①慰安婦問題や徴用工問題が、現在の日韓関係に与えている影響
1965年の日韓基本条約で、殆どの問題が解決したと思っていた日本です。ところが、1990年代になって突然、慰安婦問題が韓国側から提起され、それに呼応する形で日本が「謝罪」をする内容の「河野談話」(1993)、「村山談話」(1995)が出て、さらに日本のマミコミ、特に「朝日新聞」が吉田清治のウソ話を記事にしたりして、騒ぎが大きくなりました。その騒ぎが現在なおも続いています。
ただ、日本の方からすると、何故そうしたことを時が経ってから何度も言われなければいけないのか、その根本の原因については分からないままでした。
その点について最近韓国で出された『反日種族主義』の中に答えがありましたので、それを紹介します。
「韓国の政治文化が、対外的に日本との関係に至ると、非常に強い種族主義として噴出します。古い昔から日本は仇敵の国でした。反日種族主義の底辺には、そのように歴史的に形成された敵対感情が流れています」
「反日種族主義は1960年代から徐々に成熟し、1980年代に至り爆発しました。自律の時代に至り、物質主義か花開いたのと軌を一にしました。反日種族主義に便乗し、韓国の歴史学界は数多くの嘘を作り出しました」。
②日韓関係の現在
2019年12月24日に中国・成都で日韓首脳会談を約45分間行ったのですが、両国の関係において何の進展もありませんでした。
つまり悪化したままというのが、大方の見方です。
韓国側の要求は、輸出管理(韓国は「輸出規制」と言っている)を止めて、元のホワイト国(優遇国)待遇扱いとして欲しい。それについては、軍需物質に転用可能な3品目について第三国への横流しをしている疑いがある。
それら3品目の貿易管理体制をしっかりすることを日本政府は改めて要望したと思われます。
そして、日本の最高裁判所にあたる韓国大法院の徴用工判決については、1965年の日韓基本条約の基本的な取り決めに関わる問題なので、到底受け入れることはできない。
もし、在韓の日本企業の資産売却の手続きに入った場合は、それ相当の措置をとることを伝えた模様です。
以上のように、お互い求めるものと言い分がすれ違っており、今まで言ってきたことをあらためて確認し合っただけの会談に終わったようです。
③日韓関係の未来
日本も韓国も国家戦略が明確に立てられていません。
そこが両国の共通した最大の弱点です。
アメリカ、中国の間に挟まりながら、北朝鮮の動向に神経を使いながら揺れ動いているのが、両国の状況です。
一言で言えば、日韓関係「波高し」です。
ただ、日本の国内世論はかつての時代と異なり、この間の再三再四にわたる韓国側の日本に対するいやがらせ的な行為に対して、断交やむなしと考えている人が増えているのが実情です。
従来は、日米韓の3国同盟が比較的強固で安定していたのですが、そんなこともあって、これが今ぐらついています。
最大の原因は、韓国です。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄をちらつかせて、アメリカを怒らせて、最後のぎりぎりになって破棄をしないことを決め、何とか3国同盟の枠内に韓国が留まっているというのが今の状況です。
ただ、文大統領の心は、北朝鮮と中国に向いてしまっています。
日本はアメリカとの同盟を強化、維持する方向で動くのがパワーバランスの観点から正しいと思うのですが、中国からの政治的かつ経済的な強いアプローチを受けて、揺れ動いている状況です。
政権政党である自民党の二階幹事長ならびに二階派は、もともと中国寄りの考えをもっていて、その影響もあり、習近平国家主席を来賓として迎え入れる流れになっています。
そういう中にあって、北朝鮮とアメリカの関係が一触即発のような状況です。
アメリカは軍事力を背景に圧力をかけ続けていますが、北朝鮮が軍事行動を起こす可能性も充分あります。
それをされると、すべてが水の泡と思っている中国も北朝鮮に緊張を高めるなという圧力をかけていますが、独裁政権なので何が起きるか完全には予測できません。
こういった緊張場面に差し掛かっているにも関わらず、日本はきちんとした戦略が立てられていません。
しかも、他国のことに警戒の目が向いておらず、国内の与野党がお互い違う方向を見てどなり合っているような状況です。
このような状況が長く続くようでは、国家の存続が危ういという場面が、将来起こるかもしれません。