「アメリカのジョージタウン大のケビン教授が「米国よりましな日本」という小論を『産経』(7/30日付)に載せたので、おやっと思い読んでしまいました」
「何が「まし」と言っているのですか?」
「社会秩序の面では、アメリカより日本の方がマシと言っています」
「猟奇的な殺人事件や子殺し、集団殺人など、何か残酷な事件が多くありませんか?これでも、マシなんですか?」
「ケビン教授が言うには、麻薬の蔓延によって道徳が失われていると言っています。何しろ薬物過剰摂取による死者数は年間10万人を超えるそうです」
「凄い数ですね。アメリカは何でもビッグなんですね」
「変なことで感心していると、日本もそうなりますよ」
「アメリカはキリスト教国ですよね。宗教が歯止めになっていないのですか?」
「棄教という言葉を知っていますか? 教えを棄ててしまうことが進んでいるそうです」
「えっ、アメリカ人はヨーロッパ人より教会に通う人が多いと聞きましたけど……」
「もともとアメリカはキリスト教の一派の清教徒たちが信仰の自由を求めて建国した国ですからね」
「だから、大統領は就任の時に聖書に手を乗せて誓いの言葉を言うのですよね」
「人の心は移ろいゆくものですからね。それを踏まえて、秩序を保つための「内的装置」が必要かもしれません」
「新しい哲学が必要でしょうか? それとも教育を工夫すれば良いでしょうか?」
「難しい問題ですね。ここからが本論です ↓」
何かがあれば暴動が発生する社会
つい先日、アメリカの一青年がSNSでパソコンやゲーム機を無料で配布するという偽りの情報を流したところ、それを真に受けた人たちが何万人とニューヨークの街中に集まったそうです。ところが、いつまで経っても無料配布が行われないため、集まった群衆が暴徒と化して破壊行為をし始め、60人位の逮捕者が出るという騒ぎになったそうです。
自由、平等の民主主義社会がアメリカのコンセプトです。建国当時は、そのコンセプトは光輝くほど価値をもっていたと思います。そして、それをキリスト教精神が支えていたのです。しかし、時代の流れの中で、そういった価値観が色褪せ始めたということだと思います。
ケビン教授は「今のアメリカの自由は、犯罪も麻薬も自由、無政府主義的な自由になりつつある」と言っています。無秩序な自由は、悪魔の自由となり、社会を破壊する道具となります。
(「Freepik」)
暴力的な自由を活力にしてしまうような国
アメリカは個人主義の国です。個人が一人ひとり人間として尊重されるという意味です。言葉としては美しいのですが、個人が中心なので、どのような活動をするかは、個人が基準となり、それをそのまま許せば社会は混乱します。
社会というのは、秩序を守ろうとする者と破壊しようとする者とのせめぎ合いと捉えることも出来ます。麻薬依存者は秩序など、どうでも良いでしょう。棄教する者も、そう考えているでしょう。ただ、破壊しようとする者がある一定程度の影響力をもたない限り、社会の秩序は保たれるものです。
そして、アメリカは移民の活力によって力をつけてきた国です。そこが他の国とは違います。これは『日経』の西村博之氏の論文「移民なき米国はただの国」で使われたデータですが、1995年の労働人口が1億3200万人から2022年は1億6400万人と3200万人も増えています。増えた3200万人のうち7割が移民とのことです。
移民の立場からすれば、アメリカで勝負と思っている人が多いと思います。すべての人が上手くいく訳ではありません。自由競争社会の厳しさを肌で感じている人も多いと思います。彼らに対してのアプローチの仕方によって、社会を壊す側に追いやるのか、維持する側として彼らを戦力として育てるのかが変わってくると思います。
(「中米移民の集団北上/『日本経済新聞』」)
日本とアメリカは国づくりの考え方が違う
建国の経緯がアメリカと日本で違いますので、アメリカの移民政策をそのまま日本に持ち込むことは出来ません。人口減に伴って、労働力人口が減るため、その減った分を外国からの移民で補充するというプランが自民党から出ていますが、単純な問題ではありません。
日本の古代の時代に大陸から多くの弥生人が渡来したようです。かつては帰化人と言っていましたが、昨今は渡来人と呼んでいます。アメリカは移民が作った国と言われています。日本もある意味では、移民によって作られた国と言えます。違うのは、列島に渡って来る人たちがかなり長期にわたっていることです。そして、渡来人たちは日本の社会の発展のために貢献したのです
移民政策が上手くいくためには、現地の言語は勿論のこと、法制度や風習やしきたりなどを理解させて、融合する姿勢を、彼らにもたせることが出来るかどうかです。お手本は大相撲にあります。日本の社会を破壊する側に彼らが行かないように移民プログラムをきちんと作ることだと思います。
(「朝日新聞デジタル」)
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