「今後の予定を少しお伝えします。今までは、日曜、休日以外は毎日配信していたのですが、12月、1月は週3回発信ということでお願いしたいと思います」
「火、木、土ですよね」
「火、木、土に記事を書きますので、発信は水、金、日になります。そして、文章を少し短くさせていただきます」
「健康が大事ですからね。特に目ですからね。あれからいかがですか?」
「お陰様であれからは変な光が出ることはありません。視野も元に戻りました。ご心配をおかけしました」
「せっかく高いお金を出して手術をしたのに、無理をして何かあったら元の木阿弥ですものね」
「そういう事情ですので、2か月半は様子を見させて下さい。2月の半ば過ぎに、その時の状態と読者の方の反応で判断をしたいと思います。さて、今日は前回の続きをいきたいと思います」
「資本論を題材にして、経済問題についてですよね。」
「資本論』そのものの古典的価値は失っていないのですが、この考え方を無理矢理、現代社会に当てはめて考えようとする人が何故か余りにも多いのです」
「それは何故ですか?」
「率直に言って、中国、日本の共産党の影響でしょうね」
「逆に、どうして当てはめて考えてはいけないのですか? 例えば、仏陀,孔子といった思想家の言葉をそのまま学んで、自分の日々の生き方の糧にしようということを言っている人もいますし、そういった活動をしている団体もありますよね」
「人間の生き方の問題は、時代を超越できるのですが、経済問題は時代を超越できないのです」
「どうして、できないのでしょうか?」
「一言で言えば、経済は「生き物」だからです。進化しますので、進化する前の法則が、進化後の経済状態に適用できないのです」
「政治や教育も「生き物」ではないのですか? だけど政治理論や教育理論は、時代が古いものでも、そのまま学ぶことが出来ます。例えば、18世紀のルソーの『エミール』は大学のゼミで輪読しましたが、現代でも通用すると思います」
「「生き物」という言い方が分かりづらかったかもしれません。要するに、自己増殖するかどうかの違いなのです。経済は人間の手を離れて、生き物のように自己増殖しますが、政治や教育は人間がコントロールできます。自己増殖はしません」
「その辺りを含めて、本論でお願いします ↓」
経済を人間が完全に制御することは無理
自己増殖という言葉がピンと来ないかもしれませんが、経済については、人間が完全に制御することは無理なのです。何故なのかと言えば、それは「生き物」だからと言うしかありません。我々の周りの植物、動物といった生き物たちをイメージして欲しいのですが、完全に制御することは無理です。彼らの特性を把握した上で、人間が望んでいる結果を導き出すためにはどうすれば良いのかということから逆算して、人間が望ましい結果を導き出しているに過ぎません。実は、経済に対処するあり方も、基本的に同じなのです。例えば、金利ですが、かつては公定歩合ということで日銀が定めていましたが、今は低くするか、高くするかその方向を日本銀行が決めて誘導するようになりました。
人間は経済を自由に操っているかのように見えるかもしれませんが、錯覚です。株式市場の関係者は、明日どうなるか、いつも心配しているような状況です。株式や商品・サービスなどその価格の変動について、誰も正確に予知することは出来ません。何故なのか簡単に言えば、「生き物」なので予想がつかないということです。東京の駅前のハトが明日どこにいるか、誰も分からないということと同じなのです。ただ、関東地方にいる確率が高いという、そういったアバウトな予測はできます。経済についても、その程度です。それを深く認識していただくことが、今の政党関係者、政治家に特に必要だと思っています。
(「iS iStock」)
政治家は政治のことだけを考えるべし
政治家というのは、その名の通り、政治のことを行うために国民もしくは住民に選ばれたはずなのに、時として垣根を越えて経済問題で発言をします。特に、最近は、政治家がやたらに経済のことに口を出し過ぎです。出し過ぎは良くないのです。「新しい資本主義」と岸田首相は所信表明で言っていましたが、人間の有限さを知る必要があります。このように、最近は、垣根を越える事例が増えています。余り良いことではありません。
10万円給付といい、何故こういう安易な手段に頼るのか。簡単に言えば、経済問題は早く合意ができる上に、選挙民に対するアピールをすぐに出来るからです。政治問題というのは、法と制度を作らなければいけないので、時間もかかる上に、効果が見えにくいし、即効性がある訳ではありません。もちろん、10万円の給付金をバラ撒いたからといって急に景気が良くなる訳ではありません。砂漠にバケツの水を2,3杯流すようなものです。ただ、それでも来年の参議院選挙の時は、一応国民の生活のために実行したということは言えます。その場面だけを考えているのです。
(「ABEMA TIMES」)
経済関係のものは、賞味期限が切れやすい
様々な学問分野があり、それぞれの分野において真理や法則が発見されたり、新しい学説が出されたりしています。ただ、その専門分野によっては、賞味期限が切れているものもあれば、そうでないものもあります。理数系の分野については、殆どが賞味期限があるため、日進月歩で新しい発見があるたびに、それまでの通説が陳腐化します。ニュートンの万有引力の法則とか、ダーウィンの進化論といった世界的に有名な法則も例外ではありません。当初は、ニュートン力学で全宇宙のことが解明できるのではないかと言われたことがありましたが、今はそんなことを言う人はいません。
文系関係では逆に、経済関係以外のものは、時代を超えて読み継がれていく価値をもつものが多くあります。文学はもちろん、政治、法律、教育などはその根底に、人間の本質を鋭く見つめたものがあれば、それが「命の灯」となり世代を経て受け継がれていきます。ただ、経済に関しては人間の手を離れて自由に動く動態が対象なので、どうしても賞味期限が切れてしまいます。
マルクスが資本論を書いてから約140年経っています。彼の見た資本主義は「町工場資本主義」です。そのため、その当時の法則をそのまま当てはめることは出来ません。全部が陳腐化とは言いません。どの辺りが賞味期限切れなのかということを次回話したいと思います。
(「ナゾロジー」)
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