「女性活躍社会ということに対して、批判的な意見をお持ちだということが、この2回の対談で分かってきました」
「ただ、誤解しないで欲しいのですが、女性が活躍しなくて良いとは全く思っていませんからね」
「それは分かりました。そうじゃあないと、単なる懐古主義であり、国粋主義のような考え方になりますものね」
「私は余りそうやってレッテル貼りをするのは好まないのですが、かつては男尊女卑が当たり前の時代がありましたからね。ウチの大正生まれの親父は、その典型でした」
「風呂、メシ、寝るだけですか?」
「何かあると、誰のお陰でメシを喰えていると思ってんだ、とよく言っていました。母は洋裁士として自宅で働いて収入もあったので、何かのタイミングで「母ちゃんも働いているよ」と言ったら大変なことになりました」
「大変って、どういう展開になったのですか? そういう強い男性に少し憧れを抱いています」
「強いというか、滅茶苦茶ですね。矛先が母に向けられます。「お前はどういう教育をこいつにしているんだ、という展開ですね」
「成る程、口封じのために、慕っているであろう母親を使おうということですね」
「だから後で言われました。頼むからお父さんに口答えをしないでって、私が責められるからと言っていました」
「話が少し逸れた感じがしますが、おっしゃりたいことは理不尽な思いをしているので、前時代的な視点から女性活躍を批判しているのではないということですね」
「そうですね、上手いこと纏めていただきまして、ありがとうございます。そして、今日は女性活躍というより、人口減(少子化)に重点を置いた話をしたいと思います」
「ここからが本論です ↓」
少子化対策が一番重要
女性活躍社会とアドバルーンを上げるのは良いのですが、少子化対策が一番重要です。何かの政策を決める時は、優先順位が高いものから取り組みます。当たり前の事です。つい最近、米テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏はツイッターの投稿で「当たり前のことを言うようかもしれないけど」と前置きをして「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」(2022.5.9「日経」)と言ったという記事が掲載されました。
マスク氏はテスラ社と日本との関りが深いので、危機意識を余り持たず、お茶を濁したような対策をしている日本の政治家たちに警告を発したのではないかと思っています。
(「Yahoo! ニュースーYahoo!JAPAN」)
日本の少子化対策はピンボケ
一例を見てみましょう。厚生労働省は「地方創生・人口減少克服に向けた対策」ということで、3つの柱――「しごとづくり」「ひとづくり」「まちづくり」を打ち立てています。地方創生と人口減少克服をセットにするという視点は正しいと思うのですが、具体的な政策は殆どがピンボケです。
例えば、「若者雇用対策の充実」ですが、対策が充実したからといって人口が増えるという保障はありません。両者の間に因果関係はないからです。また、「人口減少に応じた福祉のまちづくり」とあり、いつの間にか人口減少が前提になってしまっています。
対策というのは、因果関係を阻んでいるものを分析して、それを取り除き、因果関係を成立させることを言います。人口減少が起きているのは、男女の出会いが相対的に減っているからです。カップリングが上手くいっていないので、人口減少が起きているに過ぎないのです。
(「ふくろいFPーSERVICE」)
「お見合い文化」の消失と共に人口減が進んでいる
なぜ、カップリングが上手くいかないのか。それは日本は「お見合い文化」の国なのに、それが崩れてしまったからです。出会いが多ければ自然に結ばれるカップルが増えるというのは幻想です。仮に、そうであれば東京が一番成婚率が高くなるはずですが、そうはなっていません。男女の結びつきは、単なる化学反応ではないからです。
西洋の狩猟民族は、領地を歩き回って自分に合ったパートナーを自分の目で選んできた歴史を持っていますが、日本にはそういった文化はないのです。「東京ラブストーリー」は、男女4人の恋模様を描いた漫画であり物語ですが、あの中でカンチとリカの2人は会社の同僚という設定です。全く見ず知らずの男女が出会っての自由恋愛ではないというところが、日本的だなと思います。
(「アマゾン」)
「お見合い文化」を地方自治体が中心になって人工的に作る
農耕社会で封建制度の歴史が長い日本です。武士階級、貴族階級、農民階級がありましたので、その階級を無視して結婚することはできませんし、同じ階級内でも格式があり釣り合いが求められたのです。そして、封建制度というのは、その領主の土地に縛られるということですので、原則として国境(くにさか)いを越えて移動することはできません。そういった様々な規制がある中で、男女の出会いを円滑にするために編み出された方式がお見合い文化です。両名、もしくは両家をよく知る人が、様々なネットワークを使ってカップリングのお膳立てをします。身分が高貴であればある程、自由恋愛はご法度だからです。
戦後しばらくの間は地方には、そういった「お見合い文化」が残っていたのです。それが高度経済成長期の中で都市化が進み、それと同時に大家族制度から核家族が主流となっていく中で、地域の人間関係の希薄化も進展します。そういう社会構造の中でカップリングをお膳立てする人が少なくなり、結婚をしない人も増えていったのです。
対策としては、「お見合い文化」を地方自治体が人工的に作り上げるしかないと思っています。もうすでに、東京大田区では取り組みを始めているようですが、詳しい中身は分かりません。各自治体でそれぞれ工夫すれば良いと思います。今は「出会いアプリ」というものがあるそうですが、見ず知らずの人なので、抵抗を感じる人もいるでしょう。住所の問題もあります。現代風にアプリを使ってもいいのですが、地域限定が良いでしょう。間に公的機関の職員、さらには両者の親にも入ってもらうようにします。結婚を個人どうしの結び付きではなく、家と家との結びつきと考えている人がまだ多いからです。もし上手く成婚までたどり着いて、その自治体に居を構えてくれた場合は、結婚祝い金、出産祝い金などを自治体として用意して定着してもらうことを行えば、地方創生にも繋がるでしょう。
(「Ameba」)
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