「立憲民主党は新たなリーダーを選ぶために代表選挙を行うみたいですね」
「ただ、所属国会議員が140名で、代表選挙に立候補するためには国会議員20人以上の推薦が必要とのこと。その条件をクリアするのが結構大変だと思います」
「素朴な疑問ですが、自民党は派閥と言って、立憲はグループと言うのは、どうしてですか?」
「議員の所属意識の度合いの違いの問題だと思います。自民党の場合は、派閥ごとに組織されているので、他の派閥と掛け持ちはあり得ません。ただ、立憲は学習会グループという色合いが強いので、中には掛け持ちをする議員もいます。帰属意識が自民ほど強くはないのです」
「だから、グループという言い方を使っているのですね。どうして、派閥的な組織にしないのですか?」
「立憲の場合は、それは無理だと思っています」
「どうしてですか?」
「立憲のターゲットは自民党なんですよ。ターゲットが1つなので、それをどう打ち破るかということですが、考えれば分かると思いますが戦術はそんなに多く立てられません」
「確かにそうですよね。どの事案で攻めるかという項目を選択するくらいのものですよね」
「一方、自民は政権政党として国の政治的、経済的発展ということを考えなければいけません。そして、山頂を目指すコースがいくつもあるように、様々なルートが考えられます。優先事項だけを考えるとしても、経済活性化だ、憲法改正、いや違う人材育成、まず分配だろうというように意見がいろいろ出てきます」
「それを250人以上の大所帯で議論しても非生産的ということですね」
「同じ自民党でも、歴史認識から始まって政策に対する考え方の違いがあります。であれば、同じような価値観をもった者同士が意見をまとめておいて、最後はみんなで決めようということになる訳です」
「派閥の存在自体がおかしいという意見もありますよね」
「党内民主主義があるという証明になると思っています。共産党のように30万人の党員がいて、それが一つの意見に集約されているという方が、不自然だと思います」
「ここからが本論です ↓」
「健全な野党はなぜ育たない」――志がない政党は離合集散する
「健全な野党はなぜ育たない」というテーマで「産経」(2021、11、13日付)に解説記事が載っていましたが、志が低ければ、それを見透かされて票が集まらなくなり、政党としての勢いもなくなります。志が低い、高いはどこで判断するのかということですが、簡単に言えば、自分の政党のことだけを考えて政権獲得だけを目指して行動するか、日本の社会全体を考えて行動するかどうかの違いです。考え方は、個人の志と同じです。
「政権を取らない政党は、ネズミを捕らないネコと同じ」という言葉は民社党初代委員長の西尾末広氏の言葉ですが、志がなければ仮に政権を取ったとしても何をやれば良いか分かりません。1947(昭和22)年の第23回衆議院総選挙で社会党(現在の社民党)が衆議院第一党になったと聞かされた時、当時書記長だった西尾氏は「本当かい、そいつぁえらいこっちゃ」と思わず本音を漏らしたと言われています。要するに、何の政権構想もなかったのでしょう。だから、実際に社会党の片山内閣は短命内閣で終わってしまいます。
歴史は繰り返すと言いますが、2009年に民主党は政権を獲得しますが、わずか3年余の間に3人の総理大臣が選ばれるという混迷ぶりでした。2009年の総選挙では300議席以上を獲得し、鳩山内閣が組閣されますが、その時の内閣支持率は78%という高さでした。それなのに短命政権で終わったのは、何故か。いろいろな説明がされていますが、一言で言えば志がなかったからです。
政権というのは、スローガンだけでも獲ることが出来ます。「反戦・平和」、「基地のない平和な暮らし」などを掲げるだけで票は入ります。ただ、その後の政権構想がなければ、言葉だけだったという裏切り感だけが広がり、期待が絶望に増幅して返ってくるだけです。
(「goo BLOG」)
立憲民主党――万年野党を前提にした党名になっている
民主党は2016年に民進党として出直すことになりますが、その翌年に民進党の代表代行だった枝野氏が率いてつくった政党が立憲民主党だったのです。
立憲というのは立憲主義からとったと思いますが、階級国家を前提とする言葉であり、ヨーロッパ社会で生み出された考え方です。権力は暴走するという前提で、それを国民の力で食い止める必要がある、その際の理屈が立憲主義です。つまり法に基づく(立憲)政治を貫かせることによって、自由や民主主義を確保するということです。
ただ、この党名では、仮に政権を担ったとしても何を目指すのかがよく分かりません。万年野党でいることを宣言したような党名になっています。そのため、やはり階級国家を前提にした理屈を展開する共産主義に近寄ることになってしまいます。強引とも思えるような先の衆院選挙での共産党との共闘は、ある意味で必然的だったのです。
そういった理念的な部分で大きな問題点を抱え、さらに立憲民主党をここまで引っ張ってきた枝野氏が後ろに退くことになるのですが、どういう方向性を打ち出すのか、興味があるところです。
(「幻冬舎ゴールドライフオンライン」)
世界は米中対立の時代に――日本にとって選択肢のない時代
まだ誰が代表候補者として名乗りを挙げるか分からないのが今の状況ですが、反自民ありきという政治的立場であれば、政党として勢力を拡大することは出来ないでしょう。その点で一番分かりやすいメルクマールが共産党との共闘です。共闘を持続するようであれば、果てしなく共産党に引きずられることになります。何故、引きずられるのか。それは、共産党には組織としての芯の強さがあるからです。強い方に吸い寄せられるというのが、この社会の法則です。その結果、選挙で敗北することになります。
なぜ、敗北するのか。世界の流れと逆行する動きをするからです。世界の大きな流れは、冷戦時代から米中対立の時代に本格的に入ってきました。共和党トランプ政権の後半から中国に対する警戒感を強め始め、それがそのまま民主党のバイデン政権に引き継がれています。つまり中国に対する見方や考え方、戦略方針はアメリカとしてもう定まったということであり、米中で世界の覇権を争う時代に突入したということを意味しています。
日本で政党活動をする場合は、この大きな流れを頭に入れておく必要があります。日本のとるべきポジションは、当然アメリカ側に付いて、日本を中国の攻撃から守るしかないと思います。
冷戦時代は東側につくのか、西側につくのかという選択肢がありました。今は、もう選択肢がない状況です。選択肢があるという前提で政党活動をすれば、それは逆風の中を歩むことになり、場合によっては吹き飛ばされることになります。維新が大きく議席を獲得したのは、その風の流れに沿って歩み始めたと国民が判断したからです。
(「IS istock」)
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