ようこそ日本の危機へ!このブログでは主に最新のニュース、政治、教育問題を取り上げております。

財政赤字危険水域の時こそ、国家のアイデンティティ確立が必要 / 教育と文化の復興に尽力されたし

女性

「コロナ禍で大変なのは分かるのですが、少し気になることがあります」

「何でしょうか?」

女性

「給付金を配ったり、協力金を配ったりしていますよね」

「そういうことを含めて、2020年度の一般会計は2度にわたる補正予算を含めて、160兆円に膨れ上がっています」

女性

「だって、税収の見込みがその半分位ですよね。単純に大丈夫ですかという質問です」

「大丈夫ですか、と質問されれば、大丈夫ではないと答えるしかありませんが、単純に二者択一で答えられるような問題がそこには含まれています」

女性

女「私は経済については全く分からないので、どういう風に聞けば良いですか?」

「そうですね、聞き方が難しいと思います。経済の難しさは、「生き物」相手だということです。しかも、各国の経済はそれぞれ状況が違う、つまりそれぞれ別の「生き物」が多くいるという状況を頭に思い描いて下さい」

女性

「要するに、お互い違う「生き物」なので、同じ借金でも良い借金と悪い借金があるということですね」

「それについても、良い、悪いの二者択一で答えられないのです」

女性

「良い、悪い、何とも言えないの三者択一でいかがでしょうか」

「形式的に良い、悪い議論をしても意味がないので、企業を例にして説明します。明確な経営戦略をもち、業務拡大を狙って借金をする場合と、単に事業の失敗の埋め合わせとして借金をする場合、その中間的なものがあります」

女性

「要するに、融資を受ける主体側がどういう状態なのかが問題ということなのですね」

「その通りです。経営戦略が明確に定まっており借金もないというのが一番良いのですが、市場をいかに抑えるかを考えると、実際には融資を受けて業務を拡大する場合が多いと思います」

女性

「ここからが本論です ↓」

 日本の政府債務残高は危険水域

日本の政府債務残高ですが、コロナ禍もあって、日本の財政事情は悪化の一途をたどっています。IMF(国際通貨基金)が2020年10月に公表した報告書によりますと、政府債務残高は国内総生産(GDP)比で266%と、アメリカの2倍に達していますし、ここ10年で急速に増やしています。

G7各国の政府債務残高のGDP比

 

 国 名  政府債務残高のGDP比
 日 本 238%
イタリア 135%
アメリカ 109%
フランス 98%
カナダ 89%
イギリス 85%
ドイツ 60%

(2019年)

日本の水準が先進国で突出しているのが分かると思います。2015年にデフォルト(債務不履行)に陥ったギリシアの借金はGDP比で170%でした。現在の日本よりも、低かったのです。そして、日本だけがこの20年間で2倍(200%)以上の債務残高になっています。1980年代には、50~70%で推移していましたが、90年代に入って一気に右肩上がりに増えています。

 

 MMTという甘い誘い水

経済学は「処方箋」学という要素が強いのですが、そういった日本の財政事情に対して、特に心配しなくても良いという立場から唱えられている理論がMMT(現代貨幣理論)です。

生き物である経済を見た時に、病気の兆候があるのですが、それをどう見るかということです。専門家の間で意見が2つに分かれる事例というのは当然あります。つまり、病状を見て、すぐに入院が必要と判断する医師もいれば、そのまま様子を見ましょうという判断をする医師もいるということです。この問題もそのうちの1つと考えれば良いと思います。

MMTの主唱者はステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大学の教授です彼は、インフレにならない限り財政赤字を増やしても構わないと説きます。ただ、簡単に「インフレにならない限り」という条件を提示していますが、その「インフレ」をどのように判断するかが難しいのです。というのは、例えば、日本でかつて土地(資産)バブルというのがありました。ある特定の分野だけのインフレがあった場合、それをどう判断するかという問題です。

そして、一度インフレに火がついた場合、通貨の価値が下落し、外国為替市場に影響を与えて円安が進み、輸入物価の上昇を招き、さらにインフレが進むということが連鎖して起きることがあります。しかも、財政規模が大きければ大きいほど、それを止めるのは大変となります。

ただ、MMT論者も何でもかんでも財政支出を増やしても構わないと言っている訳ではありません。ケルトン氏は「バランス」の重要性を説きます

 

 バランスというのは、国家としてのアイデンティティを確立することで達成できる

バランスが分かりにくいかもしれませんが、公平で格差がつかないような経済社会ということになるでしょうか。そして、そのような経済社会をつくるためには、日本のアイデンティティを確立することが大事です。それが遠回りに見えて、一番の近道になります

株式市場を見ると、会社としての経営戦略や理念がしっかりしている会社は株価が高くなります。株価は経常利益に比例する部分もありますが、投資家の夢を掻き立てるような企業は人気を呼びます。国家も会社も組織なので、同じ理屈で説明できると思います

その国独自のものがどれだけあるのか、それをどの程度大切にしているのか、国としての魅力を増すことは、世界的な戦国時代を生き抜く上で大事な視点です。国としての魅力が無くなれば、何かのきっかけで国債が大量に売られ始め、金利が急上昇し、株価が下がるというシナリオもあり得ます。

近年は「持続可能」という言葉がよく使われるようになりました。「持続可能」な社会にするためには、教育と文化をしっかり確立することです。教育は簡単に言えば人づくりです。人づくりが上手くいけば、文化の担い手は自ずと育ち、国家は末代まで繁栄するでしょう

目先のことだけを考えるので、グリーンとかイノベーションといった時代受けするようなことを言うことになります。

界は米中対立を基軸にして当面は動くでしょう。その中で、日本の態度をはっきりさせる必要があります。日本は、中国との経済競争に周回遅れになっています。人財を育て、少しでも差を詰めないと、やがては政治的にも経済的にも呑み込まれることになります

のんびりと「グリーン」(菅総理所信表明演説)なんていうことを言っている場合ではないのです。

読んでいただき、ありがとうございました。

最新情報をチェックしよう!
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。