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少子化対策について ―― 子ども関連予算を膨張させても少子化に歯止めは掛からない / 少子化の原因をきちんと分析していない

「少子化対策ということで、財源の問題が話題になっていますが、何か手当が増えると子供を産んでも良いと思うものなんですか?」

女性

「確かに子育てはお金が掛かるので、その負担が少しでも減るのは有難いと思うかもしれませんが、それだけで出産を決めている訳ではないと思います」

「まあ、そうでしょうね」

女性

「一人の人間を産んで育てることは大変なことなので、一通りのものが周りに揃っていることが必要かなって思います」

「保育環境、子育て環境ということでしょうか。例えば、どういったものが必要だと考えていますか?」

女性

「産婦人科、保育園、学校、学童、小児科医院、公園、図書館、マイカー。こんなところでしょうか」

「図書館とマイカーというのは? 今一歩、分からないのですが……」

女性

「児童図書は高いので、図書館で借りる必要があると思いますし、マイカーは送り迎えや病気になった時などに便利ですよね。買い物の時も重宝すると思います。都心以外であれば、マイカーは必需品だと思っていますけど……」

「要するに、手当てと施設・設備、さらには環境がセットになっていないと、子供を育てることは出来ないということですね」

女性

「あと、家の広さも関係があります。3DKだと2人でぎりぎりだと思います」

「そう言われれば、所帯を持った時2 DKのアパートでした。長男がそこで産まれたのですが、ここで2人は無理と女房に言われたことがあります」

女性

「まあ、そうでしょうね。様々な条件が揃って始めて子育てが出来ると思います。ここからが本論です ↓  なお、表紙写真は「経済ノート」提供です」

 少子化の原因をきちんと分析していない

戦後一貫して子ども抑止政策をとってきた日本1990年に1.57ショックがあり、それをきっかけに少子化対策に乗り出します。1994年にエンゼルプラン、2003年に少子化対策基本法を制定、2007年に少子化対策担当大臣というポストを作り、2010年に子ども手当を付けるようになりました。一連の努力の甲斐なく、殆ど効果が表れていません

何故、効果が表れていないのか。それは少子化の原因をきちんと分析していないからです。原因を分析しなければ、薬の投与で済むのか、手術が必要なのかが分かりません。同じ理屈です。国のやっていることは、聴診器を当てただけで、薬を処方しているようなものです。

原因が分からないまま、治らないからといって「異次元治療」と言って薬の量を倍にしたからといって効果はありません。やっていること、言っていることが非科学的なのです。

(「シントリー経営研究所」)

 戦後すぐの時期から約1/2世紀にわたって「人口抑止政策」を続けてきた

風邪程度の病気なら聴診器を当てただけの診療でも治るでしょう。ただ、戦後すぐの時期から約1/2世紀にわたって「人口抑止政策」が実施されてきました。つまり、戦後の食料難と第一次ベビーブームが同時進行し、家族計画ということで優生保護法が制定されて中絶が市民権を得ることになるのですが、人口抑止の大きな流れがそこで作られていたのです

日本の人口動態を調べてみると、出生数は1970年代以降下がっています。本来なら、その時点で「人口抑止政策」を止める必要があったのです。

ところが、そこから20年間ダメ押し的に「抑止政策」を続けます。マスコミもその流れに乗ります。例えば、「朝日新聞」は1974年の「社説」では「人口抑制の基本方針を示せ」という表題を掲げています。その中で、同年の日本人口会議での「子供は2人まで」という決議を評価しつつ、「国として人口を抑制するという基本方針を確立すべき時期にきている」、「出生の抑制に一層努力しなければならない」と書いています。今とは真逆なことを言っていたのです。

要するに、近視眼的に物事を判断するから、そうなってしまうのです。

(「産経ニュース」)

 子育て支援は、自治体の状況によって中身は変わる

『子育て支援の経済学』の中で著者である山口慎太郎教授(東京大学)は「児童手当などの現金給付より保育所整備などの現物給付が出生率向上に効果的」と言っていますが、これもケースバイケースです。

つまり、それぞれ家庭の事情が違うように、子育ての考え方が違うからです。絵本が必要と思っている人もいれば、公園と言う人もいるし、保育園がまず第一と考えている人もいるからです。逆に、お金と考えている人もいると思います。お金があれば、子育てに関わる費用に充てたいと思っている人も当然いるのです。

とにかく、効率的な費用選択のためには、住民動態調査をきちんとして、出来れば地域の歴史を調べることです。全国一律で何かをやれば効果が上がるという上手い策はありません。もう、そういう状態ではなく、各自治体で対策を具体的に掘り下げて策定しなければいけない段階に入っています。つまり、事態は深刻になっているということです。国を一つの人間と考えると、胃腸科、内科、眼科、耳鼻科、皮膚科など総動員で当たる必要がある段階です。もちろん、入院措置が必要です。

それから、ジェンダー平等を掲げる人がいますが関係ありません平等という概念は近代以降のものです。そういう考え方がない時代や国でも子供は増えているからです。現に戦前の日本で、明治から昭和の初めにかけて人口は倍増しています。

(「ナビナビ保険」)

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