「今、入ってきたニュースですが、今季はインフルエンザの大流行の恐れありと感染症学会が発表したそうです」
「ところが、私が把握している情報によると、インフルエンザワクチンは例年の3割減の供給ということみたいですよ」
「それは、どういうことですか?」
「インフルエンザワクチンについては、型や数量はあくまでも予想に基づいて生産するのですが、昨年のインフルエンザの患者が推計1.4万人と極めて少なかったので、今季もそうではないかという予想を立てたようです」
「もしかしたら、コロナに変わってインフルエンザが大暴れということがあるかもしれませんね」
「何となくコロナを一番恐れていますが、インフルエンザも強敵なのです。コロナの方はワクチンが出来て、飲み薬が試験段階に入りましたよね。人類はインフルエンザと100年位戦っているのですが、飲み薬はまだ作られていません」
「じゃあ今季は2つのウイルスと同時に闘うということになるかもしれないということですね」
「気を付けるのは当然ですが、それが文化的行事の断絶にならなければ良いなと思っているところです」
「文化の中には、スポーツが入りますが、オリンピック・パラリンピックは結局、無観客で実施せざるを得ませんでしたからね」
「全種目無観客の措置をする必要がなかったのではないか、せめてパラリンピックの何種目かは観客を入れての実施の決断をすべきだったと思います」
「様々な意見がきっとあったと思います。今でも、地域のイベントについて、どうするかということで、頭を悩ませている方が全国に多くいらっしゃると思います」
「そうでしょうね。ただ、継続することによって受け継がれていくものですし、継続するためには実施をして周りに感動と共感を与える必要があります。リスクだけを考えないで、両面から判断して欲しいと思っています」
「何事もそうだと思いますか、バランス的な感覚でもって判断して欲しいと思います。ここからが本論です ↓」
目次
コロナとの共存態勢を模索する時代
NHKのニュースでは、コロナについては必ず状況を報道します。ただ、そういう放送を連日のように見ていると錯覚を起こすかもしれませんが、実はインフルエンザの感染者数は昨年度は異常に少なかっただけで、例年約1000万人位いますし、死者数も年間3000人から5000人位いるのです。
ちなみに、2020年の3月頃からの1年半余りの間にコロナが原因と思われる死者は約1万8千人です。感染者数はインフルエンザの方が多いのですが、コロナ一色の報道がなされている状況下でインフルエンザより、はるかにコロナが怖いウイルスであるかのようなイメージを多くの国民は持っているのではないかと思います。
インフルエンザのワクチンはありますが、飲み薬はありません。そういう中でも、今までインフルエンザに気を付けながら普通に市民生活を送ってきました。テレビもいちいちインフルエンザの感染者数、死者数を報道していませんでした。コロナが新たに生まれたウイルスということでしょうが、そろそろ共存体制に入る時期だと思います。そうしないと、ウイルスの脅威が去ったものの、日本の文化行事が見事に消えてしまったというのでは、お話にならないと思うからです。
(「毎日新聞」)
文化と教育を守り育てるのが自治体の本来的役割
都道府県と市町村、多くの地方自治体が日本にあり、多くの首長と議員が選出されていますが、そもそも自分たちは何をするのか、何をしたら良いのか、根本的なことが分からないまま首長や議員になった人が増えている気がします。
総務省は「地域おこし協力隊」なるものを創設して各地に要員を派遣していますが、要するに、地方政治が体たらくなので、国として応援していると言われているようなものです。少子化対策を見越した地域おこしは、本来は自治体が行うべきものです。地方議員や職員が時にはボランティア精神を発揮して地域の振興のために働くのが仕事ですが、何となく議会に出席して予算審議に加わっていれば良いというのではダメだと思います。何をするのか。問題意識さえ持っていれば、いくらでも仕事は見つけられると思います。
古い公営団地があれば、入居率を調べて建替えができないか考えてみる。商店街が何か元気がないようであれば、商店主と立ち話をしてみる。下校時に事故に巻き込まれたというニュースを聞けば地元の通学路を安全面から総点検してみるなど、いくらでもあると思います。特に、地域に文化と教育、そしてそれを発信する組織と中心となって働いている人とタイアップしてみる、そして何かが欠けた時、あるいは弱体化し始めた時、早めに手当てをするようにします。地域の人と地方議員が協力して地域を盛り立てる態勢をつくることができるようにします。そして、そこに時には地元選出の国会議員が協力する、地元の振興のために二人三脚で取り組むということだと思います。
(「地理院地図・国土地理院」)
「子どもは地域の宝」政策を貫いているのが沖縄
沖縄県は日本の中で唯一人口自然増(2%)を達成した県です。沖縄県には、子供を中心に地域がまとまり、方言も含めて地元文化を子供たちに伝えていこうという気風があります。
「八重山日報」という沖縄の地元紙があるのですが、そういった気風もあり、地域の活動を細かく伝えようとしています。10月3日付の朝刊には全校生徒わずか9人という、日本一小規模な竹富町立鳩間小中学校の赤い羽根共同募金の「出発式」の様子が報じられていました。昨年度の竹富町の学校募金ですが、生徒一人当たりに募金額が1030円で県内で1位だったそうです。学校で「出発式」が行われた後、鳩間島内の郵便局や民宿に募金箱を設置したそうです。
同じ日の別の紙面には、地元の石垣中、海星小、崎枝小中の運動会の様子が報じられていました。崎枝小中学校は全校生徒10人の学校です。どうやって運動会をするのか、不思議に思うかもしれませんが、すべては工夫次第です。折角ですので、記事を紹介します――「崎枝小中学校で9月25日、さわやかな秋風の下、運動会が開催された。……日頃の学習の成果を発揮するとともに、千変万化では競技内容を児童生徒が考え、児童生徒全員で競技に臨んだ。今年のテーマは『十色のバトンをつないで ゴールの果てまで駆け抜けろ!』全児童生徒10人で千変万化、親子リレー、繁盛節・クイチャー、サキエダエイサーとグランド一杯に駆け巡りました。また、スターターや全体指揮、競技の運営など一人ひとりが主役になり取り組んだ。『サキエダエイサー』では、全児童生徒がグランドに太鼓の音を響かせ、体中でリズムに乗り、勇敢に演舞する姿に保護者から大拍手が起こった。紅白リレーでは、小学1年生から中学3年生まで、各自グランド1周を走りバトンをリレーした。今年は10人の児童生徒に先生方も加わり、紅白に分かれてのリレー。保護者の大声援の中、最後の最後まで熱戦を繰り広げた。……」とのことです。記者の子供たちを見守るまなざしに温かさ感じます。今年は、コロナのため地域の人たちの参加はなしにして、午前中だけの開催だったそうです。例年は、ここからさらに午後の部があるとのことです。
(崎枝小中学校大運動会/「石垣島のパスタ屋italico-てい-だブログ)
学校統廃合によって地域の核(コア)がなくなり、人口が減り始める
戦後、多くの自治体で学校統廃合を行ってきました。全国で何万という数の小学校を廃校処分としたのです。沖縄県では、国頭郡を除いて学校統廃合を殆ど行いませんでした。子供は地域の宝という考え方のもと、子供がいる限り学校を残そうという考えなのです。人数が少ないと集団性が身に付かないという理屈を言う人がいますが、それはやり方次第です。上の記事を読むと、見事に全員が集団性を身につけていると思います。逆に、大規模にすれば集団性が本当に身に付くのかと反問したいと思います。人間は複雑な動物なので、小さな集団で力を発揮する子供もいるのです。ケースバイケースなので、一般的に論じることではありません。
ただ、言えることは小規模でも小学校を残しておけば、その近くに移住を考える人も出てくるということです。テレワークがさらに普及すれば、地方への移住がさらに進むと思います。都会の雑踏の中に、高い家賃を払って生活するより、沖縄の雄大な自然に囲まれて小規模な学校に子供を通わせて伸び伸び育てたいという人も出てくると思います。どんな辺鄙な田舎でも学校さえ残っていれば、受け皿となります。物資はドローンで運ぶこともできるようになりました。そして、学校が残っていれば、子供を通して地域の方と人間関係を結ぶことができ、大人も地域に入っていくことができます。安心して、転居できるというものです。
現在、学校統廃合を考えている自治体もあると思いますが、もうそんな時代ではありません。小規模な学校を残す、なくなった地域に対してはフリースクールをつくって手当をする、そんな時代になりつつあります。学校を潰せば、遠距離通学に耐えられない子供たちの家族はその地域から去り始め、空き家が増えれば路線価価格が下がり、固定資産税による自治体の税収が減り、行政サービスが低下して住民の周辺自治体への移住が始まり、やがて「消滅可能性自治体」の烙印を押されることになります。全国の「消滅可能性自治体」として候補に挙がっているところは、大体以上のような経過を辿っているのです。
「負けに不思議の負けなし」と野村監督は言っています。人口を減らしているというのは、自治体にとって負けということです。負けないように行政努力をする、ただ、その努力の方向が間違っていれば、人口は減り続けるということです。
(「セレスティア358」)
次回は、学校統廃合の続きから始めたいと思います。
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