「中国で全国人民代表大会が開かれています」
「日本の国会のようなものですか?」
「国会のように議論するのではなく、報告ならびに方針伝達の会議と思った方が良いと思います」
「だから期間が1週間と短いのですね」
「今年はコロナウイルスのこともあり短くしたと言っていますが、例年は10日位です」
「考えてみれば、あれだけの大きな国で、大勢の人を集めて1週間で終わらせるのは凄いですね」
「多分、まともに議論をしていないと思います」
「全員、イエスマンですか?」
「逆に、何か意見を言うような人は代議員として選ばれないと思います」
「香港に対して、国家安全法を制定することがあっという間に決まってしまいましたものね」
「独裁国家であることを世界に証明しているようなものです」
「人権とか、自由を保障するという考えがないのですか?」
「彼らの発想は、まず人民を治めることを第一に考えます」
「古代の法治主義の考え方ですね」
「韓非子のことを前に話をしたと思いますが、2千年来基本的には何も変わっていないのです」
「今後も、西洋の人権思想を採り入れようという考え方はないのですね」
「微塵もないと思います。その辺りを理解しないと、彼らと話をしても上手くいきません。ある意味では、我々と違う感覚をもった人たちだと思います(話はここからが本論です)↓」
台湾問題を通して「統一」を考える
現在、中国では全人代が行われています。台湾問題について中央日報が「香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストからの情報と前置きした上で、李首相が前日の政府業務報告で「中国は台湾関連業務で主要原則・政策を固守するだろう。台湾独立を追求するいかなる分離主義の行動も決然と反対し阻止するだろう」と強調し、続けて「台湾同胞が台湾独立に反対し中国統一を促進するのに参加するよう促すだろう」(インターネット配信5.24日付)との話を報道しています。
業務報告の中で「平和統一」という言葉がなかったということ、現在の民進党の政権が独立指向が強いことを併せ考えると、武力統一に傾いたのではないかということが考えられます。予定より2か月遅れての全人代、しかも目標とする経済成長率の数字を出すことができないという事態の中で、習近平の胸中は穏やかではないと思います。
同じ民族であるにも関わらず、複雑な歴史的な事情の中で中国本土と台湾に分かれて、それぞれ別の政治体制のもと国民生活を築き始めて70年余の歳月が経過しています。本来ならば、一つの国としてまとまることができるように、お互い政治環境を整備してゴールイン、おめでとうとなれば、世界中から万雷の拍手を浴びる事案だと思います。そうならないということは、それなりの理由があるからです。
香港の様子が連日世界に報道されました。強権的な暴君政治をまざまざと見せつけられれば、当然本土離れは起きます。自分が撒いた種だったのです。ただ、共産主義のドグマによって覆われた彼らの目には、何も見えないのでしょう。多分、こう思っていると思います――「台湾というのは、あくまでも中国の一部なので当然ひとつにまとまる必要がある」。その思いを台湾の人も含めて、全世界の人が共有できるように国内体制を変えようとは思わないのです。そこに彼らの限界があるのです。
台湾の国民党の総統であった李登輝氏(1923~)も、「もしも、大陸が民主的で、自由で、かつ豊かな国であれば、台湾の人たちも自然と『一緒になろう』と思うはずだ。だが、現実はすべてこの逆だから、台湾の民心はますます大陸から離れてゆく。予見しうる近い将来においても、大陸がよほど劇的に変化しない限り、台湾は現状を維持しつづけるだろう」(李登輝『武士道解題』小学館.2003年/58ページ)とのコメントを遺しています。これをアドバイスと思い、自らを改めようと考えれば、何の問題もなく統一できると思います。
「独立」の態様について考える
独立、つまり一人立ちによって幸せになる場合とそうでない場合があるということです。それは、人の独立も国家の独立も同じです。資格、技術、定職がなければ親元からの独立は無謀です。独立はある程度の経済的基盤とその見通しが必要です。その辺りの考え方は、個人も国家も同じですが、何故か国家の独立の場合は「前のめり」になる傾向があります。
先進的な産業による経済的基盤がしっかりしていて、統治システムが整って、国民をまとめる力となる文化、アイデンティティが確立していれば、独立した国家として国際社会の中で充分やっていくことができるでしょう。台湾は、その3つのことがすべてクリアーされています。国際社会の中で独立国家として、充分他国と渡り合っていくことができると思います。
その3条件に適わない場合は、独立ではなく共生を考えるべきでしょう。中には、独立をすることが最も重要という立場から、様々な意見を述べる人がいますが、決してそうではありません。世界はお花畑ではありませんので、経済的自立をすることができない場合は、独立を見合わせて連邦ということで他国の傘下に入る、あるいは大国の世話になることがその国の国民にとって良い判断ということだと思います。
抽象論になっていますので、具体的な事例で考えてみましょう。南米にガイアナ共和国という人口80万人の国があります。
写真は、同国にあるカイエチュールの滝です。一段の滝としては、世界最大の落差を誇ります。国土の8割が未開と言われる秘境の国です。滝に行くにもセスナ機で行かなければなりません。それはさておき、1964年に独立を果たしています。ベネズエラの隣国ですが、ガイアナの沖合約200キロに深海油田があることが分かり、2019年末から採掘が始まっています。予定では、2025年には原油生産量の1%を占め、一人当たりのGDPは今後5年間で約4倍になるという夢を描いていたのですが、今回のコロナウイルス騒ぎで原油が暴落し、どうなるか分からなくなりました。
統治のシステムは大統領制を採用しているのですが、社会主義政党が政権を担っていた時期もあります。宗教は、バラバラです。プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、イスラム教など多彩です。人口が80万人程度なのに、これではまとまりにくいと思います。
南米の国は、宗主国との関係があり、このような細切れ独立国が多いのですが、このガイアナ共和国もその1つです。経済的な独立があって、政治的な独立が実現されます。宗主国は見捨てるように、勝手に独立しろという感じで手を引いて、結局経済的に不安定、もしくは困窮して内政不安になって治安が悪くなるということが起きています。その辺りの状況は、アフリカもそうですが、西欧の宗主国の無責任な植民地経営がもたらした弊害だと思います。
日本の国内で反日的な「独立」の画策あり
かつて日本は単一民族の国と発言して物議を醸しだした政府関係者もいた様ですが、日本にはアイヌ民族の問題があります。彼らは狩猟民族で、言葉だけで文字がないため記録がありません。そのため、定かではないのですが、アイヌ文化の成立は13世紀から15世紀ころではないかと言われています。アイヌの人たちは内地の人間を和人と呼んで、交易をしたりしていました。江戸時代は東北地方まで自由に交易をするために来ることがあったようです。彼らが獲るサケやコンブといった海産物と米、鉄器、漆器などの物々交換だったようです。
江戸幕府がアイヌ交易は松前藩の独占とする旨を決定してから、彼らとの関係がおかしくなっていきます。松前藩は、交易できる人物を限定したりして、交易の条件がアイヌ側に不利になるような措置をし、そのために不満が高まっていくことになります。それが戦い(シャクシャインの戦い)の大きな原因です。
ただ、そういった歴史がありつつも、アイヌ新法を制定し、民族的な和解が法的にも済んだので、後は仲良く手を取り合って日本の発展のためにお互い力を発揮すれば良いと思います。中には、先住権を逆手にとって、独立とか土地の保障などを求める動きもあるようですが、アイヌ新法は一種の宣言文書なので、それを根拠に何らかの請求権が発生するわけではありません。分裂活動はお互いにとって得策ではないと思います。
なお、沖縄戦をネタにしながら、独立を政治的に画策している人たちがいるようですが、第二次世界大戦の時、10万人の兵力を投入し、命を賭して沖縄を守ろうとしたことは事実なので、その英霊たちの思いを忘れないで欲しいと思っています。
沖縄県は地政学上、最重要地域にあたるため、中国からの工作が多く入っています。さらに、近年中国からの軍事的脅威が増しています。中国の巡視船の日本漁船に対する執拗な追尾が、5/8日に政府の抗議に2日間にわたってあった模様です。
それらから自衛隊とアメリカ軍が日夜共同で守っているのです。
読んで頂きありがとうございました
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