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『08憲章』の内容は、極めてオーソドックスなもの / 「権謀術策」の歴史の中で人権意識が育たず

「中国の『08憲章』について、殆ど話題にならなくなってしまいました」

女性

「『08憲章』というのは、何ですか?」

「2008年12月にネット上に掲載された中国における民主化宣言のことです。日本のネットで検索すると『08憲章』全文を日本語で読むことが出来ます。作家の劉暁波(りゅうぎょうは)氏が中心になって出した宣言ですが、彼はそのことで2009年の暮れに懲役11年の刑を科されます」

女性

「『08憲章』の起草者だったということだけでですか?」

「そうです。2010年に一連の活動が評価されてノーベル賞の受賞が決まりますが、当局は一切そのことを無視します」

女性

「当時も相変わらず強行だったということですね。それにしても懲役11年というのは凄いですね。罪名は何ですか?」

「国家政権転覆扇動の罪ですね」

女性

「その後、何年か前に獄中で亡くなられましたよね。ニュースで報道されていました」

「2017年に亡くなっています」

女性

「死因は何ですか?」

「表向きは肝臓ガンということになっていますが、それが明らかになった時に、西側での治療を望んだのですが、当局は首を縦に振らなかったのです」

女性

「それだけ民主主義的な動きを恐れ警戒したということでしょうね」

「憲章発表の前夜に彼の身柄を拘束します。そして、国民に同調しないように警告しますが、署名呼びかけに応じる人がネット上で急増します。そして、数日後に『08憲章』はネットから消されてしまいます」

女性

「ということは、中国ではその中身を見ることは出来ないのですね」

「『危険思想』ですからね。無理だと思います。劉暁波の名前も忘れ去られているのではないかと思います」

女性

「天安門事件というのは、その前ですよね」

「1989年の民主化運動ですが、弾圧されています。実は、その約10年前の毛沢東、鄧小平の時代にも民主化旋風が吹いたのですが、弾圧されています」

女性

「すべて抑えられてきたということですね」

「香港も抑えるのに成功した。ウイグルを巡って国際批判が今高まっていますが、従来のやり方をそのまま踏襲するでしょうね」

女性

「ロシア、北朝鮮が味方につき始めて、さらに強気に出そうですね。ここからが本論です ↓」

 中国の歴史は権謀術策の歴史そのもの

中国の政治史を概観すると、2つの特徴があることが分かります1つは、権謀術策の歴史そのものであるという点です。石平氏は「この国の歴史書を紐解くと、度重なる易姓革命や頻繁な宮廷政変のなかで、人々は狡知の限りを尽くして陰謀を巡らし、相手を罠にはめたり死地に追いやったりして、残酷な権力闘争を勝ち抜こうとする場面には、いくらでも出会うことができる」(『謀略家たちの中国』PHP、2009年/38ページ)と言います。

天下泰平という何か理想があって、それに向かって艱難辛苦を乗り越える中で、その姿に感動して協力者が増え、時の流れに乗って権力を掌握し、その後万民のための施策を行ったという物語はありません。

艱難辛苦をしないように様々な悪知恵を働かせ、その姿を見てその利権にあやかろうと協力者がどこからともなく現れます。そして、彼らと協力して権力を握るのですが、権力を一手に握るために協力者をあの手この手で謀殺、あるいは排除していきます。独裁者となった後は、ひとえに自分自身のために権力を振るい、自分の権威を高めるためにひたすら敵対者を排撃し続ける人生となるのです。世のため人のため、周りの国のためということは絶対にありません。

「『金の亡者』同士の騙し合いというのは、いわゆる中国流権謀術の第一の特徴」(石平、前掲書、41ページ)でもあるからです。

 

 中国は西洋的な人権という価値観を拒み続けている

もう一つの特徴は、20世紀以降に西洋的な人権といった価値観が中国に流入するのですが、それに対して徹底的に拒否し続けた歴史でもあったということです。それは現在においても続いています。

そういう点では、日本と対照的なのです。日本の場合は、その転機は明治維新期でした。「Right」という西洋の概念をどのように訳するのか、結局、権利、人権という翻訳が当てはめられるのですが、日本の先人たちは造語によって前向きに対応しますが、中国は完全排除で臨みます。中華思想の影響が多分にあったのではないかと思います

ただ、将来中国が人権という価値観を受け入れ、さらには普通選挙に基づく民主主義国になった時に、「08宣言」が原点であったということで見直されるかもしれません

カール・フォン・オシエツキーという人は、1935年、ナチス・ドイツの強制収容所にいながらにしてノーベル平和賞を受賞した平和主義者でした。アドルフ・ヒトラーは、家族が代理人として授賞式に出席するのを許さなかったのです。

劉暁波氏は第二の「フォン・オシエツキー」です。中国政府は、妻が代理として式典に出席することを認めず、それどころか彼女を自宅軟禁にしたのです。オスロで開かれた2010年の平和賞授賞式で、劉氏の代わりに壇上に上がったのは、空の椅子だったのです。そしてそれを機に、21世紀の中国と1930年代のドイツが比較されるようになりますが、日本を始め世界の国は、中国市場の実利を求める経済原理が強く作用して、中国を強く批判できなかったのです。中国はその間に、自分たちの統治を堂々と臆することなく続けているのが現状です。

トヨタ自動車は2022年にも、燃料電池車(FCV)の基幹システムを中国で現地生産する検討に入った」(『日経』2021、3,24日付)そうです。これは中国政府の求めに応じたものだそうです経済と政治は別、というのは屁理屈です。企業家にも、実利だけではなく、世界の政治の流れを理解することが求められる時代です。

  「08憲章」の内容は、オーソドックスなもの

ところで、中国当局が必死の思いで押さえ込もうとした「08憲章」の内容は、誰もが納得できるような至極当たり前のものです。いくつか、以下紹介します。

【08憲章】

自由は普遍的価値の核心のありかである。言論、出版、信仰、集会、結社、移動、ストライキ及びデモ行進等の権利はいずれも自由を具体的に体現するものである。」

「人権は国によって与えられるものではなく、各個人が生まれながらに有し、享受する権利である。」

「ひとりひとりの個人は社会的地位、職業、性別、経済状況、種族、肌の色、宗教或いは政治的信条の別を問わず、その人格、尊嚴、自由はみな平等である。」

共和とは「みなで共に治め、平和に共生する」ということであり、分権によるパワーバランス、利益のバランスということであり、……」

 

ごく当たり前の内容だと思いますが、中国ではこれを言うと国家政権転覆扇動の罪に問われて懲役11年の刑に処せられるのです。ただ、黙っていればやがては日本も呑み込まれ、そういった国にならざるを得なくなります。

弱肉強食は、生き物の世界だけの話ではありません。現実の国家間の話でもあります。手がつけられるうちに、何らかの手段を講じなさい、それを気付かせようと、天はコロナを降らしたのかもしれません。

ただ、問題意識がなければ、どのような現象が起きても気が付かないまま、空しく時間だけが過ぎていくことになります

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