「照ノ富士が優勝しましたね」
「あれっ、相撲に関心があったのですか?」
「相撲は前から好きでしたよ。勝った負けたという面白さもあるけれど、場所を追いかけると、何か人生模様を感じることができるでしょ。そこが魅力です」
「そういう意味では、照ノ富士は「地獄」を見ていますからね。私も今回の「復活劇」感動しました。今回の優勝で大関復帰に花を添えるかたちになったと思います」
「一度陥落したんですよね」
「陥落といっても、半端のない陥落です。何しろ、序二段まで落ちましたからね」
「序二段と言われても、よく分からないのですが……」
「ファンじゃあないの? 俄かファン? それとも不安?」
「つまらないダジャレを言わないで、教えてくれますか?」
「幕の内、十両、幕下、三段目、序二段、序の口という順番になります」
「ずいぶん下まで下がったのですね」
「元大関のプライドもあったと思います。序二段というのは、月給と付き人なしです。だから、一度引退させてくれと言ったこともあったそうです」
「そこから這い上がったということですね」
「そういった変化が激しい世界の魅力を感じます。まさに、現実の世界の政治・経済を見るようです」
「えっ、そこに話が飛ぶのですか?」
「先場所優勝力士が8勝7敗でぎりぎり勝ち越しました。今の時代は、すべてがイレギュラーバウンド、そして乱気流の時代です。日頃から、思考の練習をしておく必要があります」
「今一歩よく分からないですが、柔軟に考える習慣をつけろということですね」
「時代の流れが早くなっています。固定観念はとにかくダメ、すべてのイドラ(先入観)を廃し、事態を曇りなき目で見ることが大切です」
「昨日の友は明日の敵ということですか。ここからが本論です ↓」
目次
経済的に豊かになっても「お国柄」は変わらない
東西冷戦が終結した時、それから約30年後に、まさか世界が再び2分して布陣を敷き始めるとは、誰が想像したでしょうか。そのまさかの事態が眼前で展開しようとしています。
東西両陣営の主軸国家はアメリカ、そしてもう一方は中国です。ただ、その中国をここまで育てたのはアメリカであり、日本です。最初に手を差し伸べたのがアメリカです。ニクソンが中国に飛んで毛沢東、鄧小平と握手をしたのです。ソ連との冷戦を有利に進めたいという気持ちと、中国が豊かになれば民主主義国家になり、自分たち、つまり西側陣営に入ってくれるだろうという思惑があったのです。
国柄というものは人柄と同じで、経済的に裕福になったからと言って基本的には変わらないものです。「変わるはず」という変な固定観念、思い込みが結局は、ソ連よりも難敵をつくりだすことになります。さらに、ソ連は崩壊しましたが、現在のロシアはプーチン独裁政権の様相が高まっており、元のお国柄に返り咲こうとしています。日本の言葉でいうと、「先祖帰り」ということです。
(ニクソンと毛沢東 「ウィキペディア」)
オバマ民主党政権は、習近平を国賓として迎えた
トランプ大統領の前のオバマ大統領の時、アメリカは中国に対して極めて融和的でした。中国による南シナ海での覇権的行動やサイバー攻撃、知的財産の窃取など、やりたい放題だったにも関わらず、2015年9月に習近平国家主席を国賓としてアメリカに招待しています。
ホワイトハウスで共同記者会見を開いて「南シナ海を軍事化しない」という習近平国家主席の言葉を引き出して、大きな成果だと言って、天に上った気持ちでいたのです。行動をきちんと分析せず、共産主義者が言ったことをそのまま信じる人の良いアメリカの民主党政権だったのです。
トランプ政権となり中国に対して、ハイテクや軍事、貿易の不均衡、香港や台湾、ウイグルの人権問題など、中国をめぐる懸案事項について問題提起をし、対決姿勢を鮮明にしました。その政治姿勢に対して、オバマ政権下の国務省高官を含む民主党有力者約100人が「中国は敵ではない」という公開書簡を連名で発表しています。その書簡を見ると、中国を経済的な敵国、さらにはアメリカにとって安全保障上脅威となる存在ではないという認識だったのです。
そのようなポジションであったため、中国はトランプ政権の存続を望まず、民主党のバイデン候補を推します。トランプ大統領が選挙で不正があったと主張しているように、当然何らかの関与があったと思われます。巧妙に行われたので、それを明らかにするのは難しいと思いますが、何らかの「世論工作や情報工作」(2020.8.7日付、米国家情報長官室声明)が当然あったと見るべきでしょう。
コロナ禍が転機となる
アメリカ民主党が中国に厳しい目を向け始め、態度を変えるきっかけとなったのがコロナ禍です。アメリカに大きな被害をもたらしたことと、初期段階の隠ぺい工作やWHOとの対応の不備などがあり、失敗が重なりました。そして、初期段階で率直にアメリカと対策協議をしてくれれば、ここまで世界に感染が拡大しなかったという思いがプラスして、それが中国に対する見方を変えるきっかけになります。
その延長線上に位置づくのが、先日の3月25日にホワイトハウスで行われたバイデン大統領の就任後初めての公式記者会見です。
大統領就任から2か月以上も経っての公式記者会見です。何故、こんなに遅いのかということで、様々な憶測も流れました。要するに、中国に対するポジションをどこに取るかで、政権内の議論が様々にあったのでしょう。そして、その会見の内容は、中国の専制主義と戦う、ウイグル弾圧を批判し、中国の人権蹂躙に声を上げ続けるというものでした。いろいろな評価が出ていますが、当初予想されていたよりも対中批判が強かったというのが私の感想です。
(CNN co.jp)
「民主主義国家グループ」対「専制国家グループ」の様相――現代版「関ケ原の戦い」
中国をどう見るか、2つの見方があります。「悲観論」と「懐疑論」です。前者は、このまま中国は世界統一に向けて、突っ走るという見方です。「懐疑論」というのは、強硬姿勢をとりつつも環境や貿易、経済の協調できる分野では協力できるし、中国もそれを望んでいるという立場です。
どちらなのか。言葉は嘘つきなので、行動で判断します。現在、王毅外相が中東を歴訪しています。イランとの間で、経済や安全保障を巡って25年間の協定を結んだところです。貿易や人権、核合意などを巡り米国と対立する両国の思惑が一致したのです。そういった行動を見る限り、「悲観論」が正着だと思います。
そういった中国の動きに対して、バイデン大統領はジョンソン英首相との電話協議で、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対し「民主主義国家で同様のイニシアチブを作り上げ、世界中の民主主義陣営を支援する構想について提案した」と表明しました。
「民主主義国家グループ」対「専制国家グループ」に分かれて世界が対立する様相になってきました。当然、世界において、民主主義が優位だろうと思われるかもしれませんが、数的に言うと専制国家の方が多いのが現状です。
さらに、それぞれのグループの間で揺れ動く国も出るでしょう。日本と韓国が多分そうなります。日本は当然「民主主義グルーフ」と誰もが思っているので、国民世論はそちらでまとまることが出来ますが、経済関係の繋がりから与党の自民党、公明党の中に親中グループがいます。野党の中にも、当然います。そのため、当然揺れ動きます。いろいろな繋がりの中、ふだん人権と言っている政党やマスコミがウイグルの問題では口を閉ざしているという現状があることも確かなのです。
日本の思考パターンというのは、政治と経済を切り離して考える。その上で協力できることはお互い協力していこう。とにかく、喧嘩をしないようにというのが戦後外交の基本姿勢です。ただ、世の中が太平であり、自国が経済的に優位を保っている間はそれでも良いのですが、人口減もあり政治的経済的力、技術力が低下傾向になってきているので、今後はその様な曖昧な態度は通じなくなるのではないかと思っています。「関ケ原の戦い」を前にして、どちらの陣営につくのか、決断をする日が迫っているのです。
(「Quora」)
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