「自分の子供の教育のことでいろいろ考える時期となりました」
「それは中学入試ということですか?」
「私は自然体で臨もうと思っていますので、無理矢理受験にもっていくことを考えていませんが、子供がいろいろ考え始めたので、親としてどう接して良いか迷うことがあります」
「親になるということは、それは迷いの始まりという人もいますので、迷って当たり前の気持ちでいたらどうですか?」
「ただ、我が家の場合は、子供が迷って、私が迷って、主人が我関せずという感じなので、少し困っています」
「それは進路ということですか?」
「そうですね。友達に影響されやすい子なので、仲の良い子が私立受験に向けて塾に通い出して、放課後余り遊べなくなったそうです。そんなこともあって、受験しようかなって急に言い始めたのです」
「今の話を聞いている限り、地に足が着いていない感じがしますので、一度、家族会議をやられたら、いかがでしょうか?」
「家族会議をすると、地に足が着くのですか?」
「そのように質問されると弱いのですが、まずは家族で話し合ってお互いの意見を交換するというのが基本だと思います」
「家族会議というものを、実はやったことがないのですが……」
「であれば尚更、モノは試しで、やってみて下さい。司会者を決めて、議題を言って、お互い意見を言うだけです。だって、会社の会議で結構自由に意見を言っているって言ってたでしょ。同じですよ」
「余りそういうことを考えたこともなかったので、少し驚いています。ダンナと相談してみます」
「そういう改まった場を設けることによって、家族の間に良い意味の緊張関係が生まれます。それが実は大事なんです」
「分かりました。ここからが本論です ↓」
核家族の時代だからこそ、家族会議が必要
大家族の時代では、家族会議を開くのは日常茶飯事だったのかもしれません。核家族の時代になり、何も改まって家族会議など必要ないと思うかもしれませんが、実は子供の自立のために必要です。
核家族化が進んでいる状況下だからこそ、コミュニケーションを交わし、風通しの良い状態にしておくことが大事です。家族の構成員が少ないからこそ、一人ひとりの意見を尊重する必要があるからです。未成年の子供ですが、それは社会においての扱いであって、家庭では一人前の人間として扱うという親の態度が、子供の自立を促します。
(「アエラドット/朝日新聞デジタル」)
家族会議の進め方――受験を例に
子供にしてみれば、家族会議で親が話す内容がよく分からないことがあるかもしれません。大人の話を黙って聞くのも勉強、「大人は難しい話をするのだな」と思わせることも勉強となります。子供はそういった大人の話のやりとりの中から、会話の仕方や相槌の打ち方など、様々なことを学びます。
子供にも自分自身の思いや希望について話をさせます。何となく受験をしたいというのでは困りますので、どうして受験をしたいのか、受験によってどの中学に行きたいのか、その中学に行くことが自分の人生にとって何がプラスになると思うか、そのための勉強計画などを自分の言葉で説明させます。
本人の説明を受けて、親の思いを語ります。お金がかかることですので、その工面をどうするのか、といったことも子供に語る必要があります。台所事情を子どもには説明する必要がないと考える親御さんもいると思います。すべてをさらけ出す必要はありませんが、お金の算段はこの社会で生きている限り必要なことですので、いい機会と思って子供に語るようにします。
家族会議の話が深まれば深まるほど、その後の家族の人間関係に良い影響を与えます。子供も受験に向けて、気持ちを入れて取り組むようになります。
(「shg-jp.com」)
スポーツの場合はより丁寧な家族会議が必要
受験を例にとりましたが、何か習い事(スポーツ)をしたいという場合でも同じです。親がきっかけを与えた場合でも、同じような手順を踏んだ方が良いと思います。
どういうことか。何かスポーツを始める時は、親の影響を受けることが多いと思います。スポーツはそれぞれ奥が深いですから、その魅力を知れば、さらに練習して、場合によっては全日本、世界と目標を設定する場合があります。その過程で、実際にギアを1段入れたいと本人が思った時に、家族会議を開きます。後は、先程と同じ要領です。
受験とスポーツの違いは、フォローの長さでしょうか。受験は志望校に合格すれば、後は学校生活が順調に送れるように見守れば良いのですが、スポーツの場合は本人の技量が世間的にも認められるまで親のサポートが必要です。そのため、ギアを2段目、3段目に入れる段階でも家族会議が必要です。
(「Adobe Stock」)
「親子は他人の始まり」――人間関係の構築を丁寧に
そして、そういう家族の話し合いの基盤が出来ていれば、何かあった時に気軽に相談することができます。精神的に常に家族が気に掛けてくれるという安心感を持つことができます。以心伝心という言葉がありますが、普段コミュニケーションを交わしていればこその言葉です。
「親子は他人の始まり」という言葉もあります。親子の間だからという変な言葉に安住することなく、丁寧に人間関係を構築する必要があります。表情一つで相手の考えていることが分かるようになる位、信頼関係を結ぶことが大切です。子供が幼いうちから、楽しい努力を続けて下さい。
(家族会議議事録 「grape/グレイプ」)
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