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米中情報戦争に突入 / 情報戦なので仲介はあり得ない、旗幟鮮明(きしせんめい)にする必要あり

「『日経』の夕刊記事(2020.7.29日付)の1面トップに「光海底ケーブル、日本案に」という記事が載りましたが、多分この記事の重要性について気が付いた人は少なかったのではないかと思います」

女性

「実は、この記事を読むまでインターネット通信について、誤解をしていました」

「何の誤解ですか?」

女性

「海外の人と普通に電波を飛ばしてインターネットのやり取りをしているのだと思っていたのです」

「電波はそこまで飛ばないと思います」

女性

「少し考えれば分かることですが、一種の錯覚ですよね」

「思い込みがなくなったところで、今回の記事をどう理解しますか?」

女性

「要するに、南米とアジアをどう結ぶかという問題ですよね」

「そうですね。中国案は中国と南米を、日本案はオーストラリア、ニュージーランドを経由しながら日本と南米を結ぶという案です」

女性

「それで、日本案が通ったということですよね」

「チリは中国が最大の貿易輸出国なので、そういうこともあり当初は中国案が有力だったのです」

女性

「逆転したということですね」

「それは同時に、情報を自分たちの世界統治に利用しようとしている中国共産党の野望を防いだことにもなるということです」

女性

「その辺りの意味がよく分かりません」

「中国の海底ケーブルが曲者で、通過するバケットが丸ごと中国に送られるように設計してあるのです」

女性

「えっ、そうなんですか! 凄いことを考えますね。ここからが本論です」

 ジョージ・オーウェルの『1984年』で描かれた情報統制社会の恐怖

ジョージ・オーウェルの『1984年』という小説は、全体主義国によって国民の思想統制が行われる近未来社会の「恐怖」が描かれています


主人公のウィントンは30代の既婚男性ですが、妻とは別居中の身です。体制のあり方に対して、疑問をもつタイプです。監視カメラとマイクをかいくぐりながら日々自分の感じたことを書き留めているという「犯罪行為」を繰り返していました。彼の国では、何かを思ったり、考えたりしてはいけないのです。「思考犯罪」として認定されれば、極刑が待っているような国です

あることをきっかけにウィントンは思想警察に捕らえられ、政府の「愛情省」で尋問と拷問を繰り返し受けます。そして、それにより彼は、心から党を愛することができる人間になっていきます

実は、この小説を私は大学の2年生の時に、先輩に薦められて読んだ記憶があります。丁度、自治会活動にのめり込み始めた頃だったと思います。結構分厚い文庫本だったのですが、読み始めたら止まらなくなり、2.3日で読み、何か恐い世界を垣間見た記憶があります。今、思うと、もしかしたら当時の私の姿を見て、危うさを感じて『1984年』を薦めたのかなと思うことがあります。

普通の感覚であれば「恐怖」ですが、共産主義者にしてみれば、素晴らしい話ということになるでしょう。価値観が違えば、捉え方も違います

この小説は、理想社会をどう捉えるか、ある意味で「踏絵」の役割をすると思います。読んで素晴らしい結末だと思う方は、根っからの共産主義者ですし、違和感を覚えた人は共産主義の考え方に合わない人でしょう

日本共産党の党員の方は、是非お読みになって、自分の思想的ポジションを確認すると良いかもしれません。

 

 米中デジタル戦争が本格的に始まった

日本は何となく蚊帳の外に置かれて、今の米中戦争の本質が分からないまま思考停止状態のような感じになっていますが、米中デジタル戦争の根底には、ジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた全体主義国家を認めるか認めないかという価値観が絡む問題になっています。

日本は米中の仲介役に、という意見が出ていますが、情報戦や価値観が絡む闘いに仲介役はあり得ません。どちらかにつくという問題です

中国共産党の本音は、はからずも「香港国家安全法」によって露呈しました。つまり、国民を党の支配の下、統制し切ろうという考えです。もともと中国には、権利や自由、平等という概念はありません。それらの概念は、西洋近代社会が生み出した概念ですが、そのような考え方を中国共産党は受け入れる考えは全くありません

中国共産党の統治というのは、国民を徹底的に抑えることであるし、それが政治の最終目的と考えているのです。

従って、抑えるためにはどうすれば良いかという発想からスタートしますので、「監視」と「情報統制」のためにAI(人工知能)を使おうとします

中国社会は至る所に監視カメラが設置されていますが、「防犯」のためではなく、「統治」のためと考えています。どう違うのか。前者であれば、何か犯罪が起きた時はカメラの映像を解析するが、それ以外の情報はプライバシーに関わるので使わないし、時間が経てば消去するべきものと考えます。後者は、犯罪の時も使いますが、映像から取り込んだ情報はすべて貴重な情報として保存します。その態勢を世界に拡大しようと考えています

「世界の通信をすべて検閲するには、巨大なインフラが必要となる。世界中に敷設された海底ケーブル、世界170カ国以上に設置された何百万台ものファーウェイ製基地局、世界各国に導入された数億台の中国製監視カメラ、……世界征服という冗談みたいなことを考えていなければ絶対にペイしない投資だが、中国はもしかしたら本気なのかと思わせられるほどの規模で、地球上に謀報インフラを張り巡らせているのだ」(深田萌絵『米中AI戦争の真実』育鵬社.2019年/91-92ページ)


もしかしたらではなく、中国共産党は本気で世界制覇に乗り出したのです。彼らの世界戦略は、まず情報面でアメリカに優位に立ち、そして最後に軍事的圧力によって抑えてしまおうというものです。ハードを見せかけておいて、ソフトから入り、最後ハードで仕上げるという戦略です。非常に理にかなっていると思います。逆をやれば、ひねられて終わるからです。

そして、その先兵隊の役割を果たそうとしているのが、ファーウェイなのです。それに気付いたアメリカが必死で排除に乗り出したところです。

 情報を握ることが、どうして世界制覇に繋がるのか

世界制覇するために、中国共産党が考えたことは、自分たちに都合の悪い情報が入ってこないようにすることと、都合の悪い情報をシャットダウンすることです。万里の長城は異民族侵入を防ぐために造られた目に見える壁です。それに倣って、自由な情報が飛び込んでくることを防ぐために「情報の壁」(グレート・ファイアウォール/GFW)を作る計画が立てられたのです。

実は、今話題のファーウェイ(華為)というのは、その計画のもとで創られた企業なのです計画が打ち立てられたのは、鄧小平の時代です。鄧小平が好んで使っていた言葉が、「龍唐興為巨大中華」ですが、この8文字の中から2文字ずつ取り出して4組の熟語を作り、それを会社名にしたのです。現在、GFW計画のもとでつくられた企業のうち残っているのは、華為(ファーウェイ)と中興(ZTE)の2社です。

GFWというのは、その言葉の通り、もともとは中国に都合の悪い情報が入らないようにするためのシステムだったのですが、今や「世界を監視し情報統制を行うための攻撃ツール」(深田萌絵 前掲書.86ページ)に最早なってしまっているとのことです。

やり方は世界から集まってくるビッグデータをAIを使って分析し、中国共産党に対して敵対度が強い順番に類別します。最も敵対度が強いグループを類別して、その言論を解析し、AIにターゲッティングさせます。ターゲットになった人物が中国本土に入ってくれば、何か理屈をつけて捕まえます。日本人が中国本土で身体拘束されるのは、こういったケースが殆どだと思われます。本人は青天の霹靂ですが、本人のデータが秘かに集められていたのです

つい先日、30年前に渡米しアメリカの国籍を取得し、アメリカに在住の人を中国政府は「香港国家安全法」違反で国際指名手配をしました。要するに、その人の情報が集められ、思想的傾向や行動が把握されていたということです

そして、ターゲットとすべき人間に対して、社会的な抹殺を狙って、誹謗中傷をSNSを利用して流すという攻撃が行われることがあります。

また、SNS上のコメント対策として、中国や中国共産党批判を封じるために、「五毛党」と呼ばれる集団を跋扈させたりします。基本給が月600元で、それに1つのコメントを載せるたびに「5毛」のボーナスをつけるという条件から、「五毛党」と言われるようになったのです。「毛」は1/100の意味で、元の1/100という意味です。

ネット言論兵『五毛党』は、宣伝部と人民解放軍の組織によって運営されている。日本でもいくつかの指揮系統でネット工作班が活動している」(深田萌絵 前掲書.118ページ)とのことです。ヤフーニュースのコメントに対して、賛成、反対の数が表示されますが、その数字のうちのいくつかは、そういった意図をもったグループが打ち込んだものがあるということです。

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