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金融不安定、しばらく続く見通し――金融は一寸先が闇 / FRB—— 信用不安を起こさないように「消火活動」

女性

「たまには、金融の話題をお願いします。米国の銀行が2行経営破綻しましたよね」

「スイスの銀行も1行破綻しました」

女性

「素朴な疑問ですが、リーマンショックがありましたよね。あれは、アメリカの投資銀行1行の破綻が世界に広がったのですが、今回はそういう恐れはないのですか?」

「2008年の9月ですね。日本にも影響を与えましたからね」

女性

「ウチの父は株式投資をしていたのですが、大変なことになったと言って青ざめていましたので印象に残っています」

「最終的に、日経平均が半分になりましたからね」

女性

「えっ、そうなんですか? そんなに下がったのですか?」

「ただ、1929年の世界恐慌の時と比べれば全然大したことはないのです」

女性

「世界恐慌の時は、どの位株価が下がったのですか?」

「約1/10になったのです。もっとも、約3年かかりましたけどね。アメリカのダウ平均株価386ドルが3年後に41ドルまで下がります」

女性

「あのを、素朴な疑問ですが、ゼロになることはあるのですか?」

「倒産すればあるかもしれません。経営自体が健全であれば、いつかどこかで株価は戻ります。だから、世界恐慌の時に、みんなが投げ売りした株を安値で買いまくって富豪になった人がいますよ」

女性

「成る程、人の逆を行ったのですね」

「「人の行く裏に道あり花の山」という相場の格言がありますからね」

女性

「どういう意味ですか?」

「儲けるためには、人が考える逆を行かなければ駄目だよという教えですね」

女性

「逆もまた真なり、ということですか?」

「そういうような意味ですが、数学の公理ではないので、必ずしもそうなる訳ではありません。そういうこともあるよ、という程度の捉え方と理解して下さい」

女性

「ここからが本論です  ↓」

 金融不安の意味

金融不安という言葉が、金融危機の本質を表した言葉だと思います。「不安」というのは、人間の気持ちです。その気持ちが、金融危機を引き起こすということです。だから、銀行が何行潰れたからということではなく、その倒産が周辺経済にどの程度影響を及ぼすかによって判断されます。

そして、金融というのは、カネの流れという意味です。それがスムースに流れるための第一条件は、決済通貨の「信用」です。その「信用」は通貨を発行している国の経済力ならびに政治力によって担保されます。だから、例えて言えば、震源地とそこの地盤の固さ、震度、つまり揺れ、そして津波の有無など、総合的に判断されるということです。下のグラフは、2022年9月から最近までの株価推移を表わしたものです。

(「日興フロッギー」)

 FRB—— 信用不安を起こさないように「消火活動」をする

アメリカの2行が破綻した時、FRB(連邦制度準備局)は資金を即座に投入しています。信用不安を起こさないように、「消火活動」をしています。一番困るのは、その銀行のすべての預金者が預金を引き上げてしまうことです。今の銀行は、信用創造ということで、預金額の何倍もの資金を融資しているからです。

銀行が破綻したと聞けば、預金者は自分の預金や債権が気になります。戦前にはセーフティーネットがありませんので、変な話、早いもの勝ちで窓口に行って、自分の預金を確保したという時代もあったということです。それをされたら、大変なことになるので、FRBは大丈夫というインフォメーションと資金の投入を行ったのです。

自分の預金や債権が必ず保証されるならば、別に窓口に駆け込む必要はありません。騒ぎは沈静化したのです。ただ、セーフティーネットもあり、預金は保護されると言っているのに、何兆円という資金が流出しています。いかに「信用」が大事かということが分かります。

(「TBS NEWS DIG」)

 金融は一寸先が闇の世界

金融は「信用」をエネルギーにして流れます。実体経済が良くても、信用不安が少しでもあれば、フローは滞ります。今の世界経済の状況は、まさにそういう状態です。そのため、日米の株価はしばらくは一進一退になると思います。為替相場が現在円高に振れているのは、アメリカの2行が経営破綻したことと関係が深いと思います。

アメリカはインフレ懸念で利上げをしています。先週も利上げをしています。普通はドル高に振れるのですが、円高に振れているということは、アメリカの金融、つまりカネの流れが滞っている、「貸し渋り」が出ているということです。それで取り敢えず、日本の通貨に流れているのです。

この動きをどう見るかです。『日経』は「貸し渋りによる景気後退入りの確率は高まった。金融不安を完全払拭するには時間がかかる」(2023.4.6日付)と報じています。その期間を具体的に何日と考えるかは、その人の「相場観」次第だと思います。

(「西日本新聞me」)

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