「この世界は、すべて変化しています。我々は動いている世界の中で生きていることを、もっと自覚する必要があります。高度経済成長、経済大国はもう過去の話になりつつあります」
「過去の栄光ということですね。頭の中では理解できるのですが、一つの実感として捉えるのが難しいのです」
「動態的に物事を見る習慣というかクセをつけなければ、常にピント外れになる危険性が出てきます」
「まあ、そうですが、その調整が難しいと思います。上手く調整するためには、何を心掛けていれば良いですか?」
「何事も謙虚に捉える気持ちが大事だと思います。虚心坦懐という日本には良い言葉がありますが、まさにその心境で臨めばいろいろなものが見えてくると思います」
「一番怖いのは、やはり先入観でしょうか?」
「そうでしょうね。それがあると、サングラスをはめて周りの景色を見るようなものです」
「今は性能の良いサングラスもありますよ」
「そういうことではなく、モノの例えとして話をしているのです。思い込みや変な自信があると、まるでサングラスをかけたような状態に陥ります」
「よく見えないということですね」
「すべての情勢、さらにデータは動いています。常に、そういったものを分析するようにします」
「ここからが本論です ↓」
アメリカに急迫する中国、インドはやがてGDP3位の大国に
日本は「弱い国」になりつつあります。GDPが世界で3位ですが、約10年前に中国に抜かれ、片や破竹の勢いなのに、日本は低迷して、その差はどんどん開くばかりです。どうして、こういうことが起きるのでしょうか。必ず、その原因があるはずです。
例えば、中国の2020年のGDPはアメリカの7割を超えたことが分かりました(『日経』2021.3.1日付)。2020年の年初にコロナウィルスが蔓延しましたが、それを早期に抑え込み、春以降は生産を回復したのです。その結果、2020年では、主要国で唯一のプラス成長となりました。
日本は国としてのまとまりが無くなっている
政治、経済、教育、それらのパフォーマンスが上がっていません。国としてのまとまりが無くなりつつあります。
データを見る限り、日本は周回遅れになっています。「現在、中国は世界の影響力あるトップ10%論文の生産性で米国に次ぐ。先端技術では米国をしのぐ分野も出てきており、日米にとって安全保障上の脅威ともなっている」(黒田一雄「東アジと連携強化を」『日経』2021.3.1日付)とのこと。データで見ると、国際共著論文数において、米中共著論文は全体の24.3%なのに対して、日米共著論文は全体の5.7%です。
そして、コロナのワクチン開発においても、日本は他国が開発した薬を承認し、使用するという立場です。ワクチンを開発をする力がないということです。
(「note」)
アジアでは、中国とベトナムが自国産のワクチンを開発
日本のデジタル化は世界で14位とのことですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)大国としての存在感を増しているのがインドです。インドはやがて日本を追い抜いて、GDPの3位に躍り上がって来るだろうと言われている国です。
実際に、米グーグルやインテル、ドイツなどのトップ企業がインドに拠点を置いているように、インドのデジタル技術は米シリコンバレーと表裏一体なのです。つまり、アメリカで名前が知られるスタートアップの中には、インド人が創業者であったり、インドで起業したりというのが多いのです。
【今後DXで主導権を握ると思われる国・地域】
- DXのウエブセミナーに参加した人に対するアンケートに基づいたもの
アメリカ | 77% |
中国 | 74% |
インド | 46% |
シンガポール | 18% |
日本 | 5% |
「DX競争、インド人材で備え」(『日経』2021.2.18日付)
【主要家電5品目、世界出荷台数シェア】
(シェア順位) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
全自動洗濯機 | 中国 | 米国 | 中国 | 韓国 | スウェーデン |
電子レンジ | 中国 | 韓国 | 日本(パナソニック) | 中国 | 韓国 |
冷蔵庫 | 中国 | 米国 | スウェーデン | 中国 | 韓国 |
エアコン | 中国 | 中国 | 中国 | 韓国 | 日本(パナソニック) |
掃除機 | 中国 | 英国 | 中国 | 米国 | スウェーデン |
(日経エレクトロニクス/2021. 2月号)
日本以外の国については、メーカーの名前を出していません。ご了承下さい。
主要家電5品目において、1位は中国のメーカーです。未だに、人民服と自転車というイメージを持っている人がいるかもしれませんが、家電市場は完全に席巻されています。
今日から、中国では全人代が始まっています。李克強首相は2030年までに米国を抜いて世界第一位の経済大国として君臨する計画を提示する予定です。
「やがて、人民元が基軸通貨になる」。これはアメリカの著名な投資家レイ・ダリオが昨年の11月に発言して世界が注目した言葉です。世界市場において最も重要な地位を占める国の通貨が基軸通貨になるというのは、経済の原則です。
確かに、中国はアメリカを上回るスピードで経済成長を続け、中央銀行である中国人民銀行はデジタル通貨の開発と試験運用を開始しています。「一帯一路」経済圏構想に参加する途上国は、拡大する対中貿易や金融取引に人民元を使用し始めています。経済的な力と軍事力は正比例します。そうなると、ますます日本や世界に対して圧力をかけてくることが予想されます。
国会では相も変わらず冷戦時代の感覚で与野党が些末な問題でやり合っています。目を大きく見開いて、大所高所から日本の針路、さらには人づくりについて論議を早急にする時期です。憲法論議をどうしてしないのか、不思議です。
読んでいただき、ありがとうございました。
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