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「有事の円」から「有事のドル」に / 日本経済のファンダメンタルズが弱いための円安現象

女性

「今、円安になっていますよね」

「昨日の引け値が1ドル119円10銭~20銭ですね。ここしばらく、115円近辺で動いていましたからね」
女性

「高校で変動為替相場について勉強して、円高は輸入に有利、円安は輸出に有利と習ったのですが、どうしてそういうふうに動くのかということについてまで習ってないような気がします」

「円高、円安は海の波のように変動するものです。その変動について、明確に原因が分かる場合と、分からない場合があります」

女性

「分かる場合と、分からない場合の2つがあるのは、何故ですか?」

「簡単に言えば、経済現象のすべてが解明されている訳ではないからです。病気と同じです。因果関係が分かっているものと、分かっていないものがありますよね。経済も同じなんです」

女性

「今回の円安は、どちらですか?」

「原因が分かっている方ですね。アメリカがインフレ対策で利上げをしましたね。当然、資金はアメリカに向かいますので、ドル高、つまり円安になるということです」

女性

「日本もエネルギー価格が高くなるので、その影響で製品が高くなると言っていますよ。それはインフレとは言わないのですか?」

「インフレという言葉は政治問題になりやすいので、政府はそういう言葉を避けたがる傾向にあるというのが私の見方です」

女性

「インフレ対策という言葉がありますものね。そういうことですか?」

「そうですね、インフレと言うと、条件反射的に野党からどのような対策をという質問が定番のように来ます。出来るものならば、避けたいということです」

女性

「成る程、その言葉を避けて、物価の上昇傾向という言葉を使うということですね」

「あなたも大分政治的な機微が分かるようになってきましたね。あと、日本では今は利上げ出来ないと日銀が思っているのです」

女性

「それは、どうしてですか?」

「一言で言えば、日本の経済力が弱いからです。アメリカと同じように、インフレ対策ということでの利上げに対抗するだけの企業や家計の経済力はないだろうと日銀が判断しているのです。利上げというのは、簡単に言うと、グレードを上げるということですからね。あなたの家のローンの利率も連動して上がりますからね」

女性

「いや、それは絶対に困ります。ここからが本論です ↓」

 「有事の円」から「有事のドル」に

かつては「有事の円」と言われていたのですが、現在は「有事のドル」になってしまっています。これは、どういうことでしょうか。まず、前提として、社会の原則というのは、国際情勢や時代の状況などによって変わるということです。その点が自然の法則と大きく違うところです。

「有事の円」と言われていた時代は20世紀の後半の頃ですが、日本の経済力が強く、日本の政治的な環境も安定していた上に、アメリカが世界の警察の役割を果たすべく戦費を使っていました。当然、ドルは海外に多く流れることになり、需要と供給のバランスが崩れて、貨幣価値が落ちる。そういう中で、ドル安、円高という流れになったのです。現在は、下のグラフの通り、円は弱いのです。

(「日本経済新聞」)

 円高になる要因がない

政治的事情と経済的事情という、2つの原因があります。この2つは、相互に絡み合っているのですが、それぞれ分けて論じたいと思います。

政治的事情というのは、ウクライナへの侵攻が大きな事案です。どのように影響するのかということですが、投資家の立場に立って今のウクライナ情勢を見れば、大体納得できるのではないかと思います。投資家は政治的な発言力が強い国に自分の資産を移す傾向があります。政治的に征服されるような国の通貨を持っていても意味がないと考えるからです。アメリカの政治力の強さを多くの人がこの間感じているのではないでしょうか。そういう国に、どうしても資金は集まる性質があるのです。自由と安定、人間が求めるように、マネーもそれらを求めるのです。

政治的な動きというのは、国境を意識した動きになるため、多くは世界経済に影響することはないのです。なぜ、今回のウクライナの事案が、世界経済に影響を及ぼしているのかと言うと、経済制裁が行われたからです。しかも、かなり広範囲にわたっての厳しい内容となりました。そのため、ロシアを撤退する企業が、現在までで全体の20%に及んでいます。この経済制裁を主導したのがアメリカです。ドル通貨を中心に国際経済を回した方が安心だという投資家心理がどうしても働きます。それが、ドル高に向かう力となるのです。


(「読売新聞オンライン」)

 日本経済のファンダメンタルズが弱いため円安が続く

経済的な動きというのは、政治的な動きと違って、国境を越えて反応します。その場合の基準が金利です。

金利は政治的に不安定な国ほど高いという傾向があります。政治的リスクはありながらも、利益を優先するのか、それとも逆に確実に資金を押さえたいと考えれば、金利が低くてもその国の通貨で預金することを考えるでしょう。そのように、世界のマネーは、各国の金利と政治的安定度を見ながら移動するのです。

アメリカと日本との関係に絞って論じることにします。アメリカはインフレ懸念ということで、利上げを実施しました。日本も物価上昇がこれから予想されるところですので、アメリカと同じように利上げを実施してもおかしくないのです。ところが、日銀の黒田総裁はそういう環境にないということで、金融緩和政策、つまり低金利政策を当面続けると言っています。苦渋の決断かなと思っています。何故、金利引き上げに動かなかったのか。一言で言えば、日本経済が疲弊しているからです。オミクロン株もありますし、経済制裁の跳ね返りが当然あるだろうと予測しているのです。

そんな状況ですので、円安はこれからも進行するでしょう。120円は直ぐに突破して125円に向かうと思います。株式市場は、しばらくは上がったり下がったりの繰り返しとなります(レンジ相場)

(「毎日新聞」)

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