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民族と国土の特性を踏まえた「人口減対策」をする必要あり / 人口増加の手本は沖縄にあり

「人口減少ということについて。3つの見方があります。分かりますか?」

女性

「1つは、あきらめ派。2つ目は、何とかしたい派。あとは……」

「3つ目は、それがどうした派でしょう」

女性

「マスコミや識者の論調を見ると、殆どがあきらめ派です。それがどうした派というのは、どういうものなのですか?」

「またの名を開き直り派です。人口が減っても、それに見合って国力を維持できれば良いので、人口減を気にする必要がないというものです」

女性

「確かに、開き直りですね」

「政治家の中には、開き直り派の立場からたまに意見を言う人がいます。かつて、2016年に小泉進次郎議員は、「私は悲観的な1億2千万の国より楽観と自信を持った6千万人の国の方がよっぽど強いと思う」と発言しています」

女性

「6千万人になると、どうして「楽観と自信」を持つことが出来るのですか?」

「彼の勝手な論理です。6千万人に半減して、さらに悲観度が増すかもしれません。というか、そちらの可能性が高いでしょう。こういう安易な発言をするので、ポエム大臣と言われるのです。実は、その時に私は衆議院議員会館の彼の事務室に宛てて直接手紙を書きました」

女性

「何て書いたのですか? 」

「人口が半減するということは、国会議員の定数を半分にしてもいいということ。まず、率先垂範で国会が自らの定数を削減する活動をされたし、その運動の先頭に立って下さいというようなことを書きました」

女性

「半分皮肉が混じった手紙ですね。どう受け留められたかまでは分かりませんよね」

「直接会って聞く訳にはいきませんからね。ただ、その後は人口減何するものぞ的な発言は無くなったと思っています」

女性

「そういった開き直り派は論外として、あきらめ派と何とかしたい派の両者を検討しましょう」

「そうしますか。ただ、マスコミや学者の論調は殆どがあきらめ派です。そういうこともあって、行政官庁の中には、予算がらみで人口減を前提に政策を考えているところがあります」

女性

「例えば、それはどういうことでしょうか」

「一番標的にされるのが教育関係予算です。子供が減るので、教員を減らしても良いだろう、補助金や教育予算も削ってしまおうという発想は、時には財務省と文科省の対立を生みます。ただ、そこに政治的判断がないと財務省の方が発言権が強いので、押し切られてしまうことが多いと思います」

女性

「公立の現場の先生方が何かと言うとお金が降りてこないと言うのは、そういうことですね」

「人口減の問題というのは、いろんな分野に影響を与えていることは確かですが、原因をきちんと分析して、科学的な対策を立てないまま現在に至っています」

女性

「ここからが本論です ↓」

 

 本格的な人口減対策に本腰を入れた訳ではない

日本は戦後に2回のベビーブームを経験しています。第1回目は戦後すぐの時代です。第2回目は1970年代の前半です。今から50年前までは少なくとも、少子化対策など考える必要がなかったのです。そして、その後2000年頃に第三次ベビーブームが起こるのではないかといった希望的観測がありました。しかし、起きませんでした。その頃から、少子高齢化、人口減対策ということが言われ始めましたので、きちんとした分析がなされていないのは、その辺りに原因があるのではないかと考えています。

(「産経新聞」)

 民族と国土の特性を踏まえた人口減対策をする必要がある

現在の日本の人口減対策は、基本的に西洋の物まねです。福祉関係予算を増やすことによって、子どもを産み育てやすい環境を国が整備する、といったものです。フランスでは、そういった政策によって人口が増加に転じましたので、それを政策的に取り入れれば日本でも効果が出ると考えているようです。

 

フランスの合計特殊出生率の推移

1993 1996 19999 2002 2005
1.66 1.73 1.79 1.86 1.92

 

日本人はどうして最初に海の向こうに目をむけてしまうのか、といつも思ってしまいます。多分、これは日本人が魚を食べる民族であったことと関係があると思っています。大漁旗を掲げた船が港に帰ってくる、それを歓声を上げて迎える村の人たち。そんな光景が何千年と繰り返され、海の向こうには宝があるという思いがDNAに刻まれたのでしょう。

大事なのは、足許を見つめること、つまり自国の歴史と文化さらには自国の中のお手本となるような事例があれば、まずそこから学ぶということですが、そういった態度がきわめて希薄です。これがこの国の人たちの欠点なのです。

 人口増加の手本は沖縄にあり

人口減と言いますが、それは日本全体を捉えて言っている言葉であって、人口が増えている地域もあります「人口増300市町村 育児支援が効果」という見出しをつけて『日経』(2021.6.26日付)が報道しています。

また、沖縄県の企画部統計課が先日の6月25日に、2020年10月1日時点での国勢調査の速報値を発表しました。それによると、県の人口は約146.8万人で5年前に比べて約3.5万人増え、率にして2.4%の増加です。

沖縄には『八重山日報』という地元紙があります。日刊紙を支援の意味でとっているのですが、沖縄の人たちが地元の伝統文化や教育を大事にしようという姿勢がよく伝わってきます。学校では方言教育も行われ、方言で作文を書かせるコンクールもあります。沖縄には、祭りや文化、学校行事、教育を地域の問題として捉えていこうという態勢があります。そういう地域づくりをすると、その居心地の良さが人の気持ちを捉え、コミュニケーションも活発に交わされ人口も増えるものです。下の読本は豊見城市が小学校の低学年向きに発行しているものです。

(「豊見城市」)

そのように、日本の人口減対策で重要なことは、地域支援という視点です。フランスは女性、子どもに視点を当てた対策です。なぜ、アプローチの仕方を変える必要があるのかということですが、これは日本とフランスは国づくりの考え方が違うからです日本は農耕民族の国なので、農地と家族と地域を一体的に考え、西欧は狩猟民族の国なので、女性、子どもといった個々の事情に合わせて対策を考えれば良いのです。

日本の人口減対策の提言を読むと、殆どが西洋の猿真似です。厚労省の児童福祉対策、国土交通省による復興、インフラ整備、農水省による農業の補助というように縦割り行政の中に人口減対策的な要素を踏まえて予算が組まれています。

ただ、この行政の発想では、日本の地域復興はできません。震災復興や災害復興の発想は、殆どがインフラ整備と防災対策です。街を新しくさえすれば、元の地域が復興すると思っているところがありますが、そうはなりません。そのような考えでは、真の復興にはなりませんし、人口減は進行していくことになるでしょう

(「琉球新報」)

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