「2018年に『SILENT INVASION』(目に見えぬ侵略)という題名の本をオーストラリアの大学教授が書いて話題になりました。その日本語の翻訳本を持ってきました」
「出版するまで、一苦労あったと聞きました」
「二苦労ですね。2社から刊行を断られたみたいですね」
「どうしてですか?」
「その辺りは、よく分かりませんが、厚めの本なので採算ベースの問題があったかもしれませんし、別の事情があったのかもしれません」
「中国からの圧力ですか?」
「そこのところは、全く分かりませんが、内容的には中国の「悪事」を告発するものとなっています」
「中国では発禁処分ですね」
「それで済めばオンの字でしょう。だけど、その書を読んだ上で、日本の方が「オーストラリアよりずっと進んでいる」と言っているのは『日本はすでに侵略されている』(新潮新書.2019年)を著した平野秀樹氏です」
「日本の方が……と言っているのですか!!」
「実際に尖閣近辺で領海侵犯、漁船に対する追尾、接続水域60日間公船、潜水艦出没があってもNHKは何も報道しません。本来、国会で決議を上げるくらいでないとダメなのに、与野党ともに大人しいですよね。騒いでいるのは、自民党の保守グループ位のものです」
「コロナウイルスの時も、1月2月の頃は、国会は知らん顔していましたよね」
「中国からの航空便を、政府はなかなか止めませんでしたよね」
「習近平来日を結構こだわり続けていましたよね」
「国賓で迎えられるような状況ではないのに、問題は解決したみたいなことを言って、迎えようとしていました」
「何か見えない力が働いていたのでしょうか」
「その状況を見て、天がコロナを派遣したのでしょう」
「ハイハイ、だけどタイミングとしては、そんな感じでしたね(ここからが本論です)↓」
中国の狙いは、日本とアメリカの分断、そして日本の弱体化
「北京の世界戦略における第一の狙いは、アメリカの持つ同盟関係の解体である。その意味において、日本とオーストラリアは、インド太平洋地域における最高のターゲットとなる。北京は日本をアメリカから引き離すためにあらゆる手段を使っている」(クライブ・ハミルトン「日本語版へのまえがき」『目に見えぬ侵略』飛鳥新社.2020年)という文章で始まるこの書は、中国のオーストラリアに対する「浸食」ぶりを浮き彫りにしています。
一番不思議なのは、中国が何故オーストラリア、そして何故日本を狙うのかだと思います。つまり、お互い与えられた領地で、お互い国際法を守って静かに暮らしていれば、世界は平和に過ぎ行くのに、何故わざわざ波風を立てるような振る舞いをするのか、ということです。
その辺りについて、中国人が地球で最も優れているので、その偉大な文明とともに世界のグローバルリーダーになる必要があるという理屈です(クライブ・ハミルトン 前掲書/40-41ページ)。そういった考えに対して、国内の学者たちの多くは危険であり、懸念を抱いているものの、あからさまには批判できない状況とのことです。
その理屈を支えるロジックは、ほとんど論理になっていないし、もちろん国際社会では通用しない代物です。
例えば、オーストラリアについては、「1420年代に明朝の遠征艦隊がオーストラリアの岸にたどりつき、その後の数世紀にかけて中国人は『南方大陸』と呼ばれ(ママ)、現在はオーストラリアとよばれるこの土地へ海を越えて航海し、住み着いたのです」(クライブ・ハミルトン 前掲書/43ページ)と言っています。
だからどうした、と思わず言いたくなりますが、彼らの論理からすると、第一発見者がその国の所有権を得るのです。そして、これが現在は13世紀から14世紀の頃、中国の元朝の探検家がオーストラリアを発見したことになっているそうです。歴史の書換えは、彼らの得意とするところです。
南シナ海についても、「南シナ海全体を2000年以上前に発見し、名称をつけて、探査し、利用してきたと主張する」のです。だから、勝手に引いた九段線なるものも当然有効、ということなのです。
オーストラリアに対して、ありとあらゆる攻撃が加えられている
「中国というのは他国に対して積極的に害を与えようとする国」(184ページ)と言います。そして、現在はオーストラリアの財界のエリートと一緒になって、「オーストラリアの主権を内側から侵食している」(185ページ)と言っています。
「1000人のスパイと情報提供者」がオーストラリアにいて、合法的であるが大規模に行われているとのことである。アメリカ内には2万5千人の謀報員を忍び込ませ、1万5千人の情報提供者をリクルートしているとのことです。そして、日本では「数千人にものぼる中国共産党のエージェントが活動している」(9ページ)
「スパイ、情報提供者、インフォーマント、シンパ、影響工作員など、その呼び名は様々だが、中国はこのすべてをオーストラリアに潜伏させている」(347ページ)のです。そして、オーストラリア内の中国人学生は中国共産党によってコントロールされ、海外にいるダライラマ、法輪功、民主活動家に対して、批判運動を展開しているのです。
「オーストラリアの言論・宗教・結社の自由を制限しようとしている。社会の調和を脅かしているのだ。これに成功すれば、オーストラリアの主権と国家の安全は侵害される」(82ページ)とは、オーストラリアの中国の専門家と言われるフイッツジェラルド教授の弁です。
日本はヘビに睨まれたカエル状態
ソ連は、ゴルバチョフ大統領の時にグラスノスチ(情報公開)を行ったのですが、そのことにより国民にそれまでに秘密にしていたことが一挙に白日の下にさらされることになりました。経済の疲弊もあったのですが、そのような措置が崩壊を早めたというのが中国の判断なのです。彼らが情報を出さないようにしているのは、そんなところに原因があるのです。
そしてその頃から、攻撃は最大の防御ということで、拡張政策に転じます。1995年に中国の李鵬首相はオーストラリアのキーティング首相に、日本という国は40年後の2035年頃にはなくなってしまうだろうと思わず言ったという話が伝わってきています(『日本はすでに侵略されている』)。
2013年が「一帯一路」構想を提唱した年です。これは世界征服宣言であり、征服計画です。このシナリオに基づいて、現在も進もうとしています。香港、台湾、そして日本の尖閣がその最前線に位置付けられています。軍事的緊張は、今後も続くと思われます。不測の事態も起こるかもしれません。
ただ、かつての時代のように正面から軍事衝突して、領土を割譲することはできにくくなりましたので、どうしても相手の内部を瓦解させる作戦を同時並行的に行います。政権を混乱させるような勢力を育成、もしくは支援したりします。その上で相手のミスがあればそれに乗じるようにします。社会を分断できるようなイデオロギーを発信するようにします。女系天皇とか夫婦別姓などです。贖罪意識を高める反日教育も有効です。
実は、こういう状況下なので、文科省による中央集権的な教育態勢は非常に危険なのです。トップが浸食されれば、検定教科書を使って反日勢力の都合の良い論理が子供たちを洗脳することになります。そして、現にそうなっています。例えば、アイヌを先住民族としたり、外国人参政権や男女の形式的平等を説いたりなどです。少なくとも、社会科関係については、現場の教員が中心となって教科書を作成するようにします。アメリカのように地方分権にして、地域の実情に合わせて教育営為を行う態勢を作るべきでしょう。
話を戻します。経済を発展させることは、軍事力を高めるためにも必要です。そして、そのためには高い技術力が必要です。それを様々な手段を使って盗むようにします。さらに、日本の土地の売買は何の規制もないため、誰でも買うことが出来ます。そこに目をつけて、日本の土地を外資や外国人が手に入れているという現実があります。中国の富裕層が日本の土地を買いまくっている、という話が伝わってきています。
お金によって土地を合法的に手に入れるという方法を有効に使うという戦法を取っているのです。こういった動きに対して、日本の国会は与野党問わず動きが極めて遅いです。その辺りについては、平野秀樹氏の『日本はすでに侵略されている』が詳しいです。
カエルはヘビに睨まれると動けなくなると言います。政府といい、国会といい、NHKといい、まるでそんな感じに見えてしまいます。
読んで頂きありがとうございました。
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