「全国的に教員不足だそうです」
「文科省の計算が狂ったということです。そして、教員免許を期限付きにしましたよね。そういう影響もあると思います」
「実は、私は教員免許を持っていたのです」
「持っていたということは、失効したということですか?」
「そうなんですよ。いざという時に使えるかなと思って、大学で教職をとって免許を取得したのですが、結局教員にならなかったので、使わないまま終わりました」
「かつての時代なら、生涯使える免許でしたけどね」
「そうなんですね。単なる、想い出の免許になってしまいました」
「ただ、本当になり手がいないのなら、復活手続のシステムを導入すれば良いと思いますけどね」
「失効させたものを、再生させるのですか?」
「教職課程をとったのは事実なので、新しい免許に書き換え可能の措置を取れば良いと思いますけど」
「中には教員として長く勤めて、退職した後、更新手続きをしなかった人もいるでしょうね」
「希望者に対して、再生措置をすれば良いと思います。元々、教員免許は有効期限など無かった訳ですから、元のかたちに戻すということです」
「仮にそういうことをしても人員不足は埋まらないと思います」
「戦前は代用教員の制度がありましたが、そのようなことも考える時代に入ったのかもしれません」
「ここからが本論です ↓ 表紙は「みんなの教育技術」提供です」
日本の弱点——きちんと総括しないこと
日本の弱点は、何か悪い結果が出ると、それを全く総括しようとしないところです。責任者の首を飛ばして、それで終わりみたいなところがあります。総括を「言い訳」であり「女々しい」と感じ、それは「潔(いさぎよ)いことではない」と思う人が多いのです。民族のDNAが働いているのだと思います。
戦後教育の分野で言うと、「ゆとり教育」がそうですし、教員免許更新制の総括が現在まで出ていません。思い付きで始めて、突然中止となりました。「ゆとり教育」は、知らない間に終わっていました。ある意味日本的なのかもしれませんが、それでは公教育は発展しません。「水に流す」、「臭いものにフタ」、「汚点」という言い方がある様に、なるべく見たくもないし、聞きたくもないし、思い出したくもないという感情が走るのです。
ただ、そういう悪い癖は自覚して早く直した方が良いのです。裁判所が重要犯罪なのに裁判記録を全て破棄してしまった事例があり、最高裁が被害者の関係者に陳謝したことが最近ありました。あれは、「悪い癖」が出た具体例です。ついでに言うと、裁判記録は国民が共有するものなので、関係者にだけ陳謝すれば済むような問題ではないのです。ただ、そのことを指摘したマスコミはありませんでした。問題意識が低いということでしょうし、マスコミ各人にも同じ「血」が流れているということだと思います。
(「Yahoo! ニュースYahoo! -JAPAN」)
教員免許更新制はなぜ失敗したのか
免許更新制そのものが思い付きから始まっています。かつては教員免許は「一生もの」と言われ、一度取得すれば生涯使えたのです。そこに文科省の役人が問題意識をもったのでしょう。
教員免許を運転免許と同じようなイメージで捉えているので、発案者は教員を経験していない人間でしょう。免許を更新制にして、更新の時に講習を受けさせれば指導力が上がり、ペーパーティーチャーを整理することが出来る。一石三鳥みたいに思ったのではないでしょうか。
そもそも、教員の指導力は現場を離れて高まることはありません。大学でかつて習ったようなことを再度勉強したからと言って、現場での指導力向上には何の役にも立ちません。調理士の免許更新の際に、大学の栄養学科で講習を受けさせるようなものです。受けたからと言って、調理の腕が上がる訳ではありません。しかも、更新料は本人持ちで、それを5日間の日程で受けさせる。大学だけが利益を得るようなものです。
(「note」)
研修を受ければ指導力が高まる訳ではない
運転免許と同じようなイメージで教員免許を捉えているので、そこが間違いの元になっています。運転免許講習を受ければ、確かに今まで気が付かないことを指摘され、安全運転を心がけるようになったということで、成果がある程度期待できます。
何故、同じような発想で教員免許講習を捉えてはいけないのか。教員の現場は子供相手の仕事なので、極めて複雑な状況が多くあるからです。机上の学問を積み上げたからと言って、それが現場での即戦力にはなりにくいのです。運転は舗装された道路を制限速度を守って、安全に気を付けていれば誰でも出来るような単純な動作なので、成果がすぐに現れやすいのです。
新しい講習を考えている様ですが、現場を離れての講習はあり得ません。現場にとって一番助かるのは、普段の授業を材料にして指導を受けることです。教員を指導するプロパーを養成し、その人が各学校現場を回って、実際の授業の進め方、子供に対する話し方、話す内容などをチェック、指導できれば、指導力向上に役立つでしょう。
(「チューリッヒ保険」)
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