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日本型雇用からジョブ型雇用へ / 価値を創出できる人材が求められる時代 ―—大学の在り方も変わる可能性

「ジョブ型雇用って、何だか分かりますか?」

女性

「最近はカタカナ言葉が多く増産されるようになって、頭が追いついていかないのです。それは何ですか?」

「ジョブは仕事、職務の意味なので、そこから想像してみて下さい」

女性

「仕事ができる人を優先採用するというシステムか何かですか?」

「簡単に言えば、能力給の導入です。学歴、職歴よりも、業務能力や業績、資格、技能などが重視されます。ない、もしくは不足と認められた場合は解雇の危険にさらされます」

女性

「何か、プロ野球の契約みたいですね」

「これからは、実力主義が当たり前の時代になってくると思います」

女性

「日本も欧米型の雇用になるということですね」

「なるというか、ならざるを得ないと思います。そのため、徐々に切り替わるのではなく、5年位の短期のスパンで急速に変わることになります」

女性

「ただ、賃金体系に絡むので急速にと言っても、無理だとは思いますが……」

「そうですね、労働組合との問題もありますので一気にという訳にはいきません。ただ、日本は企業内組合が多いので、最後は会社の意向を組合が呑むしかないと思います」

女性

「私も雇われている立場なので、何か少し不安になってきました」

「そうですね、そういう意味では、男女平等ですね」

女性

「そういう時だけ平等を説かないで欲しいのですけど……」

「ごめん、ゴメン。とにかくこれからは、ベア(ベースアップ)とか、組合運動という言葉が死語になっていく可能性があります」

女性

「ここからが本論です ↓」




 ジョブ型雇用が急速に普及する可能性

日本型雇用というのは、年功序列型賃金体系と終身雇用制ですが、そのシステムを変更せざるを得ない企業が今後急速に増えると思われます

そのようにシステム変更を促しているのは、急速に進むデジタル化に対応するIT人材の不足が大きな要因なのです。その人材が世界を舞台に争奪戦となっていますアメリカでは、IT技術者に対する報酬がうなぎ上りという状態になっていて、サンフランシスコでは年収1400万は低所得と言われるほど、報酬が高額になっています。

日本では、就活を経ての4月一斉入社というのが定番です。能力や技能があってもなくても、とにかくスタートラインを同じにして、そこから横一線で頑張ってもらおうという考えのもとに作られたシステムです。当然、賃金のスタートも横一線となります。

ただ、それでは人材が海外に流出してしまうということです。実際に、アメリカのIT企業が日本のエンジニアの採用を増やしており、ただでさえ不足しているIT人材を確保するために、雇用システムを変えざるを得なくなったということなのです。

グローバル時代というのは、国境を越えてモノやサービスがカネを介して動きますが、人も当然動きます。そして、人は出された条件によって動きます。若いうちに外国を経験しながら多くの報酬を得て、ある程度の経験を積んで日本に帰るというシナリオを描く人がこれから増えると思われます。

 大手企業を中心にジョブ型雇用を導入

主な企業のジョブ型システム導入状況

日立製作所  管理職に導入済み    一般社員に導入予定

富士通    管理職に導入済み    一般社員に導入予定

資生堂    管理職に導入済み    2021年から一部社員に導入予定

三菱ケミカル 管理職に導入予定

NEC          21年から新卒者から導入予定

KDDI        21年から新卒者の4割に導入

(「専用人材『ジョブ型雇用』拡大」『東京』2020.9.28日付などを参照)

もちろん、これだけではありません。あくまでも主なものということで見て欲しいと思います。

ただ、もともと日本型雇用の見直しをどこかで行わなければいけないという声は、20世紀の終わり頃から出ていたのです。そして、2019年の5月に経団連の中西会長は、日本型雇用の見直しは待ったなし、と発言をしています。それがコロナ禍をきっかけに、一気に噴出したということなのです

 価値を創出できる人材が求められる

従来の日本型雇用は、メンバーシップ雇用と言って、仕事の内容と関係させずに一括採用して、その後適性や本人の希望を聞いてから配置を考えるというものでした。チームとして採用して、チームの結束力を生かして、会社を活性化させるというものだったと思います。

これはこれで成果が上がったと思いますが、経済の主な市場が「見えざる市場」にシフトされていけばいくほど、「個」の能力が試され、「個」を軸にした組織づくりに移行せざるを得なくなります。だから、必然的に男女の性差など問題にする余地もなくなってくると思われます。

従来の雇用システムでは、一度就職してしまえば余程のことがない限り解雇されることはないので、自己教育を考える必要もありませんでした。ただ、これからは自分のスキルによって雇用条件が違いますので、働き続けたいとか、昇給、昇進を希望する場合は意識的にスキルを身に付ける、そして高めるための努力が必要となります

 再教育によってスキルアップすることを考える時代

次に、そのスキルアップをどこで行うのかという問題です21世紀の大学は、そういった社会人の要求を満たすために組織改編をする必要に迫られるかもしれません

現在、私立大学の4割が定員割れとなっています。これから本格的な少子化を迎え、財務状況が好転するメドは自己努力によって立てるしかありません。であれば、そういった社会人を対象にした再教育システムを内容としたカリキュラムを大学が用意するというのも一つの方策として考えられるでしょう。今後は、スキルや知識が陳腐化するサイクルが早まることが予想されます。そのため、2回、3回と大学あるいは大学院で学び直すということも出てくるのではないかと思っています。

データを見ると、日本は職業訓練費用の割合が欧米に比べて低いし、企業の社員に対する能力開発費も低水準です社会全体が頭の切り替えをする時期にきているかもしれません

そして、青少年と企業を繋ぐ役割を果たすのが大学なので、どのような人材を社会が求めているかを的確に捉えて、入試やカリキュラムの内容について本格的に検討をして欲しいと思います。入試はマークシートの共通テストにお任せでは、最高学府としては余りに情けないと思っています

読んでいただき、ありがとうございました。

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