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前時代の共産主義思想に振り回されている現代社会—— 自然科学の成果を社会科学は採り入れる必要あり 

「史的唯物論という言い方があることは知っていますよね」

女性

「マルクスの歴史観を説明する言葉ですよね」

「その考え方は、歴史を根底に於いて動かしてきたものは生産力と生産関係の矛盾だと説くのです。つまり、そういった物質的な力が根底にあって、それが歴史を動かしたという見方です」

女性

「その歴史観の意義は、一人の英雄が歴史を動かす訳ではないということを説明する上では、それなりの意義があると思います」

「さらに、言いたいことは、生産力が上がれば生産関係との矛盾が広がって、やがて新しい制度になるという考え方なんです」

女性

「そうなると、資本主義が進めば社会主義になるということですか?」

「私に確認を求められても困るのですが、彼らの理屈からすれば、そういうことになるでしょうね」

女性

「じゃあ、アメリカが真っ先に社会主義国になるということですか?」

「あの国は、社会主義・共産主義が嫌いな国ですので、そういうことはないと思います」

女性

「公式に当てはめることが出来ないということですね」

「唯物論という考え方についても、検討が必要なことがいろいろ出ていますので、今日はその辺りについて話題にしたいと思います」

女性

「批判の視点をどこに置けば良いですか?」

「最新の物理学からの視点を提示したいと思います」

女性

「ここからが本論です ↓」

 20世紀は物理の世紀であった

社会科学について発言する人は、自然科学についても目配りをしなければいけません。何故か。簡単に言えば、全てが繋がっているからです。自然科学と社会科学という言い方がありますが、それはあくまでも学問分野について、人間の勝手な都合で区分けした上で付けられたネーミングに過ぎません。だから、それが未来永劫正しいかどうかは分かりませんし、新たな学問分野が誕生してくるかもしれないのです。そして、自然科学の成果が社会科学に、社会科学の成果が自然科学の発展のヒントになることもありますし、時には両者の視点交流が必要と思っています。

マルクスが活躍したのは19世紀ですが、20世紀の時代に「物理学の魔法」(カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学講義』河出書房新社、2017年/201ページ)が始まるのです。どういうことか。簡単に言えば、ミクロの世界の解明が一気に進むのです。つまり、19世紀の頃は「原子の概念が信じられないくらいあいまい」(リサ・ランドール『ワープする宇宙』NHK出版、2007年/181ページ)であり、「多くの科学者は原子の存在を信じておらず、……原子の存在を信じている数少ない科学者でさえ、それを分子と混同していた」という時代です。

「原子が存在するなど、私は信じない」と1897年の講演で叫んだのは、哲学者であり物理学者として優れた業績を残したマッハ(1838-1916)です。科学者でさえ、その程度の認識レベルなので、マルクスやエンゲルスが「存在」と言っているのは、人間の視覚によって認識されていたモノそのものを指しています。まず、物質的な存在ありき。それに対して人間が思い、認識するのだと考えたのです。唯物論的な見方こそ、科学的に正しいと思っていたのです。現在は独立したモノというのは、存在せず、モノはモノであってモノではないという流動的な見方が物理的に正しいとされています。


 異次元世界の解明が期待される時代

1900年代になるとアインシュタイン(1879-1955)とニールス・ボーア(1885-1962)が登場し、量子力学の発展に寄与したこともあり、「20世紀物理学の魔法が、ここから始まる」(カルロ・ロヴェッリ 前掲書、64ページ)ことになります。量子力学から素粒子物理学が生まれ、モノをミクロ的にかなりのレベルにまで掘り下げて、それを分析することが可能となったため、モノや固体、肉体に対する見方やイメージが急速に変わることになるのです。

すべての存在物は原子より成る、というのは小・中学生でも知っている常識となり、原子1個1個を原子間顕微鏡(AFM)で見ることができるようになりました。さらに、原子核と電子で構成される原子の構造も明らかになり、原子核の分析からクォークという素粒子が現在まで12種類発見されています。

物質は分子、原子より成り、その分子、原子はさらに小さい素粒子よりなっています。その素粒子の大きさはどんなに大きく見積もっても10のマイナス19乗、そのため形も粒ではなく「ひも」ではないか、という意見も出てきています。そして、「ひも」とするならば、異次元世界も考えられる、ということが20世紀になって盛んに論議されました。さらにはスイスに総工費3500億円をかけて粒子衝突加速器(LHC)が作られて実験も行われています。実験の結果次第では「5次元世界の存在が証明されるという」(リサ・ランドール、若田光一『異次元は存在する』NHK出版、2007年)そんな段階まで来ているのです。

(「こちらホワイトロック/本館」)

 人類は21世紀になって「現実」を知る手掛かりをようやく掴んだ段階

実は、人間は21世紀になってようやく「現実を理解するための鍵にたどり着いた」(カルロ・ロヴェッリ 前掲書、52ページ)段階なのです。確実なことは、人間が視覚によって捉えているものは、真の存在ではないということです。存在物は微小な粒子が集積したものであり、それが光を反射するため、我々はそれを見ることができ、見えているから真に存在しているだろうと思い込んでいるだけなのです。

そして、「この世界は、粒状の量子が間断なく引き起こす事象によって形づくられている」(カルロ・ロヴェッリ 前掲書、131ページ)としています。絶えず変化する自然界。それは「粒状の量子が間断なく」動いていることの証左であり反映です。時間が流れ、時代が流れ、経済が動き、価値観も変動します。何を目指して動いているかも分かっていません。何故なら、どのようなメカニズムでどうやって始まったのかが分かっていないからです。

  量子物理学の成果に社会科学は学ぶ必要あり

このことから社会科学は何を学ばなければいけないのか。少なくとも、勝手に共産主義社会というゴールを設定して、そこから遡って現在を見るのは間違っているということです社会も自然の法則に適っていれば、その生命体が存続する間は永遠に存続することができます。自然とは何なのか。その解明のヒントはすべてミクロの世界にあります。大宇宙を解明するためには、素粒子の世界の解明が必要とされる所以です。大を知るためには、その構成要素となっている小を解明する必要があるということです。マルクスも資本主義社会の解明のために、商品分析からスタートしています。同じ発想です

ミクロの世界の素粒子たちは、何らかの「意思」をもって動いているのではないかと言われ始めています。素粒子のメンバーはある程度限られています。その組み合わせで様々なモノとなって現れているだけです。レゴブロックをイメージして下さい。レゴブロックが素粒子です。レゴブロックの種類は限られていますが、その組み合わせによって、多くの形を造ることができます。それと同じ理屈です。現実のレゴブロックは見えますが、実際の素粒子は見ることができないほど微細なものです。それが離合集散する世界がミクロの世界です。気の遠くなるほどの素粒子がある程度の秩序を保って流動的に存在する。そんなところから、「素粒子意思論」が出てきたのです。

(「筑波大学高エネルギー原子核実験グループ」)

このような量子物理学の成果に社会科学は学ぶ必要があるということです。自然界は動態世界であり、そこには離合集散という競争と刺激があります。そして、素粒子はグループを組みます

自由市場経済を取り入れている資本主義経済であるならば、それは自然の法則に適っており、永続するということです。永続するかどうかのカギは素粒子、つまり国民の意思を尊重するかどうかにかかっています。大波、小波、津波など、自然界の現象はすべて因果関係が引き起こしています。ということは、無駄なものは何もないということです。資本主義の崩壊とか、資本主義の次はというテーマを設定する人がいますが、それはやり方次第だということです。競争原理が働き、価格の波、景気の波がある間は大丈夫です。その波を無くそうとした瞬間から、組織は「死」に向かいます。人間も死ぬ時は脳波と脈拍がフラットになります。同じ理屈です。社会主義経済が何故ダメなのかというと、配給制度によってそういった波を無くしてしまうからです。

常に太陽が輝いている状態で、人々は波の立たないプールに整然と入っている。それが人間にとって理想社会だと勝手に決めた上で、そこに向けて強権的な政治を行う。昨日、香港の周庭さんが釈放されました。映像で映し出された彼女の表情から生気が消えていました。彼女は模範囚だったそうです。プールで遊ぶことができるように、飼いならされてしまったのかもしれません。

要するに、共産主義の発想は、籠の中の鳥は幸せという捉え方をして、そこに向けて人間社会を作っていこうという考え方です。何のことはない。幸せ感を持つのは、ただ一人プールの監視員だけというオチです。波のないプールで一生過ごすことが幸せ、と甘い言葉を監視員は絶えず言ってきます。溺れる危険があっても、海で自由に海水浴の方が幸せだと思います。騙されないことです。騙されないために学びましょう。

(「honto」)

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