「7月1日が中国共産党の創立日だったんですね」
「それに関して『産経』が興味深い記事を載せていましたね。中国共産党の第1回党大会が7月23日だったという記事を1面に載せています」
「えっ、そうなんですか?」
「非常に興味深い記事で、1921年7月23日に上海のある邸宅で中国共産党の第1回党大会が開かれたそうです。その邸宅で芥川龍之介がその数か月前に中国共産党員の李氏にインタビューをしているのですね」
「そういう接点があったのですね。7月23日が、どうして7月1日になってしまったのですか?」
「そこが歴史を書き換える共産党らしいところですが、その第1回党大会に出ていた毛沢東が日にちを思い出せなかったらしいのです」
「それで7月1日になってしまったということなんですか!」
「そういうことみたいですね。あと、『産経』の記事によると、実際の党の創立大会は1920年11月というのが専門家の常識だということだそうです。ロシア革命記念日にあたる11月7日に「中国共産党宣言」の文書が作成されていることまで分かっているそうです」
「じゃあ、その日に修正すれば良いと思いますけど……」
「修正できない事情があるのです」
「えっ、何ですか?」
「その宣言文書に毛沢東が関わっていなかったのです」
「なるほど。ここからが本論です ↓」
中華民族という民族はない
7月1日の中国共産党100年にあたっての習近平主席の演説で気になることがいくつかあるのですが、まず1つは中華民族という言い方が気になります。中国は50以上の民族から成る多民族国家だからです。それは衆目の一致するところです。チベット族、ウイグル族は自治区を与えて保護をするという原則だったはずです。中華民族という言い方は、そういった保護政策はもうやらないと言っているように聞こえます。ウイグル族に対する人権侵害も、そういった認識の延長線で起こっているということでしょう。
中華民族という言葉が使えるような社会の状況に中国は、もうなってしまったということだと思います。例えば、日本で日本民族という言葉を使ったとすると、必ず何らかのアクションが確実に来ます。アイヌ民族、在日の人もいるだろう、琉球民族という人もいるかもしれません。民族には、民族の文化と伝統があります。そういったものに、どの民族もプライドをもっていると思います。デリケートな問題が含まれますので、ある意味当然なのです。
天安門広場で中華民族という言葉を何回も連発できる国内状況であるということを理解する必要があるでしょう。
ちなみに、中華という言葉は、孫文が主導した辛亥革命(1911年)の中でスローガンとして使われています。「駆除韃虜(くじょたつりょ)、回復中華」」です。韃虜というのは、騎馬民族や満州族のことです。字を見れば、余り良い意味ではないことがよく分かります。彼らを駆除して、漢民族の国をつくろう、その言葉として「中華」という言葉を使ったのです。同じ意味で使っている感がします。
要するに、孫文は単一民族の国をつくろうと考えたのですが、民族間の対立を呼んでしまい上手くいかなかったのです。
(「大山俊輔」)
マルクスの権威を借りるために、マルクスを連発
『日経』(7.2日付)がほぼ1面を使って要旨を掲載しています。それを見ると、マルクスを連発しているのが分かります。「マルクス主義の中国化」「マルクス主義は私たちの立党と立国の根本的な指導思想」「マルクス主義、レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論」「現代中国のマルクス主義と、21世紀のマルクス主義の発展を継続していく」などです。
これ程多くの「マルクス」を使うとは意外でした。結構、ショックを受けているのが日本共産党ではないかと見ています。彼らは、中国は社会主義でも何でもないと言って批判していたのですが、「マルクス」に対しては最近においても揺るぎない信頼感を抱いていたからです。実際に、資本論新約版を最近出版したばかりです。使うなとも言えないし、かと言って喜ぶ訳にはいかないでしょう。ショックだったのでしょうか。7/2の「赤旗」の社説(「主張」)は中国共産党以外のことを取り上げていました。下の表の「×」はそういう意味です。
予想以上に「マルクス」を連発したということは、揺るぎのないものがそれ以外にないということです。人間を一つの組織の中にまとめるためには、必ず核(コア)となるものが必要です。普通は、歴史と伝統と文化です。歴史がわずか100年というのでは1世代なので、それではまだ胸を張るような期間ではありませんので、何か権威あるものを持ってくる必要があったのでしょう。
当面のターゲットは台湾と日本です。日本では「マルクス」は結構インパクトある人物なので、日本さらには国内向けの演説には利用価値がある人物として使おうと思ったのでしょう。とにかく、彼らは便宜的に人の名前を使います。日本の大学に対しては「孔子学院」をつくり、演説ではマルクスを使うのです。
なぜ、そのような手法を使うのか。簡単に言えば、誰もが信奉するような権威ある人を掲げ、その人を神格化すれば後は何か言う場合は、その人の名前を持ち出せば説得性がでるからです。
(「ZAKZAK」)
【各社の7/2日付社説一覧】
読売 | 中国共産党100年 強国路線拡大には無理がある |
朝日 | 中国共産党、誰のための統治なのか |
毎日 | 中国共産党の100年 分断を招く大国では困る |
日経 | 中国共産党は世界との溝埋める努力を |
産経 | 二階氏は恥を知らぬのかー中国共産党に祝電 |
赤旗 | × |
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