「安倍首相の後任人事の行方が見えてきましたね」
「今回は、自民党のまとまり方が早かったですね」
「突然の退陣表明だったので、とにかく空白をつくらないように、というのがあったのではないでしょうか」
「党の総裁なので、全党員で決めるというのが筋だとは思いますが、その時間的余裕がなかったのでしょう」
「私はそれは表向きの理由だと思っています」
「最近、言うことが前と違ってきていますね。それでは、どのように考えていますか?」
「えへん ! これは石破シフトだと思います」
「なるほど、石破氏は自民党内では、多分煙たがられているでしょうからね。じゃあ、岸田さんはどう説明しますか?」
「岸田氏は当て馬です。一騎打ちでは、自民党の印象が悪くなります。それは避けたい、そしてある程度の票を集められる人ではないと、単なるピエロになってしまいます」
「ピエロになってしまったら、次の総裁選に響く可能性がある、ということですね。ただ、岸田氏は、岸田派を率いていますので、40~50位は支持が集まるでしょう」
「だから、適任なのですね。石破氏はどうですか?」
「県連の票がどのように出るか分かりませんが、ただ、彼の考えだと自民党がまとまれないと思います」
「野党や国民には支持率が高いですよね」
「考え方が立憲民主党に近いです。その上で、野党支持者が彼の支持に回っているのだと思います」
「ここからが本論です ↓」
国際社会の理解は必要だが、中国の理解を得る必要はない
『東京新聞』という名古屋にある中日新聞社が東京で発行している地方新聞があります。先日の8月27日に「周辺国の理解欠かせぬ」という題の「社説」を掲載しています。「周辺国」というあいまいな言い方をしていますが、現在問題になっているのは中国であり、北朝鮮の動向です。
その2国のミサイルが日本に照準を合わせて配備されているので、それに対処するための迎撃システムであるイージス・アショアを導入しようとしたのです。ところが、その配備計画が地元の反対もあり断念せざるを得なくなったため、座して待つ訳にもいかず、敵基地攻撃能力を保有することを検討しようという流れになっているのです。
『東京』が周辺国の理解が必要という理由として挙げているのは、「歴代内閣は政策転換に当たり、中国など周辺国の理解を得てきた」ということですが、その当時と今では状況が全く違います。
中国の戦狼外交――世界に向かってキバを剥き始めた
武漢発のウィルスが世界に広まり始めたのが、今年の2月下旬頃からです。まるでそれが合図であったかのように中国の戦狼(せんろう)外交が始まります。沖縄県の尖閣諸島近辺の領海侵犯や南シナ海やインド国境周辺での現状変更の試み、さらには香港に対して国家安全維持法の制定、台湾に対する恫喝外交などです。
アメリカはしばらくは様子を見ていたのですが、度重なる暴挙に腹を据えかねて7月23日にポンペオ国務長官が中国の習近平を「全体主義の信奉者」ということで、中国共産党とともに名指しで非難しました。これが「ポイント・オブ・ノーリターン(回帰不能点)」だったのです。つまり、アメリカが腹を括った瞬間だったのです。
中国は「ボトムライン」という言葉を使います。5月の全人代の会期中、人民解放軍の会合で「ボトムライン思考を堅持して全面的に兵を鍛え戦争に備え、断固として国家主権、安全、発展の利益を守らなければいけない」と訓示しています。ボトムラインというのは、簡単に言えば我慢の限界ラインということです。そして、その意思表示が、8月26日の南シナ海に向けて弾道ミサイル4発の発射だったのです。
このように、アメリカと中国が一触即発の状態にまでなっています。南シナ海、あるいは東シナ海は何かをきっかけに全面的な戦局に突入しても不思議ではないような状況になっています。そんな時に「必要最小限度の実力である自衛隊を増強したり、役割を変えるのなら、……国際社会から『軍事大国化の懸念』を指摘される可能性はある」(『東京』社説)と的外れな指摘をしています。国際社会が軍事大国としてその行動を注視しているのは、日本ではなく中国です。
そして、挙句の果てに「国際社会の理解を得ることは、日本の国家戦略」と、一般原則を現在の防衛問題に当てはめようとしています。
『東京』は、この間の中国の横暴振りを全く気にする様子がありません。実際に、先日の中国の南シナ海への弾道ミサイル発射について、『産経』『読売』『毎日』『日経』は1面で報じたものの、『東京』の記事の扱いは小さなものでした。その辺りの感覚自体が他の新聞社と違うのでしょう。
次期自民党総裁の菅氏に期待すること
安倍首相は血筋の良いサラブレットとすると、菅氏は市議(横浜市議)から政治家の一歩を踏み出し、官房長官にまで上り詰められたので、いわゆる叩き上げの政治家だと思います。今の情勢で推移すれば、菅氏が次期の自民党総裁、さらには内閣総理大臣になると思われますが、今までの苦労した味を、どうぞ政策の中に込めて頂きたいと思います。
失うものは何もないと思います。今回の総裁候補についても、自身ではなく周りからの推薦で決められたと思います。自身のお考えを政策に反映されるようにして欲しいと思います。自民党には多くの派閥がありますが、5つの派閥が菅氏の支持に動いたことになります。大きな要因は、菅氏の政治家としてのバランスの良さと重心の低さです。安倍首相の突然の辞任、まさにピンチヒッターとしてうってつけと多くの自民党国会議員が判断したのだと思います。
中国に対しては毅然とした態度で臨んで欲しいと思います。それ以外に、憲法改正と北朝鮮、さらには経済活性化と教育問題など、課題は山積していると思います。一つ一つ着実にこなしていって欲しいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
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