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「日本売り」が密かに始まっている / 「弱い円」現象の根底に日本の政治、経済の地力の低下あり

女性

「ニュースのトップにコロナのことを流すのを止めて欲しいと思っているのですが……」

「状況を知らせるということと、国民への注意喚起ということでしょうが、流石に4回目の緊急事態宣言が出るに及んで、少し食傷気味です」

女性

「市民はマスクを着用して真面目に生活をしていますので、後はこのコロナ生活をどうすれば脱却できるか、それだけですね。もう、経過報告はいりませんよね」

「そういう訳にはいかないでしょうが、正しい知識をもって対応するということでしょうね。その点、『新型コロナの大誤解』という新書が出版されました。副題がセンセーショナルに「もうだまされない」となっていますが、内容は専門家による至ってオーソドックスな見解です」

女性

「成る程と思ったことがありますか?」

「おやっと思ったのは、新型コロナは空気感染が主で、接触感染は殆どないと言っているのです。後は、換気を良くすることが大事なので、パーティションは殆ど無意味ということと、手洗いよりうがい、コロナ禍が終わってもウイルスがいなくなる訳ではないといったところでしょうか」

女性

「とにかく、いろんなことが後手後手になっていると思います」

「一事が万事という言葉がありますが、コロナへの対応を見ただけでもこの国は大丈夫かと思ってしまう事例がいくつかありました。当然、それを海の向こうから見ている人たちがいて、それを日本評価の一つの材料としているのです」

女性

「具体的には、どういった方たちですか?」

「海外の投資家や企業家ですね。国内で言うと、外国の株式で投資信託を運用している方たちです。資金や物流は国境とは関係なく流れますので、どこに資金を流すか、どこで生産をするか、どこでモノを売るか、そんなことを絶えず考えている人たちがいるのです」

女性

「これでは、評価は低くなりますよね」

「オリンピックもあり、大リーグで大谷選手が活躍して「日本」に関心を寄せる人が増えたので、「日本」そのものを売り込むチャンスなのですが、現状では生かされていません」

女性

「オリンピックが単なるイベントという捉え方ですし、取り組み方をみると、日本のまとまりが悪いという印象をもつでしょうね」

「そういう印象も実は大事な要素なのです。ここからが本論です  ↓」

 

「日本売り」が密かに始まっている

ガソリン代が値上がりしているので、気が付いている人もいると思いますが、円安が進行しています。年初に1ドル103円だった円相場ですが、現在は110円台になっています。そして、一時は111円台前半とおよそ1年3か月ぶりの円安になったのです。

外国為替相場はその時々の経済情勢によって円高になったり、円安になったりするので変動すること自体は当然であり、問題にすることではないのですが、最近の動きの背景には「日本売り」があるのではないかと思っています。変動には、心配のない変動と心配をしなければいけない変動の2つがあり、今回は後者ではないだろうかということです。つまり、単なる変動という枠内を乗り越えて、円安が起きているのではないだろうかということです。

「日本売り」の根拠として、どのようなことがあるかということです。資金は政治的安定さと治安の良さを求めます。日本の治安の良さは、国際的に定評があるところですが、問題は政治的安定度です。投資家は、政治的な不安定要因を極度に嫌う傾向がありますので、その点細かく分析的に見ることにします

(「ロイター」)

 政権政党である自公の変質が進んでいる

先の都議選の結果を見ると、自公で過半数を取れませんでした。さらに、国会でウイグル人権問題で決議を挙げることができなかったということから、自公内に親中的な勢力がいることが分かり、国民の政権離れ、支持離れが起きています

日本の政党の中には、共産党という革命政党が公然と活動をしていますので、この政党の支持率と他党との関係も国政の不安定要因となります。そうすると、共産党に近い考えを持っているのが立憲民主党ですが、都議選では両者の選挙協力もあって議席を伸ばしています。この流れは、秋の衆議院選挙に受け継がれるだろうというのが、大方の見方です。

このように政治的な不安定要因が増えているので、対外的な危機があった時、例えば中国の尖閣奪取といった事態があった場合、毅然と対応できないだろうという予想が立てられます

 

 官僚主導行政を見直す時

コロナの対応についても、ワクチン供給やワクチン接種など遅れが目立ちます。原因は、国内の省庁内のシステムに問題があるのでしょう。ワクチンの承認から接種さらには手配に時間が掛かり、すべて「厚労省任せでは、高齢者に打ち終わるまでに年が暮れていただろう」(「産経抄」2021.6.28)と言われる始末です。しかも、そのワクチンはいずれも外国製のものです。国内で開発する技術・開発力、資金力がないことが分かります。一事が万事なので、国内の科学技術力も当然落ちているだろうということが分かります。

また、みずほ銀行が短期間で4回もシステム障害を起こしました。あれは、みずほだけの問題ではなく、日本の金融機関の現在の弱点が、偶々あのような形で露呈した根が深いものとする見方があります。つい最近、銀行への融資申し込みに直接関わる場面に遭遇して、両者とも約2か月という異常に長い時間を要したことに驚きました。一つは事業用資産、もう一つは住宅ローンです。何をどう審査すると、そんなに時間が掛かるのかよく分かりませんが、決済までの時間が長いというのは余り良いことではありません。時は金なりだからです。監督機関である金融庁も含めて、何か内部のシステムそのものに問題があるのではないかと思っています。

日本は官僚主導の国家です。学歴社会を構築して、優秀な学生を国家公務員上級試験によって採用し、各官庁に配属し、政策を立案させる。実は、そのシステムの基本的な骨格は明治時代に作られ、途中組織編制を変えて何とか「リフォーム」をして凌いできたのですが、流石にここに来てボロが出始めています。

「弱い円」現象の根底に日本の政治、経済の地力の低下あり

そもそも家公務員上級試験を目指す学生が少なくなってきています。給付金550万円を詐取した経済産業省の20代の若手キャリア官僚の事件がありましたが、彼らは花形と言われる経済産業省の政策局の所属です。文科省が進めようとした大学共通テストも、最初の年から大きく躓(つまず)きました。

円安という言い方は、ドルと比較した表現です。円が安くなっているけれど、アメリカ以外の先進国の通貨も安くなっているのであれば特に気にする必要がないのですが、日本一国だけ突出して円安なのです。他の先進国は下がっていません。

この「弱い円」現象が一時的なものであることを願いますが、日本の政治、経済の地力の低下を反映したもののような気がします。2019年と2020年に112円まで円安が進みました。そこが一つの抵抗ラインです。それを突破するかしないか、そこだけを注目してみて下さい。いずれにしても、少し警戒をしつつ、「弱い日本」克服のためには経済のファンダメンタルを強くしなければ駄目だと思います。

(「みんなのFX」)

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