「ウクライナ情勢が日ごとに緊迫感が増しています。昨日は原発を狙われたというニュースと映像が飛び込んできました。危ないですよね」
「本当ですよね。何を考えているのかと思います。万が一のことがあれば、ロシアにも影響がいきますからね」
「原子力発電所を狙う意図は何ですか?」
「ウクライナの「外堀」を埋めるために狙っているのだと思います。つまり、電力供給である発電所を押さえて戦いを有利に運びたいのでしょう。破壊するつもりはないと思っています」
「そこまで、お馬鹿ではないということですね」
「放射能汚染で大変なことになります。風は東に向かって吹きますので、ロシアも被害を被ることになりますが、そういったことがよく分かっていないのかもしれません」
「ロシア軍の兵隊のことをテレビで紹介していましたが、中には演習だと思って来ている人もいるみたいですね」
「きちんと意志統一がなされていないと思います。そういう軍隊は、個々まちまちの反応をするので怖いのです」
「どのように怖いのですか?」
「部隊というか個々の兵隊がそれぞれの反応で動くために、例えば民間人を前にしていきなり銃を撃つ兵士も出ますし、原発に向かって大砲を撃つ部隊も出てくる可能性があるのです」
「戦場には狂気が走ると言いますものね」
「一種の興奮状態がそこで作られていますので、予想できなかったことが起きてしまうことがあります。兵士の側が意志統一不足ということは、例えて言えば表面はデコボコ状態ということです。であればイレギュラーバウンドの反応が起きますし、戦闘期間が伸びるほど加速度的に起きる可能性があります」
「軍事侵攻したのが2/24日なので、今日で10日経っています。攻める側のロシア兵からしてみても、そろそろ里心がつく頃ですよね」
「兵士として訓練されているので、そういうことはないと思いますが、意志統一不足であれば帰郷本能が高くなり、戦争を終わらせるために過激な行動になりがちとなるでしょう」
「ここからが本論です ↓」
ロシアとウクライナの歴史的関係
ウクライナに対してロシアのプーチンは兄弟国という表現をしていました。これはどういうことなのか。現代の国際社会では兄弟国という概念はありませんので、あくまでも歴史を辿った結果、彼が辿り着いた結論ということです。
歴史を紐解いてみました。ウクライナという国名の語源は「辺境」という意味だということが分かりました。つまり、ロシアの辺境の地である小ロシアにあるウクライナという位置付けです。そのウクライナが世界史の舞台で注目されたのがクリミア戦争(1853~56年)です。ナイチンゲールのエピソードで有名です。この戦争はイギリス・フランスとロシアが戦ったのですが、その結果ウクライナで民族独立運動が起こり、それをソ連共産党となるボリシェビキが支援をします。その後、ロシア革命でボリシェビキが政権を掌握し、ソビエトが成立をするとウクライナを連邦共和国の一員として迎え入れます。
1991年にソビエト連邦が崩壊し、多くの共和国が独立をすることになります。その中にウクライナ共和国もありました。ただ、ロシアは独立の条件としてNATO(北大西洋条約機構)という軍事機構に入らないことを条件としたのです。プーチン大統領がNATOに入るのは約束違反だというのは、このことを指しています。その後、ウクライナは、2014年のクーデターで、大統領ヤヌコヴィッチをロシアに追放し、親米政権が作られます。ここからウクライナ問題が起こることになります。2014年にクリミア半島併合問題が起き、半島が半ば強権的にロシアに編入されることになります。もちろんこれについてはウクライナは承認していません。
(「NHK.JP」)
ロシアにとってウクライナは重要な地
ロシアからすれば、連邦からの独立の条件としてNATOに加盟しないということだったのに、それをウクライナが守ろうとしないというものです。ただ、ウクライナからすれば、勝手にクリミア半島を軍事的に併合されるということが現実に起きた以上、これ以上の領土の侵略を防ぐためにNATOに加盟して領土を守るしかないという判断に至ったことは理解できると思います。
さらにロシアにとってウクライナは地政学上、極めて重要な地域にあります。ウクライナを流れるドネツ川がロシアに繋がっています。ドネツ川は黒海とも繋がっていますので、ロシアにとって極めて重要な川なのです。ロシアの北の港は冬の間は使えませんので、黒海からアゾフ海、そしてドネツ川を通って物流がロシアに流れてきます。そんなこともあり、ウクライナは極めて重要な地域なのです。
重要であり、兄弟と思っていた国が言うことを聞かない。可愛さ余って憎さ百倍という感じのロシアのウクライナに対する攻撃になっています。
(「www.jlifeus.com」)
力によって支配される世界であることを思い知る
そんな歴史的、地政学上の背景の中で、ロシアのウクライナに対する侵略戦争が今回始まりました。ロシアは国連の安全保障理事会の常任理事国です。本来は、世界の平和を常時監視し、紛争や戦争が起きないようにすることが役目のはずですが、今回率先して他国への侵略行為を行ったのです。このことの意味することは、何でしょうか。
世界の誰もが、まさかと思ったに違いありません。事前に中国を訪れて、それとはなしに承諾を取ったと思われますが、その中国ですら国連総会のロシアに対する評決においては賛成とは言えず、棄権に回ったくらいです。
問題なのは、このような事態を受けて日本がどのような防衛政策を取るかということです。一度あることは二度あるという言葉があるように、対岸の火事ではなく同じようなことが日本近辺で起きないようにするためには、どうすれば良いのかを考える必要が出てきたのです。
というのは、今般のロシアの侵攻で改めて世界は力によって支配されていることを知らされたからです。国連総会でロシアに対する非難決議を140か国以上の賛成多数で可決しましたが、ロシア軍の退却に何の力にもなっていません。これが世界の現実です。つまり、国連があっても実際には世界は力が支配する無政府状態にあるということです。
ということは、この日本に対して力でねじ伏せにくる国があってもおかしくないということです。日本は大陸の国にとって大変魅力的な場所に位置し、地政学上も極東の重要な場所にあります。
ウクライナで起きたようなことが日本で起きないためにどのような態勢が必要でしょうか。今までは、「9条」とか「非核三原則」という理想を言っていたのですが、それらは世界の全ての国が承認することによって有効的に作用する原則です。そのため、平和を守る手段としては、きわめて非現実的な方針です。
地に足がついた具体的な方策を考える時代になったのです。次回は、その辺りを中心に書きたいと思います。
(「TBSニュース」)
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