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「備蓄米」と表示をして販売されたし ——「備蓄制度」の課題  / 持続可能な農業の未来を考える 

「お米の値段は、その後どうですか?」

女性

「4000円を少し切った程度ですね。備蓄米の放出があったので、下がるのではないかという話です。どう思われますか?」

「多少は下がるでしょうが、大きく下げないと思います。というのは、近年の猛暑の影響で収穫はしたものの、精米の時点で砕けてしまい、出荷できなかったお米が多かったそうです」

女性

「コメの収穫量は前年比よりも増えたので、農水省はそのまま流通に回ると思ったのでしょうね」

「収穫量を推し量るために、全国各地8千か所に調査員を派遣するのです。そのデータを解析するのですが、そこだけで終わっているから、見込み違いが起きたのだと思います」

女性

「そうなんですね。農水省はしきりにどこかで買い占めが起きているのではないかと思っていたようです。ところで、備蓄米のことを今回初めて知りましたが、今までどのように処理されていたのですか?」

「食料安保の考え方から米の備蓄が行われているのですが、今回のように市場に流通させるのは初めてだと思います。今までは保管して古くなった備蓄米は学校給食や福祉施設、海外援助に回されていたのです」

女性

「備蓄するのは米だけですか?」

「それだけでは万が一の時に困るでしょ。米以外に、小麦、大麦、トウモロコシ、食用油、砂糖、大豆、石油や医薬品まで幅広く備蓄されています」

女性

「ここからが本論です ↓ 表紙写真は「TABACO ROAD」提供です」

 備蓄米の放出手続きが煩雑——――非常時に対応出来ない

日本には、政府が一定量の米を買い入れて備蓄し、災害や不作などの非常時に市場へ放出する「政府備蓄米制度」があります。この制度の起源は戦前にさかのぼります。かつては1942年に制定された食糧管理法のもとで、政府が農家から米を買い上げ、管理していました。しかし、1994年に食糧管理法が廃止され、新たに食糧法が制定された際に、政府備蓄米の規定が盛り込まれました。

平常時において、米の価格調整は卸売業者、農協、小売業者が担っています。一方で、政府備蓄米は、災害などの緊急時に市場へ供給される役割を持っていますが、その放出手続きが極めて煩雑であるという問題があります。例えば、放出の際には入札方式で販売されるため、実際に市場に出回るまでに時間がかかります。さらに、精米や配送などの物流の調整も必要ですし、放出計画も併せて出す必要があり、即座に対応できる仕組みにはなっていません。これは、迅速な対応が求められる非常時には大きな問題となります

こうした制度の不備により、災害発生時や米の供給が不足した際に、市場への円滑な供給が妨げられることが懸念されます。本来、政府備蓄米は食料の安定供給を確保するためのものであり、非常時に迅速に供給できなければ、その存在意義が問われることになります。今後の課題として、政府備蓄米の放出手続きを簡素化し、よりスムーズに市場へ供給できる仕組みを構築する必要があるでしょう。

(「日本農業新聞」)

 「備蓄米」と表示をして販売されたし

現在、政府備蓄米の市場への放出方法には、消費者にとって疑問を抱かざるを得ない点がいくつかあります。その一つが、備蓄米が他の米とブレンドされて販売されることです。仮に、政府が備蓄米を10kgあたり2,500円で放出したとしても、市場では「市場価格に合わせる」として4,000円で販売されることがあります。これでは、消費者は結局高値で米を購入することになり、政府の供給政策が十分に機能しているとは言い難い状況です。

さらに、ブレンド米として販売されることにより、消費者は購入した米がどのような性質のものなのか分からなくなります。一般的に、政府備蓄米は一定期間保存された後に市場へ放出されるため、新米と比較すると品質が異なる可能性が多分にあります。そのため、消費者にとっては「自分が購入した米がどのようなものなのか」を知る権利があるはずです。

このような状況を改善するためには、備蓄米を市場に流通させる際に、明確な表示を義務付けることが必要です。例えば、「政府備蓄米」と明示した上で販売し、消費者が選択できるようにするべきです。「古米だから嫌だ」という人は、多少高くてもブランド米を選べばよいだけの話です。透明性を確保し、消費者が適正な判断を下せるような仕組みを整えることが、今後の行政運営に求められる課題ではないでしょうか。

(「毎日新聞」)

 持続可能な農業の育成を

近年、日本の農業はさまざまな課題に直面しています。特に米の消費量は戦後一貫して減少しており、1962年度には1人当たり118kgだった年間消費量が、2023年度には51kgまで落ち込んでいます。このような状況の中で、米の価格は長期的に下落傾向にありました。しかし、今回の米価上昇は、長年の低価格がようやく是正された結果であり、生産者にとっては「やっと適正な価格に戻った」という感覚なのです。現状の価格を維持することで、ようやく農業が成り立つレベルになったと言えます

さらに、日本の稲作農家の現状を見ると、深刻な高齢化が進んでいます。個人の稲作農家の約6割が70歳以上であり、約7割が後継者不在の状況にあります。これにより、今後も休耕田の増加が予想され、国内の米生産量が減少する可能性があります。これまでの農政は「米余り」に対応するものでしたが、今後は「持続可能な農業の確立」に重点を置く必要があります

そのためには、若い世代が農業に参入しやすい環境を整えることが重要です。例えば、新規就農者への補助制度の充実や、農業の機械化・効率化を進めることで、少ない労力で収益を上げられる仕組みを作ることが求められます。また、日本の米の安定供給を維持するために、計画的な農業政策を策定し、長期的な視点で担い手を育成していくことが必要です。

米は日本人の食文化の根幹を支える重要な食糧です。一時的な米価の変動に振り回されるのではなく、これを機に持続可能な農業の未来を考え、安定した食糧供給体制を整えていくことが、日本全体の課題となるでしょう。

(「Rakuten Today」)

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