「今日のNHKニュースで神田財務官の日常業務を放映していました」
「私もそのニュースを見ていました。彼もこの間の円安問題ですっかり時の人になりましたね」
「来月に退官されるとのことでしたね」
「そういうこともあっての報道なんでしょうね」
「朝一番に出勤して、その仕事の一端を垣間見た気がしたのですが、各国との調整が難しいなと思いました」
「私は彼が各国の金融担当者とあいさつを交わした後、車の中でふと日本の経済力がかつて程には存在感が無くなっていると呟くように言っていたのが印象的でした」
「現場の人が肌で感じる貴重な証言ですね」
「そして彼も長期的な観点から、前向きな改革が必要だと言っていました。日本経済のフアンダメンタル(基礎体力)が弱っているので、それを強くしなければ円安は進みますからね」
「介入することの効果についてはどう感じているのでしょうか?」
「あくまでも対症療法的な効果しかないと思っているのが先の発言で分かります」
「短期的な効果のために何兆円もの資金を投入することに違和感を覚えます」
「私はその巨額な資金を動かすことの判断を、財務省という一省庁に任せていることに違和感を覚えます」
「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「中日新聞Web」提供です」
弱点は国力が弱くなるに従って増す
農耕民族である日本人は、大陸の狩猟民族・遊牧民族に比べて俯瞰力が弱い。何故なのか。何千年という生活形態の違いから来ています。狩猟民族は大陸の中で、常に安住の地を捜しながら移動生活を続けてきました。進む方向を間違えれば、下手をすると野垂れ死にします。どうしても真剣にならざるを得ません。
一方、日本は温暖で土地も肥沃なので、基本的にどこに住んでも食料の確保は容易です。海の近くでも、川の近く、果ては山の近くでも定住生活が可能だったと思われます。実際に縄文の後期から定住生活をしていたことが分かっています。
定住生活に必要なことは、自分のテリトリーを守ることです。そこさえ確保されれば、生きていくことができます。だから、どうしても近視眼的になりがちです。我々日本人はそういった弱点を遺伝子レベルで持ち合わせています。その弱点は特に国が動揺すればする程、そして国力が弱くなればなるほど顕著に出てくることになります。今まさに、そういう状況になりつつあります
(「CS Harmony」)
円安介入はドブに金を捨てる行為
外国為替市場で11日夜と12日夜に円相場が急伸しました。3~4兆円の介入が実施されたと言われています。つい先日の介入が9兆5千億、併せて約13兆円の介入ですが、これだけの資金を投入する価値があるのかということです。私自身はドブに金を捨てる行為だと思っています。円安基調は変わらないからです。対症療法的に処理をするという日本人の悪いクセが出たと思っています。
一口に1兆円と言いますが、大変な金額です。仮に産まれた赤ちゃん一人ひとりに1千万円を配るとして、何人に配れるか計算してみます。昨年1年間に生まれた赤ん坊の数が約75万人です。その一人ひとりに1千万円ずつ渡します。総額いくらかかるかというと、7兆5千億です。つまり、介入資金をドブに捨てる位なら、そういうかたちで少子化対策として国民に還元することを考えた方が良いのです。
そういった還元が「不公平」ということで問題があるというなら、国債の債務残高を減らすようにすべきでしょう。現在の債務残高はGDPの2.5倍です。G7各国の平均が1.5倍なのでかなり高くなっています。こういったデータを見て金融は動きますし、債務残高が多いため、金利を上げることが出来にくくなっています。それを見越して、円安に振れている部分もあるのです。
(「東京ファイナンシャルプランナー」)
ファンダメンタルを強化するための根本対策を
2人の会話で触れましたが、外貨準備高からの資金を援用して介入資金にしています。ただ、それも国の「資金」であることは間違いないので、それを財務大臣と財務省の判断だけで動かすことの是非を国会で議論して欲しいと思っています。
そしてそもそも、円安についてそれほどまでに介入しなければならないのならば、どうしてNISA枠を拡大したのかと言いたくなります。無利子枠が拡大したので、投資資金を海外に振り向ける人も多いと思います。それは即ち海外に資金が流出することになります。NISA枠を拡大しておいて、円安介入をする。〇〇丸出しのことをやっているのです。これも元を辿れば近視眼的にしか物事を判断できていないために起きています。
円安の根本原因は、日本の経済力の弱体化が進行しているからです。「日経」は「政府は規制改革に取り組む必要がある」(7/13日付)としていますが、そのような小手先レベルの改革ではなく、構造的な改革が必要です。入院をして総合治療をするレベルまで病状が進んでいます。
(「nippon.com」)
読んでいただきありがとうございました。
よろしければ「ブログ村」のクリックをお願いします。
↓