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日本の森林再生を目指して ―― 林野庁が推進する「スマート林業」/ 森との共生をめざす教育が求められる

「日本の林業が危機的な状況にあります」

女性

「森林が日本の国土の7割を占めていて、その森があるから日本は様々な作物が採れるし、魚も獲れると学校で習いました」

「森林を維持していくことは、農業、漁業を守り、ひいては日本の食料を守ることに繋がっている大事な営みなのです」

女性

「森林浴をしたことがありますか? 何とも言えない、すがすがしい気持ちになりますよ」

「森林浴は日本発祥だそうです。海外からのニーズもあり、ジャパン森林浴ツアーという企画で海外からお客さんを呼んでいるそうです」

女性

「森林は観光資源でもあるのですね。今までは、どのように森林が守られてきたのですか?」

「先人たちが植林をしたり、手入れをしたりして守ってきました。特に戦後の荒廃した国土に彼らが植林をしてくれたお陰で1000万haの人工林が保たれています。それも含めて、日本には全体で2500万haの森林財産があります。その所轄官庁として、林野庁があります」

女性

「その方たちが中心になって森林を守っているのですね」

「林野庁の職員は、総合職と一般職に分かれていて、森林官として現場で活動する方が一般職になります。全体で5千人弱ですが、それだけでは日本の広大な森林をカバーし切れるものではありません」

女性

「ここからが本論です ↓表紙写真は「森友株式会社」提供です」

 国産材の価格は長期低落傾向にある

林業も一つの経済活動ですので、それに影響を与える木材価格の動向を知る必要がありますウッドショックという言葉があります。コロナの感染拡大によって2021年に世界的に起きた木材の価格高騰と運輸停滞の事案をそのように呼んでいます。

どのくらい価格が上がったのかということですが、大雑把に言うと2.5倍です。木材と言っても、丸太や合板もあれば製材もありますが、大きく上がったのが製材、集成材です。現在は落ち着いたと言われていますが、かつての1.5倍程度のところで推移しています。

以上が輸入材の動向ですが、国産材の方は1980年頃をピークに、価格が長期低落傾向にあります(下のグラフ)。ピーク時が1立方㍍当たり2.2万円だったのですが、現在は4千円位なので、1/5に下落しています。林業を生業とするには、大変厳しい環境になっているということです。

(「柏田木材工業」)

 林野庁が推進する「スマート林業」

日本の林業を継続的に発展させていくためには、日本の林業そのものを充分採算の取れる産業として育てていく必要があります。中国木材の取締役会長の堀川智子氏は「日本の林業がもうからないこと」(「日経SDGsフォーラム 特別シンポジウム」『日経』2025.1.23日付)が大きな問題と指摘しています。

なぜ儲からないのかということですが、例えばフィンランドと日本を比べると、コストが倍かかると言います。労働生産性に至っては1/7です。「所有者が不明、境界が確定できていない森林が多い」(「日経SDGsフォーラム 特別シンポジウム」)といったことや、小規模な林家が多いといったことがあげられます。

そこで林野庁が推進しているのが、「スマート林業」です。森林をドローンを使って計測し、そのデータをAIで解析して、森林の伐採・運搬計画と物流・販売計画を立ててもらい、効率的なスマート林業を確立して、それを林業経営者に譲渡・定着させようというものです。いずれにしても、林業という業種の性格上、地道な努力が求められていると思います。

(「株式会社スマート・フォレスト」)

 森との共生をめざす教育が求められる

森林を守り育てるということの重要性を子供たちに教え伝え、後継者を育成することを考えなければなりません。全国の自治体の中には、行政面積の8割、9割が山林であるという処もあります。そういった山村地区の学校では、特に林業を意識した教育が求められます。

鎮守の森という言葉があるように、もともと日本人は森に対して崇敬な気持ちを持って接してきました。森そのものを神の棲む場所として祀るというのが神道の始まりだったと思います。森からすべての命が育まれ、森には多くの生き物が生息する。そこに先人たちは不思議な力が宿っていると考えたのでしょう。木を切ることに抵抗感を持つ人が日本人には多いと言います。先人たちの森での営みを、DNAレベルで受け継いでいるためだと思われます。

2人の会話にある森林浴ですが、現在は海外で「Shinrin-Yoku」あるいは「Forest-Bathing」で通じるそうです。森林浴という言葉は、1982年に林野庁長官によって命名されたものですが、「森の中にフィトンチッドと呼ばれる殺菌作用を持つ揮発性成分が存在し、森の中にいるだけで健康に資するとして始まった取り組み」(森と未来代表理事の小野なぎさ氏発言/同上)だそうです。そのような価値ある森を未来永劫に残すためには、人間の力が必要です。単に用材を伐採する対象ではなく、森との共生を図りつつ、そこから多くの価値を見出すという視点からの教育が求められているのです。

(「南友木材株式会社」)

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