「アーノルド・トインビー(1889-1975)という歴史家を知っていますか」
「今、言われてインターネットを開いたところです。オックスフォード大学出身の20世紀を代表するイギリスの歴史学者とありますね」
「それが一般的な評価だと思いますが、彼が「12、13歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく滅んでいる」と言ったと言われています」
「例外なくと言っているということは、何かいろいろ調べた結果ということですね」
「彼は『歴史の研究』25巻という本を書いていますからね。多くの資料にあたった結果、発見した結論なのでしょう」
「日本は神話教育を止めてしまったのですが、滅びモードに入るということですか?」
「さらに『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、次の3つのこともトインビーが提唱したとされています。1つが、自国の歴史を忘れた民族は滅びる。2つ目が、心の価値を見失った民族は滅びる。3つ目が、理想を失った民族は滅びる、です」
「なる程、何となく分かる気がします」
「彼の言葉をまとめると、理想と神話と歴史を失った民族は滅びるということです」
「歴史の中で神話を教え、理想をもたせるということですね」
「それでも良いのですが、歴史の中で神話を教えることに抵抗感をもつ歴史学者が多いので、それを言うと反発を招く恐れがありますし、そもそも歴史と神話は別です」
「それでは、どういうかたちで教えればよいでしょうか ?」
「道徳でも、国語でも、総合でも良いと思います。柔軟に考えれば良いと思いますけど……。ただ、日本は戦前は国史という教科書を使って、神話を教えていました」
「神話に対しては、非科学的という批判がありますが……」
「それは多分、歴史学からの批判だと思いますが、先程も言ったように神話は歴史ではありません。だから、年号もないのです。そして神話教育は、歴史を明らかにするためのものではなく、日本という組織を守るために必要な教育なのです」
「その辺りは、本論でお願いします ↓」
なぜ、神話を学ばせる必要があるのか
簡単に言えば、先人が作った貴重な国生みの文化であり、1000年以上の長きにわたって教え継がれたものをそのまま絶やすことなく子孫に伝えるのが、それぞれの世代の人たちに課せられた責任だからです。
習俗、習慣、宗教を含めて文化というものは、何か理由があれば、そこで止めて良いというものではありません。受け継がれたバトンの形を変えずに、そのまま受け継ぐのが基本中の基本なのです。バトンを受け取った者が、このバトンをどうしょうかとか、どうして渡す必要があるのかとか、考えることではないのです。
例えば、初詣とか、墓参りといったことを、日本人は伝統的に続けてきました。何故なら、習俗であり文化だからでしょう。死後の世界や神様を例え信じていなくても、それはまた別の問題として、それぞれ個人的に処理されてきたことなのです。
(「ヒューマンアカデミー」)
神話教育は戦後GHQによって止められました。占領軍が去り、1951年の講和条約により日本の独立が認められたのですから、自分たちの自主的判断で神話教育を復活させても構わないのです。ところが、非科学的という理由で、それが実現していません。主に歴史学関係者からの批判が多いのですが、神話は客観的な歴史ではないので、歴史学者が口を挟む問題ではありません。
もともと、日本人が教育の一環として子供たちに教え伝えてきたことなので、それを学校教育の場で復活させましょうと言っているだけです。
神話を意識的に教えて,生きながらえた民族がユダヤ民族
今から約3000年前に、現在のイスラエル共和国の地にヘブライ王国が栄えていました。賢帝と言われたソロモン王の死後、その王国は、北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂をしました。北のイスラエル王国は、アッシリアに滅ぼされ、南のユダ王国は新バビロニアに滅ぼされてしまいます。彼らは、それから約3000年という気の遠くなる年月を、ヨーロッパや世界の各地で亡国の民として生きていくことになります。
途中、バビロン捕囚やドイツナチス党によるアウシュビッツ大量虐殺といった世界史的にも有名な悲劇もありました。そういう中でも彼ら民族の結束を固めたものが、ユダヤ教だったのです。旧約聖書がユダヤ教の経典ですが、その教えを忠実に守ることにより、民族が団結と希望をもって生きることができたのです。それが、1947年のイスラエル共和国の建国に繋がっています。祖国を追われた民が、約3000年後に再びその地に祖国を建国することができたのは、間違いなくユダヤ神話を受け継いだからです。それがユダヤの命脈を後世に繋げる力となったのです。
これと真逆のことをしているのが、日本なのです。トインビーが警告した滅びゆく国に該当しているのが日本なのです。
(「www.ne.jp」)
なぜ、神話を12、3歳頃までに学ばせる必要があるのか
簡単に言えば、日本という国を受け継がせる気持ちを持たせるためです。この国のことを常に気に掛け、心配し、発展のために尽くそうと考える日本人を一定の数以上育てる必要があるからです。
国も単なる組織であり団体ですので、構成員の思いが弱ければ崩壊します。存続させるためには、どうすれば良いのか、改めて考えてみます。
国という大きな単位だと、ピンと来ないのかもしれませんので、例えば小さな環境団体の存続ということを考えてみたいと思います。どうすれば、組織として生き残ることができるかということです。団体、会社、国家すべて人間がつくる組織ですので、理屈は同じです。
3つのことが必要です。組織としての目標、その目標を理解させること、組織に対する愛着です。この中で一番重要かつ難しい課題が、一番最後に掲げた「組織に対する愛着」です。
これを持たせなないと、構成員は周りの団体からよい条件で勧誘を受けた場合、組織を抜けてしまうという事態が起きます。これは現実に起きていることです。中国から良い研究条件が示されて、日本を離れる科学者や研究者が後を絶ちません。もっとも、向こうの狙いは先端の科学技術が欲しいということなのですが、組織の中心メンバーになるべき人材が組織から外れることがないようにしなければなりません。
かと言って、人間を縛り付けておく訳にはいきません。教育しかないのです。幼き時代に学校で友と一緒に大好きな先生から聞いた神話の話、そういうものがあれば、身体の中で醸成され、やがて国への愛着に変わります。
組織防衛のための神話教育
トインビーが11,12歳までと年齢を区切っているのは、人間は何も教えなければ、唯物論者になるからです。10年もの間、物質世界の中で生活してきて特に不自由がなかったという思いの上に、思春期の反抗期が加わってしまえば、神話を受け付けない意識構造になってしまいます。だから、「勝負」は小学生のうちなのです。
神話教育というのは、組織防衛のために必要であり、歴史教育とは関係がないのです。子供たちの深層心理に働きかけるための「材料」に過ぎません。人知を超えたカミの存在、そのカミが日本を作った、それを守り発展させる、そしてその一員として誇り高く生きようと思わせることが必要なのです。もちろん、教員の指導力も必要です。上手くいけば、100の説教よりも効果があります。
ここにきて教育の荒廃が目に余ります。生徒減にも関わらず、不登校、いじめの数は右肩上がりです。ハレンチ教員は昨年は270人を超えました。今年はそれを上回るペースです。覚せい剤所持で逮捕される小学校の教員も出る始末です。教育基本法を改正し、道徳の教科化を実現し、免許更新制度を導入するなど、対症療法的な処置をしていますが、殆ど効果は上がっていません。
(「朝日新聞デジタル」)
きちんとした形で教員養成システムをつくり、道徳の教育内容を再構成し、神話教育を再開し、学校を地域の中の組織として位置付けることを行います。構造的な改革をしななければ、現在の問題点が改善されないまま事態は悪化し、時間だけが経っていくことになります。
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