ようこそ日本の危機へ!このブログでは主に最新のニュース、政治、教育問題を取り上げております。

人口減の問題は地域創生とセットで考える問題 / 保育環境、労働環境を良くすれば、人口が増える訳ではない

女性

「「出生率1.36、4年連続減」という数字が発表されました。各紙大きく報道しています」

「自然減が50万人を超えて過去最大の減少幅になったとあります」

女性

「出生数が86万5千人となり、1899(明治32)年以降の統計開始以降で最小を更新してしまいました。この86万人台への到達は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計よりも2年早いそうです」

「統計開始をした頃の日本の人口はおよそ5000万人くらいです。その頃のレベルの出生数になってしまったということですね」

女性

「政府は希望出生率1.8を掲げていたのですが、大きく乖離しています」

「選挙の公約でもあるまいし、希望的観測のような数字を掲げても意味がありません。原因分析を正確におこなって、どのような手法をとるのか、そして地方自治体、あるいは各種団体に何をお願いするのか、あるいはそういったことを考えなくても良いのか、指示をきちんとする必要があると思います。何となく出来ませんでした、で終わっています」

女性

「ただ、政治家の中には、私事が絡む問題なので、対策といっても打ちようがないと言う人もいます」

「その人の発想が貧困なだけです。原因のない結果はあり得ません。因果関係ですべて繋がっている社会です。原因を探る努力が足りないし、しない人に限って屁理屈を言います」

女性

「人口減に比例して、国会議員の数を減らしたらどうですか? そうすれば、彼らも真剣に対策を考えると思うのですが……」

「人口減はそのまま国力の低下に繋がります。人口が多いということは、それだけで武器なのです」

女性

「中国はそれを武器にしているような国ですよね。ところで、人口減を厚労省が担当していますが、ここからすでに間違いのような気がします」

「総務省には人口統計局がありますので、そこが分析をして対策を立てる、その内容が社会保障に絡む場合は、厚労省という流れでしょうね」

女性

「そうすると、指揮系統を巡って省庁間の問題が起きませんか?」

「人口減は様々な問題が絡んでいますので、一省庁で解決できるような問題ではありません。最重要課題と言うならば、内閣府直属の組織を立ち上げて対応するべきだと思います。そして、一人誰か司令塔が必要でしょう。その位の態勢をとる必要があります」

女性

「今の政府の捉え方は、人口問題を社会保障問題ないしは福祉問題と絡めて捉え、それを充実させれば良いと考えていると思います」

「それで上手くいっていないのだから、考え方かやり方を変える必要があるのです」

女性

「ここからが本論です。お読み下さい ↓」




 保育環境を良くすれば、人口が増える訳ではない

 生存権が憲法に明記され、社会保障を国の政策として行い始めたのは、戦後のことです。戦前はそのような考え方はありません。むしろ食料事情が悪い農村では、「口減らし」のために間引きも行われていました。それにも関わらず、明治から2008年の平成の時代まで、途中戦争をはさんで人口は右肩上がりに増え続けています。

人口減の原因を、「女性に偏りがちな家事育児の負担」、「長時間労働」(『朝日』社説.2020.6.3日付)「非正規労働者に女性の占める割合が多い」(シカゴ大山口一男教授/『毎日』2020.6.6日付)、「男女格差社会」(鬼頭宏静岡県立大学学長)などと、いろいろな人が様々な角度から指摘しています。そういった影響もあるとは思いますが、主要な原因はそこではないのです。

婚姻件数の年次推移を見てみることにします。終戦直後の1947、48年の「第1次婚姻ブーム」には95万組でした。その後に急減して1951年に67万組と戦後最低を記録した後は、増加に転じ1972年に「第2次婚姻ブーム」を迎え、110万組でした。

翻って2019年の婚姻件数を見てみると約60万組です。それでも、その前年の2018年より1万2千組多かったのです。これらの数は「ブーム」時の半分強です。この数字をみると、そもそも婚姻数が少なくなっていることが人口減の第一の原因ということが分かります

そして、1947、48年の「第1次婚姻ブーム」が何故起きたのかということです。戦争が終わった直後です。まだ、各地に戦争の爪痕が残り、戦後の復興が始まったばかりです。台湾と朝鮮半島の領土は削られ、そこに住んでいた人たちは日本に帰還して来るという状況。ところが、日本に戻ってきた人や復員兵の働く場所もなく、経済的にも疲弊していた時代です。

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20170925-00076051/

【婚姻件数、婚姻率推移】のグラフを見て欲しいと思います。

要するに、戦争中に結婚を延期していた人たちが、戦争が終わり結婚をしたために増えたのです。あと、調べてみると、地域や職場、あるいは労働組合で男女の出会いのためのフォークダンスやイベントなどが積極的に開かれていました

フォークダンスは戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が日本に持ち込みました。日本フォークダンス連盟によると、GHQの民間情報教育局が米国で流行していたレクリエーション運動の導入を日本側に提案し、学校の体育の時間を通して広がったとのことです。「マイムマイム」や「オクラホマミキサー」など曲目はさまざまですが、「青い山脈」をバックに踊ったという記録もあります。当時は若い男女が手をつないで踊ることが物珍しい時代で、地方によっては近所の人たちがその光景を見るために学校まで来たという記録もあります。

ベビーブームの陰にカップリングの努力があったのですそんなことから、「少子化対策のためのフォークダンスの集い運動」ということを行っている団体もあります。

 地方の衰退が都市化を生み、その都市が「人間砂漠」であった

東京、大阪、名古屋といった都市圏に人口が多いのは当たり前というのが常識と思っている人がいるかもしれません。戦後は一貫して東京都が人口トップの自治体ですが、戦前は広島県、新潟県、石川県、北海道といったところが日本一の人口を抱えていたこともあるのです。

戦後になり、1950年代から70年代にかけて高度経済成長期を迎えます。工業社会として経済発展をはかりますが、それとともに都市化が進行します。ただ、ここまではどの国にも見られる現象です。

特異な現象が、その後起こります。つまり工業社会が終焉したにも関わらず、都市化現象が続くのです。工業社会の場合は、モノを大量に生産するために多くの人を生産地域に集める必要があります。そのため人口集中が起こるのですが、日本の場合は脱工業社会となった現在においても都市化が進展しています。

これはどうしてなのかということです。原因は、共同体としての地方の魅力の喪失があり、その根底には地方文化の衰退があるのです。

ただ、人口集中が起こる都市で豊かな人間関係が築くことができ、多くの「東京ラブストーリー」が生まれれば、それはそれで良いのですが、「東京砂漠」で自分の喉の渇きを癒(いや)すのに精いっぱいです浮いた話は当然少なくなり、すれ違いの連続となります。

出会いが少なければ、成婚率が低いのは当たり前。そうなれば、特殊合計出生率が当然下がります。東京の特殊合計出生率は全国最低の1.15ですが、それはある意味必然的な数字なのです



 人口減は地域創生(地方創生)とセットにして考える必要あり

 保育環境を良くするとか、待機児童対策をするとか、男性の育休取得を推進するといった枝葉末梢的なことで人口減の問題は解決しません

この問題は、地域創生(地方創生)の問題とセットにして考える問題なのです。故郷を捨てる若者が多いのは、何故か。その原因を分析して、そこを突き詰めて対策を立てなければ解決策は見い出すことが出来ないと思っています

結婚と地域創生(地方創生)が、どうして繋がるのかと疑問に思う人がいるかもしれません。日本は長い間、結婚については「お見合い文化」だったのです。「お見合い文化」によってカップルが地域を中心に生まれ、結婚をして、その地域の文化の発展のために人生を過ごすというのが一つの標準的な姿だったのです。

ところが戦後に新しい憲法が制定され、新たな価値観が社会に流れ込むことになります。日本国憲法の24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、……」という条文があります。この考え方は、日本人が従来地域で行ってきた風習を否定するものでしたそれにより、地域で結婚を橋渡しする人が減り始め、結婚数の絶対量が減るのと同時に都市化が進行し、さらにそれが地域の衰退を招いたというのがおよそのところだと思っています。

だから実際に地域の文化がしっかり残っている所ほど、結婚の成婚率、さらには出生率が高いはずです出生率は沖縄が日本で一番高く、1.82ですが、それは沖縄が独自の文化を守り育てようという気風が強いからゆえの数字だと思います。例えば、石垣市は文科省の機械的な学校統廃合に反対して地方教育を守った自治体ですが、ここでは2月の第一日曜日を「いしがき教育の日」と制定し、市民会館で教育講演会や各種取り組みの報告、教育功労者の表彰などを行っています(「八重山日報」)。人口減を止めるためには、地方独自でそれなりの努力をする必要があります。

東京に人が多く集まっていますが、単に働くのに便利、単に生活に便利といった観点から選ばれたに過ぎないと思います。何か、そこに魅力的な地方文化が花開いている訳ではありません。だから、1.15という低い数字なのです

私は多摩に住んでいますが、多摩地域のどこかの市が地域が一体になるような教育的な行事を計画したという話は寡聞にして知りません。東京都も同じです。問題意識すらないと思います

人口減の問題は重要なので、明日もまたこの話題を取り上げたいと考えています。

読んで頂きありがとうございました。

よろしければ、「ぶろぐ村」のクリックを最後お願いします↓

最新情報をチェックしよう!