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日経平均3万円台回復 / 実体が伴わず株価だけが上がる―― 異次元緩和という「カラクリ」のため

女性

「日経平均が3万円台を回復しましたね。このブロクで前に株価は上がるとおっしゃっていましたよね。その通りになりましたね」

「もう少し早い到達を考えていたのですが、少し遅かったですけど到達しましたね」

女性

「この後は、どうなんですか?」

「この後も伸びるでしょう。3万8千円位になるだろうと思っています」

女性

「大胆予測ですね。根拠は?」

「根拠は、アメリカのFRB(中央連邦銀行)と日本銀行の金融政策の方針を考えれば、資金が市場に供給されることが分かるからです」

女性

「アメリカのFRBは、どのような方針なんですか?」

「FRBのパウエル議長が2022年の間は利上げをしないと約束をし、さらにゼロ金利を1年延長すると発表したのです」

女性

「すいません、それが株価とどのように関係するのか、よく分からないのですが……」

「金利というのは、ブレーキだと考えて下さい。それが低い、もしくはゼロということは資金が市場に多く流れるということなのです」

女性

「コロナ禍で倒産する飲食業や企業が増えているじゃあないですか。「資金が市場に多く流れる」という説明がピンと来ないのですが……」

「株価というのは、必ずしも実体経済と連動しないことがあるのです」

女性

「つまり、実体経済は余り良くないけれど、株価だけが上がるということがあるということですね」

「そうですね、今がまさにそういう状態なのです。コロナ禍で見通しが立たない状況下に、企業としても設備投資や業務の拡張展開に資金を投ずる訳にはいかない。であれば、とりあえず株式市場に資金を投ずるかという判断だと思います」

女性

「とりあえず、ということは期間限定ということですね」

「もちろん、そうです。資金というのは、「足が生えている」と思って下さい。逃げ足も速いのです」

女性

「お金のことを「おあし」と言うのはここから来ているそうですね」

「そうです。ここからが本論です ↓」

 実力が伴わず株価だけが上がっている日本

2月15日の東京株式市場で日経平均株価が3万円台を回復、1990年8月以来の株式市場3万円台となりました。しかし、内実を見る限り、かつての時代とは違い、手放しで喜んでいるような状況ではありません。つまり、実体経済の裏付けがないまま、日経平均だけが上昇しているのです。

現象的には、アメリカのダウ平均と日経平均が2008年頃から同じような軌跡を描きながら上昇しています。ただ、アメリカは巨大IT企業が全体の経済成長を牽引しているのに対して、日本にはそのような主軸となる産業も企業も見当たりません。

世界企業ランキングというのがあります。利益、売上げ、企業の時価総額など、様々な指標がありますが、仮に「世界企業の時価総額ランキング」を見た場合、トップ50の中にアメリカ企業は32社入っていますが、日本企業は0社です。

「世界企業利益ランキングベスト20」というのもあります。これだと日本のトヨタが19位で1社だけ入っています。ちなみに、アメリカの企業は20社中10社入っています

 

< この30年で米国経済・企業との差が開いた

『日経』(2021、2,16日付)がその1面でアメリカと日本企業の比較をしています。データから言えることは、この「30年で米国経済・企業との差が開いた」ということです。

<日米の30年間の比較>

  日本    アメリカ
GDP  約1.7倍の伸び   約3.65倍の伸び
企業時価総額 世界のシェアの31.2% → 6.8% 世界のシェアの33.0% → 42.0%
企業の1株利益 43.7ドル→ 76.2ドル 22.2ドル→ 159.7ドル
世界上位企業1000 341社 → 77社 274社 → 417社

 

データを見る限り、平成の30年は「失われた30年」だったということが分かります。その原因を含めて分析については、このブログでも行っていますが、今日のテーマは実力が落ちているのにも関わらず、どうして株価だけが上がっているかということです。『日経』は「新型コロナウイルス対応の金融・財政政策で押し上げられている面も大きい」と分析していますが、大きいどころか殆どすべてという状態だと思います。

 

 異次元緩和が進行している状態の中の株高

2013年の安倍政権下で異次元金融緩和政策が導入されましたこの異次元金融緩和というのは、いわゆる「アベノミクス」(安倍政権下での経済政策)のセールスポイントの1つであり、デフレ脱却のための手段であり政策だったのです。

まず、「異次元」の意味ですが、従来の中央銀行の役割から外れたポジションで動き始めたということです。どういうことか。つまり中央銀行というのは、経済において「黒子」役が与えられた役柄なのです。それをかなぐり捨てて、舞台に出てきて演技をし出したのです。

どうして、そういうことをし始めたのか。目的はデフレからの脱却だったのです。

(「あおりんごの経済と金融」)

経済は「生き物」なので、本来は自然に任せる、つまり市場の動向に任せるのが基本なのです。かつて、アダム・スミスが「神の見えざる手」と表現しましたが、市場のメカニズムに任せた方が実際には上手くいく場合が多いのです。人間の体力、知力、実力というものは急につくものではありません。目標を定めて、日々努力に努力を重ねて始めて目標に到達するものです。これが自然の姿なのです。無理やり栄養剤を飲ませたり、腹一杯に食事を摂らせて強い体力を得ようとしたのです。

どうして、そのように功を焦ってしまったのか。「金融緩和でデフレから脱却すれば日本経済は成長する」というドグマに取り付かれたからだと思っていますこの間の結果を見て、その「ストーリーは、夢に過ぎなかった」とみずほ総合研究所のエグゼクティブエコノミスト ⾨間⼀夫氏は語りますが、気が付かずにその夢を追いかけているのが、今の政府、日銀の姿です。後戻りをして、方針転換しなければ大変なことになり、日本経済が「放心状態」にならないとも限りません。

読んでいただいて、ありがとうございました。

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