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中国女子テニス選手失踪事件 続報 ―― 無事だと思われるが「籠の鳥」状態のようだ

「インターネットニュースで流れるもので、一瞬で消されてしまうものがあります」

女性

「中国ではよくあるという話ですけどね」

「いや、日本でもたまにあります」

女性

「例えば、どういうのがありましたか」

「北朝鮮や中国関係が多いですね。最近で言うと、例の女子テニス選手関係、それから北朝鮮で臨時の金券(トンピョ)を発行した話です。そのことについて2回連続で話題にしたいと思います」

女性

「火消しに躍起になれば、逆に何かあるのかなと思われるだけですのにね」

「今までは、それで沈静化できたので、同じことをやっているのです。ところが今は情報があっと言う間に拡散しますからね。隠し切れないのに、隠そうとします。彼らは体制維持の志向が極めて強い傾向があります。それを揺るがすような内容のニュースを極端に嫌う傾向があるように思います」

女性

「神経質になり過ぎだと思いますよ。日本を見て下さいと言いたいですね。何でもありで、総理大臣に対して、批判も含めて、思いっきり言いたいことを言ってますよね。新聞でもネットでも」

「それを見たら、逆に彼らは震え上がってしまうかもしれませんね」

女性

「ただ、日本人は言うだけ言って、そこで終わるみたいなところがありますよね」

「余り、行動に移さないということですね」

女性

「父から1970年代の学生運動の様子を聞いたことがあるのですが、感覚的に信じられませんでしたね」

「1960年代の方が凄まじかったみたいですね。私は直接知らないですけど」

女性

「大人しくなったことが良い事なのかどうなのか、その判断は難しいですね」

「ここからが本論です  ↓」

 中国の女子テニス選手事件に対する過剰な反応

遠藤誉氏の中国女子テニス選手事件に対するヤフーのネット投稿が、11/24日の昼頃にあったのですが、あっという間に消されてしまいました。その投稿では、中国女子テニス選手・彭帥(ほう・すい)さんの告発文全文が紹介されていました。もちろん中国語なので、私には読めませんが、遠藤氏が内容について概略説明しています。

遠藤誉氏について、インターネットで検索すると、1941年中国・長春市生まれ。53年日本に帰国。理学博士。千葉大学教授、筑波大学教授、中国社会科学院客員教授、上海交通大学客員教授などを経て2011年から現職。筑波大学名誉教授。著書に『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』など、とありました、

中国女子テニス選手・彭帥(ほう・すい)さんの話題が何故ここまで広がっているのか。昨日のNHKでは朝昼のニュースで彼女の無事を伝えるニュース、その証拠としてIOCバッハ会長とのテレビ電話をしているワンカットシーンを報道し、夜には中国の報道官が登場して本人は無事なのでこの問題に関わらないようにして欲しいという警告的な内容のものを放送しました。中国のピント外れの過剰な反応を見て、ただ事ではないことが起きていると多くの人が思っているのです。

テニス選手・彭帥さんの話題が広がったもう一つの原因は、彼女の不倫相手が張高麗元国務院副総理(副首相)であり、チャイナ・セブンの一人だからです。インターネットサイト微博(ウェイボー)に彼女の告発文が拡散することになります。チャイナ・セブンというのは、トップを含む中国の最高首脳部の7人のことです

 告発ではなく、苦しみに満ちた告白文であった

遠藤誉氏によると、それは告発ではなく、苦しみに満ちた告白文とのことです。その内容はかなり赤裸々なものと言っています。主な内容は以下の通りです。

  • 張高麗が天津市の書記をしていたころ、張高麗は彭帥に男女関係を求めた(2018年から7年前と書いてあるので、2011年と推測される)。彭帥はその要求に応じてしまった自分を責めまくり、「私はもの凄く悪い女の子だ」と断じている。何のために自分はこの世に生まれてきたのか(生きている価値さえない)と自責の念に駆られている。
  • 張高麗は不正常な関係を持った翌年(2012年11月)に中共中央政治局常務委員(チャイナ・セブン)になり、それ以降連絡をしてこなかったが、要職を離れた2018年に突如連絡をしてきて再び関係をもってしまった。
  • 異常な関係を何とかしたいと思ったのでしょう。張高麗と彭帥は話し合うことになっていたのに、突然張高麗が断ったことに対する恨みを持つようになり、その怒りが今回のネットへの投稿に繋がったようです。

 

 習近平氏はなぜ張高麗をチャイナ・セブンに選んだのか?

2012年の北戴河の会議では、張高麗の名前は出ていなかったそうです。しかし2012年11月の第18回党大会で舞台に並んだ政治局常務委員(チャイナ・セブン)の中には、張高麗の姿があったのです。どこでどのようにひっくり返ったのか。第18回党大会開催寸前になって、胡錦涛元総書記の意思に反して、汪洋などの名前は消され、張高麗などの名前が強く押し出されたのだと言います。あり得ないことが起きたのですが、習近平氏の力が働いたということです。父・習仲勲が失脚して失意のどん底の時にでも敬意を表した張高麗を引き立てたということらしいのです。

そういった経緯がありますので、張高麗に関するスキャンダルが習近平に飛び火してくるかもしれません。そのため、火消しに素早く入ったということらしいのですが、余りにもその対応が早すぎて、世界から不自然さを指摘されることになります。簡単に言えば、墓穴を掘ったということです。

11月19日、国連人権高等弁務官事務所の報道官は記者会見で、彭帥に関して「彼女の居場所や、元気であることをはっきりさせることが重要だ」と述べ、またホワイトハウスの報道官も所在確認や安全確保などを訴えます。同時に国際世論は「北京冬季五輪開催の是非も考えなければならない」という方向に動き始めたのを見て、習近平はIOCのバッハ会長に頼み込んで、彭帥とのオンライン通話を演出してもらったものと推測されています。バッハはIOC運動委員会主席(フィンランド)等とともに彭帥とのオンライン通話を実施し、世界に向けて「彭帥が無事であること」をアピールしたのですが、逆に中国とIOC、さらにはバッハ会長との繋がりが分かってしまうことになります。

(「嫌いな中国出張はきっと好きになる」)

 彭帥さんの現状について

世界が一番心配しているのは、彭帥さんの現状です。そのことについて、遠藤誉氏の見解をそのまま紹介します―――――

思うに中国当局は、彭帥と張高麗との関係が事実であることを知っているため、彭帥に対しては破格の厚遇をしてもてなし、非常に豪華な場所に「ご宿泊いただいて」、監視だけは強めているものと推測される。張高麗を「連行して」、彭帥の前で土下座させ謝罪させるくらいのことはやっているだろう。そして彭帥には破格の好条件を提案して、「どうか黙ってくれ、どうかなかったものとして諦めてくれ」と頼み込んでいるに違いない。

天津のテニスチームにも、2011年前後に張高麗の指示を受けて彭帥との連絡役を最初にした人がいたはずで、教え子はその周辺から話を漏れ聞いたものと推測される。2018年に張高麗が再び連絡してきたときも、天津テニスセンターの劉先生を通してのことだったと彭帥は書いている。いつでも仲介をした周辺の関係者が少なからずいたはずだ。その人たちを鄭重に扱って好条件を出して「黙っていただく」。

11月21日に中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」の編集長・胡錫進がツイッターで彭帥に関する動画を数本公開したが、その中の一つに食事場面があって、「明日は11月20日だから」と言ったのに対して「違うわよ、明日は11月21日でしょ?」と応じる「わざとらしい」会話がある。このレストランは中南海からわずか1キロしか離れていない所にある。ということは、彭帥はいま自宅の天津にはいなくて、中南海の近くの「豪勢な一室」をあてがわれているのかもしれない。いずれにせよ、彭帥が身体的には「無事」でいることは確かで、自分の将来を考えたときに、中国当局の説得を選んだ可能性は大きい。

張高麗は生涯、「自由になれない身」に置かれているが逮捕はできない。逮捕などししたら、彭帥との関係が事実であるだけに、習近平の任命責任に関わり、政権を危うくさせる。もしこれが反習近平派の捏造ならば、事態は簡単だ。犯人を逮捕すれば済むことで、習近平には痛くも痒くもない。

告白はなぜこのタイミングだったのかに関しては、繰り返しになるが、「張高麗が話し合いをドタキャンしたから」で、なぜドタキャンしたのかに関しては「張高麗の夫人が、これ以上会うな」と止めたからだと考えられる。「夫人はなぜ止めたのか」に関しては、いくつかの理由が考えられる。「もうこれ以上、夫の不倫を容認したくはない」という、ごく当たり前の女性心理が一つ。そして「これ以上逢引きを続けることによって、大恩ある習近平に迷惑をかけるようなことがあってはならない」と夫人が判断したことが考えられる。文字数が多くなりすぎて書ききれないが、彼女はそういう人だ。

しかし夫人は、一つだけ間違っていた。それは彭帥が自由奔放な女性で、激情に任せて告白文を公開する可能性があることを見逃した点だ。それ故にこそ夫・張高麗は彭帥に惚れ込んでいたということを、同時に夫人は見落としていたと思う。「中国の事情に詳しい専門家」は、デマに匹敵するような憶測を広げないよう慎まなければならないし、日本国民も騙されてはならない。事態はそのようなデマよりも、もっと深刻なのである。

以上です。自由に羽ばたくことは出来ないようですが、生命の危険はないだろうということです

(「ことわざ・慣用句の百科事典」)

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