「円安が進みそうな雰囲気ですね」
「日銀は金融政策決定会合(9/22)を開いて、現在の金融緩和策を維持することを決めました。欧米と違った対応です。現状追認のシグナルを送ってしまったので、150円にあっという間に行くと思います」
「そうすると輸入している食料品やエネルギー価格がまた一段と高くなる可能性がありますね」
「今の日本はファンダメンタルズが弱いため、基本的に円安傾向の流れがしばらく続くと見ています。ただ、150円に行くにしても急にその数値に振れてしまうのは避けたいところです」
「金利を上げるとは言えないのですか?」
「かつての時代なら公定歩合操作ということで出来たのですが、現代は市場の流れに極力任せながら政策金利という考え方で行っています。日本は多額の財政赤字がありますからね、なかなか踏み切れないということなのでしょう。」
「為替介入も難しいでしょうか?」
「円安介入としては、保有している外貨証券を市場で売れば良いのです。外貨証券が120兆円位ありますので、それを売ることになります。理論的には可能ですが、アメリカが嫌がるでしょうね」
「どうして、嫌がるのですか?」
「アメリカという国は、とにかく不自然な為替操作を嫌う国なんです」
「じゃあ、日本は何もできないじゃあないですか」
「抜け道がありますよ。大量に売ればアメリカは為替操作国ということで許容しないと思いますが、日本の特殊事情であり、緊急事態という話をした上で5兆円くらいを売るのです」
「それは、どういう意味があるのですか?」
「日本の外国為替レートに対する姿勢、つまりこれ以上の円安は容認しないという姿勢を、世界の金融関係者に現実的な態度として知らしめることになります」
「それで止まるのですか?」
「止まるも八卦、止まらぬも八卦。すべては市場の流れによって決まります。だけど、牽制球になりますので、円高に振れた時に、原油などエネルギーをスポット価格で買うということも出来ます」
「何か努力しているという姿勢が大事なのですね」
「黒田総裁の顔を見ていると、何もやらないよと言っているようなものですから。市場を牽制する演出くらいは欲しいですね」
「ここからが本論です ↓ 表題の写真はYahoo!ニュース提供です」
日本でもインフレが進行する恐れ
資本主義社会が進展すれば、物価はそれにつれて少しずつ上がっていくというのが、ある意味自然な姿です。平成のバブルがはじけて、ここしばらくはデフレ経済が続いたため、物価が殆んど上がりませんでした。ただ、そういうことは長くは続くものではありません。
景気というのは、循環するものだからです。
そういった経済の自然な動きにプラスして、異常気象による農作物への被害の拡大による世界的な食料不足、ウクライナへのロシアの軍事侵攻に端を発したエネルギー供給問題などが今後はインフレ圧力となって作用してくると思います。物価高騰の波が間近に迫っていると思っています。
(「東洋経済オンライン」)
カントリーリスクもある―― 国内回帰の時代
日本は1960年から1973年まで高度経済成長期を経験しましたが、当時の外国為替は固定相場制でレートは1ドル360円でした。今の規準で考えると、「超円安」だったのですが、当時の日本は加工貿易国でしたので、おあつらえ向きだったのです。しかも、海外からは大量に安い原油が入ってきます。安い原材料を大量に輸入して、付加価値を付けて高い製品として海外に輸出する。為替レートが「超円安」であったため、日本製品が割安となり、飛ぶように売れたのです。これが高度経済成長のメカニズムです。
その構図を再現するようにすれば良いのです。環境問題や円高などの要因で、海外に工場や販路を求めた日本企業が多くあります。もうそういった時代ではなく、国内回帰の時代だと政府はメッセージを出す必要があります。そういった呼び掛けだけでも、急速な円安の進展を止める力になることがあるのです。金融市場はその位敏感だということです。
経済の動きは自然現象なので基本的には逆らわないで、その流れを利用する施策を考えることです。真っ向から挑んで破綻したのが社会主義経済です。20世紀の時代ですら経済をコントロールできなかったのですから、今は到底無理です。ただ、世界の中には社会主義経済を実践している国がいくつかありますが、どこも上手くいっていません。
(「ライブドアブログ-livedoor」)
話を元に戻します。円安の恩恵を得ることができるのは、自動車などの製造業です。生産拠点が海外にある場合はその恩恵を得にくくなりますので、事業所や工場、下請け企業を国内に戻すことを考えた方が良いかもしれません。もともと安価な労働力と市場を求めて海外進出したのですが、海外の労働力が相対的に上がっていますし、カントリーリスクも念頭に入れなければならなくなりました。
韓国、中国あたりに進出している企業は、場合によっては企業資産が一夜ですべて無くなるということがあるかもしれません。
第一次産業をいかに支えるかを考える時代
円安の悪影響を受けやすいのは、農業、酪農業、水産業といった第一次産業でしょう。エネルギー価格や肥料、飼料代の値上がりがそのまま経営に響きます。円安は一時的なものではないので、政府の対策が必要です。そして、食料不足の時代がやがてやってきますので、それを見込んで企業がそういった第一次産業の合理的な経営の乗り出すというのもありだと思います。
高層ビルを建てて、全てのフロアが養殖場、農場ということもありだと思います。経済の激しい波を乗り越えるためには、固定的な発想ではなく、柔軟な考え方が必要です。身動きを良くして乗り切ることを考えて欲しいと思います。上手く乗り切れなければ、海の中に沈みます。世界は競争市場であり、そこで私たちは生活しています。お花畑の世界に住んでいる訳ではないのです。
(「goo」)
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