「トランプが大統領選挙の負けが確定した頃、選挙の不正を主張して、それに呼応するかのように支持者たちが議会を襲撃するという事件がありましたね」
「確か、新年早々の事件でしたよね。現在は弾劾騒ぎになっています」
「あれから1か月位経ったのでしょうか。あの頃は、アメリカ分断国家ということが言われていました」
「それは多分、バイデン氏がトランプ大統領と真逆のことを言ったり、行ったりするだろうと思ったからだと思います」
「共和党から民主党に移る。対中国を周りは気にしていた。バイデン氏はオバマ政権時の副大統領です。また、あそこに戻るのかと誰もが思ったのでしょう」
「中国との個人的な繋がりも話題になっていましたよね。息子さんも含めて……」
「そういう話が広がって、日本でも随分心配の声が上がりました。手元に月刊『Hanada』3月号があるのですが、堤氏と久保氏2人の対談のテーマは「世界の『十大リスク』首位はバイデンだ」です」
「あら、完全に決めつけですね」
「100%日本を見捨てるだろうという予測で2人の対談は進んでいきます。最後の方に堤氏はこう言っています。『俺はずっと、日本から在日米軍を引き上げると言い出す大統領は誰だろうと思ってきた。ひょっとしたらバイデンかもしれない。少なくとも、撤退するぞと脅しをかけてくる可能性はある』と」
「ところが、その心配は杞憂(きゆう)に終わりそうということですね」
「2月11日に習近平主席と電話会談をしていますが、香港、ウイグル、台湾、南シナ海など一連の人権侵害や威圧的行為について懸念を表明しています」
「どういうニュアンスで言ったかまでは分からないのですよね」
「その際の語調によって、バイデンと習近平、それぞれどう思っているのか、ある程度分かりますからね。だけど、それは明らかにならないでしょう。まあ、とにかく大統領が変わったけれど、トランプが言うようなことをバイデンも言ったというところに意義があると思います」
「ここからが本論です ↓」
アメリカのもっている見事なバランス感覚
大統領が共和党から民主党に代わっても、中心軸は現在のところ、それ程ブレていません。その点、湯浅博氏が「世界読解」の中で「あの『居眠りジョー』が突如目覚めたように、従来の民主党路線から劇的変化の軌道を走っている」(『産経』2021.2.12日付)と評価しています。分かると思いますが、ジョーというのは、ジョー・バイデン大統領のことです。
アメリカは二大政党制の国です。民主党はどちらかと言うと人権、平和、平等といったことを大事にし、共和党はどちらかと言うと国力を上げることに関心を持ちます。ただ、両政党は時には鋭く対立することはありつつも、アメリカの国益、世界の国益という方向にベクトルは向いています。
そのため、今回のように政権移行があっても、大きなブレが起こらなかったということです。というか、中国の存在を考えると、変にブレてしまうと大変だという危機意識があったのかもしれません。ただ、こういったバランス感覚は日本も見習う必要があると思います。
TWO PARTY SYSTEM ONLY FOR BIG BUSINESSES
分断されつつある日本
もし、仮に日本でこのような政権の移行があったとしたら、どうでしょうか。可能性としては立憲民主党ですが、今の自公政権と真逆のことが起きる可能性が大いにあります。多分、中国や韓国には何も言わなくなると思います。「サンドバック政権」になる可能性があります。
完全に「内弁慶」政党ゆえに、そうなる可能性が高いのです。日本は海洋国家なので、海も大地も同じように考えて、この広大な領地を守ることを考える必要があるのですが、その意識は極めて希薄です。
何故、そのようになってしまうのか。簡単に言えば、階級国家観をもっているからです。国家、つまり国を支配する者と支配される者との対立と捉えるのです。共産党は明確に資本家階級と労働者階級の対立としてように捉えます。国家観が近いので、立憲民主党は自民党よりも共産党の方に親しみを感じていると思います。共産党もそのことはよく分かっていて、選挙協力や野党連合政権といった秋波を一生懸命送っています。
(FPhime/報道府)
あと、階級国家観をもっている政党は社民党ですが、立憲民主党との違いを明確に出せなければ、殆ど存在意義が無いように思えます。今のままであれば、泡沫政党として遅かれ早かれ消えていくことになるでしょう。
このように日本の政界を概観すると、アメリカのように安定した二大政党制には、まだまだ程遠いということが分かります。二大政党制になるためには、細かい政策上の対立やニュアンスの違いがあっても、国家が向かうベクトルを同じにする必要があります。
数的に大きな政党が2つあれば自動的に二大政党制になる訳ではありません。日本の場合は、ベクトルの向きがあっちこっちに向いている政党が国会でより集まっているだけです。だから、国会では消耗な揚げ足取りや、同じような質問を繰り返すことになります。つまり、議会の中で話し合いをして。一つの政策としてまとめようという考えがないからです。
日本も二大政党制になる必要あり
日本の国力が衰えてきています。これからの時代は、国内が一つにまとまらなければ何事も上手くいかないでしょう。何故なら、世界は戦乱状態だからです。かつて、古代ローマで賢帝と言われたマルクス・アウレリウスは「世界は絶えざる悪に悩まされるべく定められたのだ」という言葉を遺しています。我々も、この間の中国や韓国、北朝鮮の日本に対する振る舞いなどをいろいろ見たり聞いたりするにつけ、そういった実感を改めて持つのではないでしょうか。
国家も一つの組織です。国民が選んだ代表者たちが、国民政党側に属する議員と階級政党側に属する議員とに分かれて日夜対立をしています。そして、それを反日マスコミがエネルギーを吹き込んでいるという図式です。
国会は「国権の最高機関」(41条)なので、そこを舞台に内輪喧嘩をしていれば、国はまとまるはずがありません。分断から亀裂が生じ、それが国民の中にも及ぼうとしています。地方の疲弊が始まり、人口減が進み、経済のパフォーマンスが悪くなり始めているのは、そこに原因があります。
原因のない結果はありません。悪しき結果を防ぐ、あるいは元に戻すためには、原因となっているものを取り除く、あるいは直す、新たなモノを導入するかのいずれかです。
立憲民主党や日本共産党が階級観を容易に捨てるとは思えません。であれば、保守政党が足りず、片肺飛行になっていますので、第二の保守政党を育てるということだと思います。ただ、維新の会も国民民主党も、今一歩立ち位置がはっきりしません。国民政党であることをはっきりさせて、日本のアイデンティティ確立のために働く決意を示すことが重要だと思います。
ただ、私自身はまったく新しい保守政党を立ち上げるのが一番良いと思っています。可能性としては、支持なし政党層が日本の場合は多く存在します。彼らの本質は「保守」です。彼らに依拠した政党を立ち上げることが、遠回りの様で一番早いと思っています。
読んでいただき、ありがとうございました。
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