専門性極める」『日経』2020.12.8日付)。政府も2018年に「雇用の流動性」を高める副業推奨にカジを切りました。そんなこともあり、この流れが増えてくると思われますが、組織のアイデンティティをどう確立するのか、興味があるところです。

まだ「実験」は始まったばかりです。これが本当に上手くいくかは分かりませんが、新しい可能性を感じます

読んでいただき、ありがとうございました。

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