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「学校統廃合反対」―— 伝統と文化、小学校を無くせば人口減が進む / 21世紀の教育は、小規模校がリードする

「『八重山日報』のこの記事を見てくれますか」


 

女性

「何ですか? あら、凄いですね 「祝 石垣市立 大浜小学校 創立130周年」、1面全てを使った記事ですね」

「この新聞記事、雰囲気だけでも感じていただくために、上に紙面を写真に撮ったものを載せておきましたので見て下さい」

女性

「130周年記念式典・祝賀会を11月21日に行われたんですね」

「9時からパレード、式典を行って、祝賀会が12時からとありますね」

女性

「大浜地区内パレードとありますので、結構大々的ですね。午前中、目一杯使うのですね」

「力が入っているのが分かりますね」

女性

「何せ、明治、大正、昭和、平成、そして令和ですからね。創立が1890年、明治23年ですね」

「明治憲法制定の翌年、第一回の帝国議会が開かれた年ですね」

女性

「それ以来ずっと卒業生を送り出してきたのですね。ご苦労様です」

「校長先生が紹介していますが、今までの卒業生の合計が6395人だそうです。それだけの卒業生が大浜小学校を巣立って行ったのです」

女性

「だけど、小学校は卒業生以外に、そのご両親や親せきの人たち、地域の人たちが関わっていますから、いろんな思い出が詰まっていると思います」

「不思議と小学校の頃のことはよく覚えていますからね」

女性

「小学校の6年間が随分長かったという印象をもっています」

「変化も常にあって、楽しかったからじゃあないの」

女性

「1日1日がやたらに長い感じでしたね。ウチの母は、夕方になると口癖のように『もう夕方になっちゃった、1日が早いなあ』と言っていたのですが、私は子供心にようやく夕方になったのねと思ったものでした」

「時間はその人によって感じ方が違いますからね。ところで、児童会長の大島君の文章がイイので後で紹介します」

女性

「ここからが本論です ↓」




 大浜小学校は小規模校だった

かつて2005年4月に、石垣市教育委員会が「学校適正化計画」という名の学校統廃合計画を出してきたことがあります。実は、その時大浜小学校は全校11クラスの小規模校だったのです(現在は15クラス)。11クラスまでは、現在の規準によると学校統廃合の対象となり得る学校なのです

石垣市の教育委員会は学校統廃合について、それぞれの地区で意見交換会を開きました。ただ、重要な問題という認識のもと、通り一遍の意見交換会で終わらせないで、地域を2巡して行ったのです。

ちょうどその頃に「石垣市の学校適正化計画(統廃合)を考える」という表題の桃原直氏(沖縄県本部/石垣市職員労働組合)の自主レポートが出ていますが、それを読むと地元の人たちの小学校に対する特別な思いというものを感じることができます。

レポートの「おわりに」の部分です――「『学校はこどもの教育のためだけにあるのではない』と言い切ってしまう住民との話し合いは容易ではないようです。意見交換会を受けて、地域公民館や学校PTAなどから計画の撤回、見直しを求める署名がとどけられています」。教育委員会も住民との折り合いがなかなかできずに苦労していた様子も読み取ることができます。

沖縄県の石垣市は、このように小学校を地域の中心的な施設という位置付けの中で捉えてきた自治体です。中学校については、部活動をするにしても、ある一定程度の人数が必要、通学の距離が多少伸びても体力的に大人と変わらないので、心配ごとではなくなったなどの理由で、賛成に回ることもあったようですが、小学校に対する思い入れというのは格別なものがあるようです

 地域の文化と伝統、そして教育を残す努力を

無くすことは簡単です。ただ、一度無くしたものをもう一度立ち上げるには、相当なエネルギーが必要です

人は文化の薫りがする所に継続して住むことを考えます。単に、娯楽施設や商業施設があるから住み続けようとは余り考えません。地域の文化と伝統、そして教育があるところに愛着をもち住もうとします。多分、そこには人と人との強い繋がりもあるからです。

文化と伝統の中心組織は地元の小学校であることが殆どです。どういうことか。地域の文化は人が創るのですが、人は動物や虫とは違って勝手に集まるものではありません。誰かが号令をかけるか、核となっている集団があるか、どちらかがあれば人は集まり始めます。

小学校には子供集団が出来ていますので、その周りに親が寄り添えば、それだけで結構大きな集団となります。それが地域の核ともなりますので、そこに地域の住民が関わることができます

人が集まり、何か創造的な活動の中から文化が生まれることがあります。文化というと大そうなものを想像するかもしれませんが、何でも良いのです。祭りが一般的ですが、スポーツ大会、草取り、稲刈り、清掃活動など多くの人が参加できるようなものを考えます。そして、それを継続するために組織が作られます。数年続けば地域の伝統として定着していき、それが地域の活性化、さらには人口減を止める力になっていきます。実際に、石垣市は人口増の自治体になっています。そして沖縄県は全体的に人口増加県です。地域の文化や伝統、方言を大切にしていこうという姿勢が住民に心地よさを与えているのではないかと思っています。

そういったメカニズムを理解することなく、単に児童が減ってきたので小学校をまとめてしまいましょうという短絡的な発想ではダメなのです

 

「喜びの言葉」 石垣市立大浜小学校 児童会長  大島 千佳

クヨンナーラ キュウマ アッタラサール 大浜小学校ヌ 130ヌ

マリビーンガアタリデーズナ サニシャーンシ コルクビドゥルユー

……<略>……

時代とともに変化してきた小学校。変わらない大切なものもあります。地域に愛され地域と共に伝統を引き継いできた小学校。獅子棒や豊年祭りの踊り、「みんなで遊ぼう」今取り組んでいる「7色の虹色活動」どれも大切に引き継いでいきたい伝統です。……

                  (『八重山日報』2020.11.21日付より)

前半は方言で書かれています。何を書いてあるのか分かりませんが、地元の人は分かるのでしょう。方言も立派な文化です。文章の内容も小学生とは思えないくらい立派です。この子の成長に多くの人が応援の手を差し伸べているということでしょう。

 学校統廃合は人口減のスパイラルを生む

財政効率だけを考えて、学校統廃合を進めようとしている自治体がまだあります。広島県の福山市です。北海道や東北は、学校統廃合を進めて人口を減らしています。負の教訓に学んで欲しいと思います。

令和の時代に入り、教育は「一律一斉」ではなく、その子の個性にあった個別学習、個別指導がより強く求められるようになっています。いじめや不登校の問題、コロナ感染もありますし、在日外国人の子供たちの教育もこれから問題になってくるでしょう。今までのような発想で教育を考えるのではなく、よりきめ細かな対応が必要な時代になってきました

OECD(経済協力開発機構)が9月に公表したデータによると、日本の教育条件は下位に属していることが分かりますヨーロッパでは教育はコストがかかるものという合意が社会的に形成されているのですが、日本は何故か二の次のようなスタンスです。

ただ、今までは製造業が中心の工業社会だったので、「一律一斉」の教育である程度の成果を出すことができたと思います。日本は各家庭の教育意識が高く、それが公教育をカバーしていた面もありました。

 <1クラスあたりの児童生徒数>

小学校 27人 (OECD平均 21人)

中学校 32人 (OECD平均 23人)

小中とも、38か国中、37位

 <教員のICTスキル>

日本 27%  (OECD平均 65%)

これからの経済は「見える市場」ではなく、「見えない市場」での戦いとなりますデータ、サービスといったものにいかに価値を付けるかが重要になってきます。一人ひとりの能力を見極めて伸ばすことが教育の重要なカギを握ることになります。そのためには、一人ひとりに行き届いた教育を提供する態勢が必要です。

小規模校という絶妙な環境をわざわざ取り壊すのは愚の骨頂です。関係者は金銭勘定といった財政面だけではなく、総合的、俯瞰的な観点、つまり地域創生、日本の今後の教育と日本の将来といった面から考えることが望まれます

読んでいただき、ありがとうございました。

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