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日本は教育に対して熱心さがない国 / 少子化は子供たちを大切にしないために起きている現象

  • 2020年7月5日
  • 2020年7月6日
  • 教育論
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「主観や感覚ではなく、データを分析する必要があります。子供たちや教育に関するデータを見て欲しいと思っています」

女性

「教育のデータは時々出てきて話題になりますけどね。例えば、PISAの点数が昨年の終わり頃に話題になりましたよね」

「日本人は、そういった国際テストの点数には敏感なんですが、教育環境や子供や若者たちのデータに余り関心を示さないのです」

女性

「考え方が皮相的なのではないでしょうか」

「というか、教育環境については特に問題なし、大丈夫と根拠のない楽観論に陥っていると思っています」

女性

「データを見て、考えなければいけないことはどんなことがありますか?」

「いっぱいありますよ。PISAの点数だけ話題にすれば良いというものではありません」

女性

「マスコミは、そういうのに飛びつきますよね」

「そうですね、数字で出ますので、分かりやすいですからね」

女性

「ただ、本当はその陰に隠れて、見逃されているデータがあるんでしょ」

「まさに、その通りなのです。後で、話題にしますが、教育費の公的負担率とか、青年の自殺率、不登校や引きこもりの問題など、山積しています」

女性

「日本の場合は、保育行政は熱心にしているという印象があるのですが……」

「人口減の問題があるからだと思います」

女性

「ただ、保育も教育も連動して考える必要がありますよね」

「もちろんそうですが、実際にはそうはなっていません」

女性

「どうしてですか?」

「教育は文科省、福祉は厚労省といった縦割り行政の弊害のようなものが出ていると思います」

女性

「ここからが本論です ↓」




 小学校から大学まで、教育の公的支出が少ない国

2019年の秋に、経済協力開発機構(OECD)が2016年に加盟各国が小学校から大学に相当する教育機関に対して行った公的支出の国内総生産(GDP)に占める割合を発表しました。日本は2.9%で、比較可能な35カ国のうち、3年連続で最も低かったのです。

ちなみにOECDというのは、別名「先進国クラブ」と言われ、比較的経済力がある国々のゆるやかな同盟体です。

OECD平均は4.0%。最高はノルウェーの6.3%で、フィンランドの5.4%、アイスランドとベルギーの5.3%と、北欧の国が続きました。ここには、国づくりは人づくりという明確な国のアイデンティティがあるのです。

日本の政府、政治家は、こういった感覚が極めて薄いし、これが問題なのです。多分、志も大してなく、問題意識もなく、親の後を継いで、何となく政治家になってしまった人が多いのが原因ではないかと思っています。職業政治家が多くなると、どうしてもそういった問題が起こります。

公的支出のうち高等教育の割合ですが、日本は31%なので、OECD平均66%の半分以下です。ということは、教育支出の多くを各ご家庭が負担しているということが分かります。それでは負担できない家庭はどうなるのか。当然、教育格差という問題が起きているということです。そして、日本に家族で来ている外国人労働者の子弟については、日本人以上に手を掛ける必要があるのですが、そこまで考えが及んでいないということです。

 若者の自殺者が多い国

厚生労働省の統計(「自殺対策白書」令和元年版)によりますと、2018年の19歳以下の自殺死亡率(人口10万人あたりにおける自殺者数)が、統計を取り始めた1978年以降最悪となっています。

日本における10~39歳の死因の1位は自殺です。国際的にも、15~34歳の死因1位が自殺となっているのはG7の中でも日本だけです。10代の自殺の原因ですが、最多は「学校問題」で4割を超えています。続いて「健康問題」、「家庭問題」がそれぞれ3割弱です。

全体では小中学生は「家族のしつけ・叱責」、「親子関係の不和」などの家庭問題が多く、中学生以降になると「学業不振」、「学友との不和」、「いじめ」など、学校問題が多くなる傾向にあります。

そして、自殺については、男女差が顕著に表れます。全体的に男性が女性の2.3倍と多いのが特徴です。若者でもこの傾向は同様で、やはり女子生徒よりも男子生徒の死亡率が高めなのです。ところが、SNS相談は女性からのものが92.1%を占めているのです。男性からの相談はわずか7.9%に過ぎません。悩みがあっても周りに打ち明けず、自分で判断をして、一人で実行してしまうという傾向があることが分かります。「男は黙って……」というDNAを受け継いでいるのかもしれません。




 不登校、引きこもりが多い国

日本では不登校に対しては非常に寛容的と言いますか、「社会的放任主義」です。日本では親権が強く、親の判断が教育機関の判断よりも優先されるからです。親の責任で学校を休ませたと言われれば、現場は何も言えないということがあります。

文科省が発表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題」(2017年度)によりますと、小・中学校における不登校児童生徒数は14万4031人(前年度比1万348人増)と、統計開始以降、初めて14万人に達し、過去最多を更新しました。

少子化が進んでいるにも関わらず不登校が増えているということは、その割合が増えているということです。その原因について様々な見解が出されていますが、いろいろな原因が複雑に絡み合っています。

根底には、地域の崩壊による人間関係の希薄化があると思います。子供は地域の中で、集団的に育つ中で、社会に対する耐性を身に付け、心身ともに鍛えられます。その経験が少なくなっているため、精神的にもひ弱な状態で学校生活を続けることになります。1クラス当たりの人数の多さという問題もありますし、教員の養成の問題や質の低下の問題もあるでしょう。親の学校教育への協力度というのもあります

他国では、日本のように余り社会問題化しているという話を聞きません。例えば、アメリカは不登校となった場合は、親の義務違反、つまり親の「ネグレクト」(育児放棄)と捉えて、警察が介入し、場合によっては裁判沙汰になります。そんなこともあり、不登校が長引いてひきこもりといったことが殆どないと言います。

そして、引きこもりですが、15歳から39歳の引きこもりがおよそ54万人、40歳から64歳は推計で61万人といわれています。行政は「引きこもり支援センター」、「心の健康センター」といったものを地域に設置して対応していますが、対症療法的な対応となっています。

不登校からひきこもりになるケースが多いと思われますが、不登校については学校教育なので文科省、引きこもりは社会問題なので厚労省が管轄となります。そういった縦割り行政の弊害といったものもあるでしょう

 

 子供たちが丁寧に扱われていない国

 ア、40人学級(小1は35人)の早期解消

1つの学級に多くの子供を詰め込んで、一人の教員が一斉に授業を行う。教員養成のあり方を含めて、根本的な見直しの時期に来ています文科省は現在においても学校統廃合政策を維持しています。財政効率最優先の発想に基づく統合政策です。そうとは言えないので、豊かな人間関係を育成するためには、ある程度の人数、学級数が必要という屁理屈をつけていますが、科学的根拠はありません。

実際に、江戸時代の藩校、私塾、寺子屋は少人数教育が基本でした。松下村塾から巣立った若者が明治維新の原動力となるような活躍をしますが、教室は畳の間1つしかないような私塾です。文科省の教育に対するそのような乱暴な考え方が、不登校を増やし、引きこもりを増やし、ひいてはそれが国力の衰退に連動しています。丁寧に育てていれば60万人の人が社会で働くことができたのです。

 イ、不登校や引きこもりの子たちに対する教育の手当を

オンライン授業の制度化を含めて、その態勢を考える必要があります。不登校や引きこもりについては、殆ど「放任」しています。「保健室登校」「校長室登校」というのも、現場では問題となっています。人とお金の手当も含めて、根本的な対策を考える必要があります。

 ウ、能力がある者を育成するシステムを

高い能力を持ちながら、埋もれてしまっている者がいると思われます。AI時代に相応しい人材の発掘と育成のシステムを考える必要な時期でしょう。

一人ひとりの子供の個性と能力に応じた、柔軟な教育システムを構築する必要があるでしょう

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