「臨時国会が召集され、菅総理の所信表明演説が行われました。どんな感想をもちましたか?」
「無難にまとめたというのが感想です」
「可もなく、不可もなくという感想ですか?」
「そういうと、身も蓋もない感じを受けますが、背伸びをせず、自分の出来そうなことについてまとめたという印象です。そういう意味で、彼の実直な性格が反映された演説だったと思います」
「ここを言って欲しかった、強調して欲しかったというところはありますか?」
「私は教員なので、どうしても教育の問題をどう捉えて、どのように語ったかに関心が向かいました」
「いかがでしたか?」
「「教育は国の礎」という言葉を聞いてほっとしました。ただ、中身がオンライン教育だけなので不十分だなと感じました。それはあくまでもツールなので、それが導入されれば、いじめ、不登校などといった現場の問題が解決する訳ではありません」
「少子化対策では、待機児童やベビーシッターといった教育環境問題のことを言っていましたね」
「その辺りは、対症療法的な発想から抜け出していないと思います」
「社説ですが、『日経』が「大局観がやや稀薄」、『産経』が「国家観示し指導力発揮を」です」
「まとめると、「画竜点睛を欠く」ということでしょう。セールスポイントをいくつか並べていますが、背骨になるような理念が弱いですね」
「どうすれば良いですか?」
「所信表明演説は、政府の公約を並べるという発想ではなく、国としてどのような考え方でこれから進んでいくのか、その理念と考え方、そして緊急を要する問題については具体的方針を国民に向けて指し示すものだと思います」
「コロナの問題が緊急を要する問題ということで、最初に述べられています」
「それはそれで良いのですが、重要な問題は皇統の問題、憲法改正、人づくりとしての教育政策、地域おこし、防衛問題の5点が柱だと思います」
「皇統と憲法改正については、何も触れていませんね」
「防衛問題は中国に対してどの程度踏み込むかを注目していたのですが、遠慮し過ぎというのが印象です」
「どのように表現されているのですか?」
「『中国との安定した関係は、両国のみならず、地域および国際社会のために極めて重要です』と言っています」
「成る程、無難にまとめていますね。ここからが本論です ↓」
日本のアイデンティティである皇統をいかに守るか
アイデンティティをいかに維持するか、これが組織を存続させる上で重要な視点です。これを外すと、不思議なことに組織は急速に瓦解に向かいます。多くの会社がありますが、長く存続する会社、すぐに潰れてしまう会社、発展して途中から駄目になってしまう会社など、いろいろです。その根本原因は何でしょうか。アイデンティティを無視し始めると、滅亡に向かうというのが、私の持論です。これは、個人にも当てはまります。
アイデンティティというのは、心理学用語ですが自我同一性と訳します。簡単に言うと、自己分析(自社分析)と他人評価を一致させることです。「日本は天皇を中心に家族のようにまとまった国」という日本の特徴を日本人だけでなく、世界の国もそれを認めるということです。そういった国であることを、内外で認知させることができれば、日本という国は永続できます。まさに「千代に八千代に」なのです。
反面教師の例を紹介します。『週刊新潮』(2020.10.29日号)に「ヤマダ電機苛烈戦略に丸裸で放り出されるかぐや姫」という記事が掲載されました。ヤマダ電機と提携したものの大塚家具の苦戦が続いているといった内容です。大塚家具は父娘の内紛があり、社長が娘の久美子氏になってから従来の高級家具路線から転換をしたのです。大塚家具のアイデンティティが高級家具だったのですが、それを崩したので当然組織は衰退に向かうことになりますし、実際にそうなっています。
国家も企業も組織である限り、その中心軸がぶれると揺らぎ始めます。組織というのは、突き詰めれば人の集まりなのです。人を集めるためには、多くの人の気持ちを結集させる理念や論理が必要です。それがアイデンティティですが、常に組織の構成員に対して意識づけをする必要があります。人心は移ろいやすいからです。同じことは国家にも言えます。
皇統については憲法の前文に書き込む必要あり
日本国憲法は完全に制度疲労を起こしています。この憲法は、GHQが定めた憲法ということもあり、改正する時期にきていると思います。全面改正する必要はありません。例えば、賛同者が多い9条については、その理念を受け継いだ条文を遺せば良いと思います。その他、意義ある条文もありますので、それを残しつつ、今の時代に合った内容の憲法に改正すれば良いと考えます。
一番重要な点は、憲法の前文に皇統の歴史、日本の文化と伝統、さらにはそれを踏まえた歴史について書き込むことです。それを上手く書き込むことができれば、1000年の後にも日本という国は安泰でしょう。大きな人口減があるかもしれませんが、中心軸が定まっていれば、組織というのは安泰なのです。
読んでいただき、ありがとうございました。
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