「今日は「立ち位置」ということを話題にしたいと思います」
「えっ、それはどういう意味ですか?」
「人間は何かを判断する時、必ず自分のポジション(「立ち位置」)からしますよね。あなたも、立ち位置があるはずです」
「私の置かれた立場ということですか。共働きで2人の子供を持った美人の母親です」
「美人かどうかは関係ありませんが、あなたの場合は、職場での立場、家庭での立場から社会と関わりながら様々なことを考えていると思います」
「そこまで突き詰めて考えたことはないのですが、言われてみるとそうですね。ただ、誰も似たり寄ったりだと思いますけど……」
「理解する意味の英語はunderstandですよね。この英語は、物事の本質を捉えているなと常々思っているのです。単語を2つに分解してみて下さい」
「underとstandですか? 2つを繋げると、下に立つですかね」
「物事をよく理解するためには、下から、つまり現場に入ってそこから様々なことを考えなければ、理解できないというメッセージが込められていると思っています」
「成る程、それが「立ち位置」ということですね」
「ようやく分かっていただけましたか。何故、それを話題にしようと思ったのかというと、人は現場から離れ始めると、どうしても判断が狂う動物だということを言いたいのです」
「ウチの社長は逆によく職場に顔を出しますよ。もっとも、ウチは中小なのである意味当たり前かもしれませんけどね。大企業だと、社員なのに話をしたことがないというのが当たり前と言いますものね」
「大きな組織になれば成る程、そういう状況は出て来ますが、そこでトップが現場との繋がりのためにどういう努力をしているかが実は大事なのです」
「ただ、それは会社だけに限りませんよね。国会議員とか国のリーダーもそうだと思います」
「なぜ、こういう話題を出したのかというと、プーチン大統領がどうして暴走してしまったのか、その根本原因は何なのかを考えていたのです。結論的には、彼が現場から完全に遊離したことが最大の原因だということに思い至ったのです」
「そこに持ってきたかったのですね。最後は少し強引でしたが、分かりました。ここからが本論です ↓」
現場からの遊離は、危険のシグナル
「人間は社会的な動物である」とアリストテレスは言いました。非常に含蓄のある言葉で、そこには人間は他者との交流がないと、人間ではなくなるというメッセージが込められていると思います。
人間ではなくなるというのは、どういうことか。人間と他の動物との大きな違いは、感情の起伏が大きいところです。動物にも感情がありますが、人間のように表現することはできません。喜怒哀楽と言いますが、自然や人々の動きや機微に接することで人間らしい感情を維持することができます。それが実は理性的に行動する上で極めて重要なのです。逆に言うと、社会から隔絶された時から、人間はその人間らしさを無くすということです。もし、その人が国家の指導者であったらどうなるかということです。
現在のロシアの軍事侵攻は、それを世界的規模で実験をしているようなものです。
(「NHK.JP」)
プーチンとゼレンスキー両大統領は何もかも対照的
プーチン大統領が暴走する要因については、いくつか指摘があります。一つは、コロナ禍ということで日常普段的に周りにいる幹部が少なくなってしまったということ。二つめは、ウクライナに対する勝手な歴史観というものです。
一番致命的なものは、プーチン大統領を完全な独裁者にしてしまい、彼に勝手なサクセスストーリーを描かせてしまったことでしょう。彼が大統領となって20数年経ちます。当初は、ロシアという国の発展と繁栄、そして安定を考えていたと思います。ところが、やはり権力基盤が安定し、その政権が長期化すればするほど「2人の会話」にあるように、現場からの遊離が始まり、知らないうちに地に足が着かなくなり、正常な判断が出来なくなっていったのだと思います。
今回のロシアとウクライナですが、2人の大統領はある意味で対照的です。ロシアのプーチン大統領は長期政権であり、今や絶対的な権力者になりました。一方のゼレンスキー大統領は2019年5月の大統領選挙で第6代大統領になったばかりです。もともとはテレビの役者であり、コメディアンですが、ロシアの侵攻に対して一歩も引かず、首都キエフから国民を励まし、時には負傷した国民のお見舞いに花束を持って行くなど、常に現場感覚をもった大統領だと思います。
武力の上では、圧倒的にロシアです。ウクライナは防戦一方で、被害は日増しに拡大するばかりです。日本でも、被害を喰い止めるためにも早く降伏したらという意見を言う人がいる位です。ただ、どう決着するか、それは神のみぞ知ることだと思います。
(「NHK.JP」)
ロシアの狙いが分かりかねる今回の侵略行為
ロシアの今回の攻撃を見ると、一体何を狙ったものなのかがよく分かりません。プーチンが仕掛けた戦争だと言われています。であれば、その目的が明確に分かるはずですが、そうではないので、この侵略は一体何なのかと思っています。非同盟、非武装を要求しているではないかと言われそうですが、であれば友好条約を結び、場合によっては安保条約を結べばよい話です。侵略戦争を仕掛けておいて、非同盟、非武装は無茶な要求です。
侵攻の手順など、具体的に指摘します。侵略の目的は、歴史的に見て、およそ2つです。領土の獲得か相手の政権の転覆です。2014年のクリミア併合は、まさに前者だったのです。今回は、どちらなのか、今現在も判断できません。
領土の獲得を考えるならば、東方から侵攻をして、クリミア併合を確たるものとするような作戦がとられるべきでしょう。後者の政権の転覆であれば、首都キエフに全部隊を投入するということだと思います。ところが、部隊を3つに分けて、3方向から攻めようとしています。もしかしたら、ウクライナの全土制圧を一挙に行ってしまおうという考えなのかなと思っています。
ただ、全土制圧と全土の破壊は全く別です。NATOからの脅威を避けたいというロシア側の狙いを達成するのならば、政権を抑えることによる全土制圧でしよう。ただ、制圧するためには、ウクライナ側の協力が絶対に欠かせません。その協力が得られれば得られるほど制圧は容易になるからです。
ところが、今のロシアがやっているのはウクライナ全土の破壊行為であり、すべてのウクライナ人を敵にまわしています。この延長線上で仮にキエフを陥落したとしても、ウクライナ側の協力は全く望めません。それこそ、ウクライナの人々を全員殺さなければ、制圧が完成しないと思います。全国民を殺すことは物理的に不可能なので、ロシアは地獄の一丁目のバスに乗ってしまったということだと思います。泥沼化と言われている理由がここにあります。
どうして、そんなバスに乗ったのか。元はと言えば、プーチン大統領が「現場」を離れ、妄想を抱いたところに原因があると思っています。
(「ナルゾウ」)
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