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参議院選挙と違憲訴訟について考える / 選挙制度は2つの指標で考えるべき――平等権と地方自治

女性

「参議院選が終わりましたが、参政党という政党が、インターネットを基盤にして政党を立ち上げ、議席を獲得しましたね」

「現代を象徴する動きだと思います。比例の得票率は3.33%ですが、これは社民やN党よりも多い数字です」

女性

「国政放送を聞いていたら、みんなで話し合って政策も決めていく政党だと言っていました」

「綱領は3つしかありません。1つは、天皇を中心にして一つにまとまる平和な国を目指そう。2つは、日本の自立と繁栄。3つ目が日本の精神と伝統を生かす、といったものです」

女性

「ポジション的には、保守ですね」

「そうですね。ただ、岸田首相が言っているように「戦後最大の難局」に差し掛かっている中で、国としてのまとまりがどうしても必要になります。そういった時代の要請に合っている政党だとは思います」

女性

「N党がやたらと立候補者を立てていました。東京選挙区では、N党から5人も立候補していましたけど、あれは何か意味があるのですか? 落選して法定得票数に達しない場合は、供託金は没収されるのですよね」

「それは覚悟の上の乱立立候補です。比例と選挙区で2%の要件を満たせば政党助成金の対象となります。そうすれば、年間数億円の助成金が入りますので、それでペイできるという計算です」

女性

「今回、議席を減らしたのは、立憲、共産、国民ですね。立憲が6、共産が2、国民が2議席を減らしています」

「議席数ではなく、パーセンテージで見た方が分かりやすいと思います。そうすると、立憲は6÷23で約26%、国民は2÷7で28.5%、共産は2÷6で33.3%となります」

女性

「共産が勢力を一番減らしたということですね。そして、これらの政党の少なくなった分を、自民と維新が吸収したということですね」

「維新の立ち位置は保守ですから、国民世論の方向は、「難局」を乗り越えるために国が一つになった方が良いという判断をしているということです」

女性

「ここからが本論です ↓ なお、表題の画像は nippon.com 提供のものです」

 選挙後の「風物詩」は今回も

最近は選挙が終わると、必ずと言って良いほど「一票の格差」訴訟が起きる。新聞報道によると、今回の参議院選の投票が行われた翌日の11日に、2つの弁護士グループが選挙無効を求めて14の高裁・高裁支部に提訴したそうです。インターネットには、同じ字体で書かれたプラカードを持った人たちの写真とともに記事が載っていました。「同じ字体」ということは、組織的動いているということ。無効の根拠は、14条の法の下の平等です。一票の価値を行使するにあたって、どこに住んでいても差が付いてはいけないということです。

ただ、人口の流動がありますし、行政区を基本的な単位として選挙区割りをする関係で、完全な1対1になることはありません。そんなことから、従来はその誤差をどこまで認めるのかということが、この問題の重要な争点でした。

過去の判例を見ると、4~5倍が違憲状態、3倍位ならば合憲というのが一つの目安です。今回もその基準に従って判断されると思いますが、そもそも平等権だけで選挙のことを判断することには無理があるのではないでしょうか。

(「中日新聞Web」)

 2つの指標で判断すべき――平等権(14条)と地方自治の本旨(92条)

14条(法の下の平等)はともかくとして、憲法は92条で「地方自治の本旨」について定めています。国政の課題の中には、地方創生も入っています。そして、日本という国は地方によって自然環境がかなり違います。山あり、海あり、半島も島もあります。有人島だけで約400あります。何もない大平原の国ではないので、単純に人口だけを考えて票割りをするといくつかの不都合が生じます。

つまり、大都市の人口集中地域から多くの議員が選出され、人口減少地域だと言うだけで、広い範囲から1人の議員しか選ばれないということが起きることになります。今回の参議院選挙では、鳥取県と島根県が合区となり2県で一人の議員選出となりました。

ただ、これはよく考えると、地方の切り捨てに繋がります「戦後最大の難局」(岸田首相)を乗り切るために、一つのカギを握っているのが地方再生です。食料安保の観点から、自給率を高める必要があります。地方の地場産業を含めて、農林水産業に目を向ける必要があります。人口減を防ぐためには地方の活性化、そのための地方文化の伝承など数多くの課題が地方には山積しています。ところが、議員配分を見ると、逆配分になっています。

要するに、14条だけを考えて選挙区割りを行えば、地方切り捨てになるということです。であれば、例えば参議院選挙だけでも、人口+行政区(地域の実情)といったことを踏まえた選挙区割りをしたらどうかと思います。鳥取県と島根県が合区というのは、すこし乱暴な措置だと思います。当該の住民は、このような「差別」的な取り扱いについて、13条の幸福追求権を根拠に提訴されたらどうかと思います。

(「Live Japan」)

 国会が国権の最高機関

ここ数年、裁判所で違憲状態という判断が下されると、国会がそれを受けて選挙制度や選挙区割りを変えるということをしてきました三権分立だから当たり前という主張があるかもしれませんが、憲法は41条で「国会は国権の最高機関」と謳っています。この理由は、主権者国民(第1条)から直接選ばれた議員で構成する国会に重要な地位を与えたのです。三権分立によって意見が分かれた場合、あるいは国にとって重要な事項は国会が決めて良いと憲法は言っているのです。裁判所が編み出した統治行為論という理屈もあります。

だから、最高裁が何か違憲判決という判断をしたからといって、必ずしもそれに従って選挙制度や選挙区割りを変える必要は全くありません選挙制度や選挙区割りというのは、国民の意思をどのように正確に掌握するかということと、地方自治という観点を採り入れて国会が自信をもって決めれば良いのです。

最後に、アダムズ方式について触れておきます。アダムズというのはアメリカの5代目大統領の名前です。彼が人口に比例して議席を割り出す方式を編み出したので、彼の名前が付いているのですが、この方式を日本で次の衆議院選挙から採用しようとしています。

アメリカと日本は地理的な事情が全く違います。この方式を日本で採用すると、様々な矛盾が出てきます。アメリカは広大な大平原の国。人口と議席を比例計算で出しても大きな矛盾はありません。日本はアメリカのような地理的条件と同じではありません。それにも関わらず、殆ど何も考えずにアダムズ方式を採用する愚。少し呆れています。

(「佐賀新聞」)

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