「人口減の問題について、昨日に続いてお話をしたいと思います」
「大事な問題ですものね。しかも、国の行っている政策は、人口減対策になっていないという話でしたよね。少し、不安になりました」
「日本はおよそ2000年の日本王朝の歴史がある国なので、その歴史の中に様々なヒントがあります。とにかく、それを紐解くことです。多くの問題を解決する鍵がそこに眠っています」
「人口減と歴史をどう関連付ければ良いのでしょうか?」
「地域の人たちに、その地域の歴史と伝統、そして文化を継承していくことです。それだけで、その地域は発展します。人口減の問題は、国全体の問題かもしれませんが、地域の問題なんです。それを、まずきちんと自覚をして欲しいと思います」
「もし、ない場合はどうすれば良いですか?」
「ないということはありません。これだけの歴史を刻んできた国ですので、何かあります。問題意識をもって、自分の住んでいる地域を見つめて欲しいと思います」
「ついつい目線が県境を越えて、どこかいいところないかしらという発想になりがちですが、少し足を伸ばしたところ、身近なところに歴史的遺跡や建造物があるということですね」
「自分の周りで見落としているところが意外とあると思います。私も地元の教育委員会が発行した『歴史と浪漫の散歩道』という小冊子を片手に、歴史的遺跡を周り始めたところです」
「八王子でしたよね。夕焼け小焼けの里として有名ですよね。あと、高尾山ですね。私の知っているのは、そんなものです」
「夕焼け小焼けの歌碑が宮尾神社にありますし、もともと城下町として発展した街なので、至るところに名所旧跡があるのです。教材として生かし切れていないと思います」
「学校の先生方もよく分かっていないでしょ」
「教員の免許書き換え講習、結局廃止となりましたが、5日のうち2日くらいを地元の教育委員会の主催で名所旧跡を巡るフィルドワークをすれば良かったと思います」
「免許講習は全部座学ですか?」
「そうなんですよ、『今さらジロー』(ちょっと古い)の話が多かったですね。文科省は大学の教員は万能だと思っているようです」
「ここからが本論です ↓」
「少子高齢化」というイデオロギー攻撃
日本人ほどイデオロギー攻撃に掛かりやすい国民はいないと思います。それは自然の中にカミを感じ、その自然に包摂されながら生を感じてきた国民だからです。穢れなき心、疑いなき心を誇って良いのかもしれないのですが、この現代の錯綜とした時代に於いては時として標的とされることもあります。
『怪談』の作者ラフカディオ・ハーン、のちに帰化して小泉八雲(1850-1904)となったのですが、彼は「自然を知るということにかけては、大地のよろこびと美とを感じるということにかけては、いにしえのギリシア人のごとく、日本人は私たちをはるかにしのいでいる」(『日本の心』講談社学術文庫、1990年/344ページ)と言います。
感性は高いのですが、論理性が弱いため簡単な理屈でも変に納得してしまうところがあります。あれだけ注意を喚起する案内があっても、「オレオレ詐欺」の被害が一向に止む気配を見せないのは、人を余り疑わないという国民性と論理的に突き詰めて考えようとしないという2つの特性に目をつけた犯罪だからです。
日本は中国の戦略上の要衝の地にあります。当然、何らかのイデオロギー攻撃を加えられていると見た方が良いでしょう。人口減というのは、おあつらえ向きの材料なのです。そうなると思い込ませることによって、それを前提とした政策提言がなされ、自然に人口減に導かれてしまうという流れになるからです。
マスコミや識者は、人口減の大合唱
人口減が進行すると、当然国力は低下します。GDP=人口×労働生産性だからです。実は、日本は人口も労働生産性も低下傾向にあり、このままでは経済の先行きも暗いものがあります。
ただ、この世界は因果関係で成り立っている世界なので、人口減の原因、労働生産性が高まっていない原因をデータによって分析し、対策を講じる必要があるのですが、そういうことをしようとはしません。
その辺りの論理を紹介します。『Wedge』(2021.5月号)の中に「昭和を引きずる社会保障 崩壊防ぐ復活の処方箋」という題名の複数の著者による文章が掲載されています。
「2008年をピークに、日本の総人口は急降下を始めた。現在約1億2500万人の人口は、2100年には6000万人を下回り、半分以下となる見込みだ。……」とあり、だから社会保障の新しい制度を考えるべきだという方向に話をもっていきます。
ただ、新しい制度の構築には多大な労力と時間がかかります。人口減は流動的なものなので、その新しい制度もやがては対応できなくなります。ということは、またさらにということになり、いたちごっことなります。そういう発想、考え方をすると負のスパイラルに突入するだけです。
人口減を防ぐことができれば、新しい制度を構築する手間も省けます。人口減が起きているメカニズムを解明することが一番重要なのですが、それについては全く行おうとしません。日本の七不思議の1つです。
地域を構築する発想で人口減を克服する
人口減を克服するためには、地域の活性化という視点をもつことです。活性化のためには必ず「核」が必要です。組織も「核」がなければ、衰退するように地域も「核」がなければ衰退、つまり人口減が進みます。1960年代に各地で開発されたニュータウンの中には、オールドタウンとなり、団地内の商店街はシャッター通りになったということが数多く報告されるようになりました。何故、寂れてしまったのか。簡単に言えば、「核」を作らなかったからです。
ニュータウンというのは、現在で言うところの「スマートシティ」「スーパーシティ」にあたります。「スマートシティ」であろうと「スーパーシティ」であろうと、「核」を作らなければ、必ず廃れます。新しい会社を作っても、核となる組織と理念がいい加減なものであれば、すぐに倒産します。同じ理屈です。
だから、逆に地域を活性化するためには、「核」になるものを何とか地域の中に作ることです。現代は「核」は2つ必要です。その理由は、紙数の関係で省きますが、文化的なものと教育的なもの、2つ必要です。祭りでも行事でも、イベントでも構いません。とにかく地域の子供も含めた異年齢交流ができるものが必要です。そして、それらを担う人たちの組織を作ります。それらが地域の中で受け入れられ、活動できるような雰囲気が出てくれば地域は活性化し始めます。その様子を見て、移住してくる人も出てくるでしょう。そうすると、人口減が止まります。
沖縄県は、地道にそのような活動を地域で行っています。だから、人口が増加するのです。そういった、成功している県の事例に学ぶことも大事なのです。
人口減が確定した未来ではありません。騙されないようにして下さい。
読んでいただき、ありがとうございました。
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