「すいません、2回シリーズで終わるつもりだったのですが、私の頭が混乱して、整理をする意味で3回目をお送りすることにします」
「何が引っ掛かっているのですか?」
「今までの話を総合すると、アメリカが用意したワールドダラーの土俵の上に中国が乗ったのが1990年代頃ですよね」
「そうですね。中国を経済のワールドパートナーとして迎え入れようとしたところから流れが始まっています」
「それなのに、どうしてアメリカ敵視政策に転換したのですか」
「経済の側面を見ずに、政治の側面からのみの判断だと思います。前回も言いましたけど、中国はアメリカの経済的権益を減殺する方向で常に行動しているように思えます」
「どうして、そういうことをするのでしょうか?」
「中国という国はプライドが高い国です。自分たちの力で経済発展できると思っているみたいで、今はアメリカをはじめ西側の影響力を排除しようと動いているように思えます。西側の協力を屈辱と捉えているようです」
「政治的な側面だけではなく、経済分野にもそういう動きがあるということですか?」
「その通りですね。経済的な分野は単にモノづくりだけではなく、金融面と貿易取引等さまざま分野が絡みます。単純に排除できないのです」
「どうしても他国との関係を結ばざるを得ないということですね」
「その通りです。中国は外資が入ったお陰で経済的に発展したのであって、自力で経済発展した訳ではありません。そのことを素直に認めて、外資にとって魅力的な市場開放と規制の撤廃をすれば、経済的に発展する余地はまだまだあります」
「それとは真逆の動きをし始めたということですね。ただ、今や独力で経済的に発展できるという自信のもとに行動しているように思えます」
「唯我独尊は経済分野では無理なんです。しかも、市場経済の経験不足もあり、結局上手くいかなくなるような気がします」
「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「まぐまぐ!」提供です」
アメリカの側から中国を見る
アメリカのドルが基軸通貨であることは厳然たる事実なので、物事の発想はそこから行う必要があります。つまり、中国もアメリカの土俵の上で経済発展したので、その「土俵」を大事にしないと、自分自身にとって良くないことが起こるということです。
経済的に父親に依存しているのに、その父親に何かと言って盾を突く子供のようです。子供は一人前のつもりで、父親と対等どころか、父親を乗り越えようとしています。
父親からすれば、困ったものだと思いながらも、子供の実力をそれなりに認めているので、手を焼いているという状況だと思います。
(「X.com」)
「一帯一路」+ AIIB=中国自立作戦
「一帯一路」というのは、中国の世界征服計画です。AIIB(アジアインフラ投資銀行/本部:北京)は中国が「一帯一路」推進のためにつくった国際金融機関です。2016年の1月から実質的にスタートしました。仕組みは趣旨に賛同する世界各国から集まったお金を基金として、各国の開発援助資金として貸し出すのです。
すでにADB(アジア開発銀行)があるのですが、中国の狙いは、このような事業を通して人民元のシェアと国際的地位を高め、ゆくゆくはドルの土俵から外れようといった思惑をもった上でのプロジェクト計画だったのです。だから、AIIBの理事長は中国の人間が坐ることになります。ここまでは計画通りで、狙いも悪くなかったと思います。
どこで躓(つまず)いたのか。要するに、融資に値する事業なのか、どうなのかという見極めが組織の中で確立していなかったため躓きます。この計画は、AIIBを通して融資を受けた国がインフラ整備事業をして、その収益からいくらかの割合をAIIBに返済するというものです。事業そのものが、長年にわたって収益を生む必要があります。融資をしたものの、多くの事業に貸金の停滞が生まれて、「失敗」の評価を早々と下されてしまったのです。
(「産経ニュース」)
「経済の内循環」――外資排除の方針
中国で「経済の内循環」という言葉が最近言われ始めています。国内経済をまず循環、つまり活性化させ、その上で外国との経済循環(外循環)を主導するというものです。2022年夏頃からハイテク分野での外資排除の方針を打ち出します。
この考え方が生まれた背景には、西側の価値観や影響力を排除したいという考えがあります。一党独裁国家は必ずそういった考えに帰着します。内側を強固なイデオロギーで固め、外に対しては攻撃的になります。
国内の14億人を、そのまま国内市場として利用しようという考えが、そこにはあります。ただ、中国の場合は、国内格差が大きすぎて上手く市場の機能を果たせないと思っています。所得水準の高い上海と最も低い貴州省とでは賃金ベースで約6倍位違います。つまり均質な消費者群が形成されていないという問題があります。そこで指導部は「共同富裕」ということをしきりに言っているのですが、これは一朝一夕で解決するような問題ではありません。
(「You Tube」)
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