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日本のGDP世界4位に転落 ―— 欧州最大の経済大国ドイツが3位に / 2重国籍の容認に舵を切る

「2023年のGDP(国内総生産)の暫定値が出たのですか、ドイツに抜かれ、4位になりそうです」

女性

「そんなにドイツ経済は調子が良いのですか?」

「逆ですね。ドイツ経済ですが、昨年はマイナス成長だったのです」

女性

「日本の経済がドイツ以上に調子が悪いということなんですね」

「一言で言えば、そういうことになります。数字が落ちているということは、そこに重大な問題が潜んでいる可能性がありますが、その問題はどこかで話をしたいと思います」

女性

「素朴な疑問ですが、日本の昨年のGDPはマイナスではありませんよね。マイナス成長のドイツに、どうして抜かれてしまったのですか?」

「良い所に気付きましたね。実はGDPの数値は、ドルに換算して比べているのですが、日本は昨年急速に円安が進行しましたよね。その関係です」

女性

「一種の数字のマジックみたいなものですね。ということは、物価が上がった国はGDPの数値も上がる訳ですね」

「日本はデフレで物価が上がらず、ドイツはインフレでその分、GDPの数値を押し上げたのです」

女性

「お互い息切れをしたランナーのようなものなんですね。ということは、ドイツがこのまま日本を引き離すということはないということですか?」

「ヨーロッパはインフレ抑制のため利上げをしてきたので、それが経済の足かせになっています。その状況は当分しばらく続くと思います」

女性

「ということは、日本が再び3位に返り咲くということがあるということですね」

「そうですね。可能性としてはあると思います」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙の写真は「ビジネス+IT」提供です

 欧州最大の経済大国ドイツ

1990年の東西ドイツの統合ですが、経済の実態を考えれば西ドイツが東ドイツを吸収したと見る方が正着です東ドイツという「重荷」を背負った分、その後10年間は成長率が1~2%位しかなく、苦境にあえぎます。

そのドイツが経済的に立ち直りを始めたのは、社会主義的な政策から自由主義的な政策に転換したことによります。社会保障の構造改革に着手し、失業者保護から就労促進に方針を変更します。競争原理の導入です。

経済成長が安定軌道に乗ったのが、メルケル政権(2005~21)からです。ドイツ史上初めての女性首相ですが、景気の安定が長期政権に繋がったと言われています。そして、今や欧州最大の経済大国であり、ユーロ圏のGDPの全体の3割を占めます。

(「日本経済新聞」)

 ドイツーー2重国籍の容認に舵を切る

ドイツと日本は明治時代から様々な交流もあり、軍事同盟を結んだこともありました。そんなこともあり、色々な点で両国はよく似ています。少子高齢化で労働力不足で悩んでいる点も同じです。高齢化率は日本が29%、ドイツが22%です。ウクライナからの避難民を100万人規模で受け入れたものの、労働力の補充にはならなかったのです。

そのためドイツ二重国籍の容認に舵を切ります。厳格な国籍管理を敷いてきたのですが、背に腹は代えられぬということでしょうか、2024年つまり今年のうちに法改正を行い二重国籍を認める方針だそうです。法案が議会を通れば、外国人が最短3年でドイツ国籍を追加取得できるようになります。これまで欧州連合(EU)加盟国の出身者らに絞っていた二重国籍をそれ以外の国の人にも開放するかたちとなります。

必要な在留期間を従来の8年から5年に短縮し、ドイツ語が堪能で生活が自立した人などは最短3年で可能にする 方針です二重国籍がどうして労働力不足解消と関係があるのでしょうか。労働力不足解消の直接的な効果はありません。国籍を取得すれば、その国への帰属意識や愛着が湧いてくるものです。長いスパンで考えれば、労働力の増大、さらには人口減解消に結びつくであろうという計算です。ちなみに日本は複数国籍を認めていません

(「朝日新聞デジタル」)

 ドイツーー中国やロシアとの関係が深かった

日本もそうだったのですが、ドイツはロシアや中国との経済関係が緊密でした。中国は2022年まで7年連続でドイツの貿易相手国でした。そして、天然ガスの調達の過半を安価なロシア産に依存してきました。

ウクライナ問題をきっかけにロシアに対する制裁を発動します。ガスの供給は止まりました。ドイツは代替エネルギーを調達することになりましたが、当然割高となります。それから中国の覇権主義的な動きに対して、サプライチェーンの見直しに動きます。

それらの動きは、日本も同じです。そして、そのことは経済発展の上で足かせになっています。国際秩序を優先して、自国経済を犠牲にするかたちを取ったのです。

(「静岡新聞」)

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